夕食を遅い時間に取る人は、体重に注意した方が良いかもしれない。「Journal of Clinical Endocrinology&Metabolism」6月11日オンライン版に掲載された報告によると、夕食のタイミングが遅い場合、寝ている間に体重が増える可能性があるという。論文の上席著者である米ジョンズ・ホプキンス大学のJonathan Jun氏は、「1日に口にする食べ物のエネルギー量が同じだとしても、食事の時間次第で体内での代謝が異なる。夕食の時間が遅いと代謝が滞り、血糖値が上がり、体重増加の原因となる物質が増えるために、食べた量以上に肥満が助長されるのかもしれない」と述べている。.Jun氏らは、健康なボランティア20人(男性と女性それぞれ10人ずつ)を対象に、夕食の摂取時間の違いが食後の血糖値や中性脂肪などの代謝パラメータに与える影響を、ランダム化クロスオーバー法で検討した。対象者の平均年齢は26.0±0.6歳、BMI23.2±0.7。研究に先立ち加速度計を使用してもらい、普段の生活パターンを把握したところ、就寝時間は22~1時の間だった。.本研究での睡眠時間は23~7時とした。夕食のエネルギー量は1日の総摂取量の35%、炭水化物50%、脂質35%で統一し、脂肪燃焼を評価するための標識として、パルミチン酸15mg/kgを食事に添加した。食後は1時間ごとの採血により血糖値、インスリン、中性脂肪、遊離脂肪酸、コルチゾールなどを測定し、睡眠中には睡眠ポリグラフによって睡眠状態を評価した。.夕食を22時に食べた時の代謝パラメータの変化は、18時に食べた時より4時間後ろにシフトし睡眠時間と重なり、血糖値のピークはより高く上昇した。中性脂肪のピークは遅延し、遊離脂肪酸は低値となり、脂肪の燃焼も低下した。睡眠状態への影響は見られなかったが、コルチゾールは増加した。これらの影響は、ふだんの就寝時間が早い人でより強く認められた。.Jun氏は、「夕食を食べる時刻が遅くなる影響は、肥満の人や糖尿病の人で、より大きく現れる可能性がある」と述べる一方、「この違いが食事から就寝までの時間の差によるものなのか、食事の時刻そのものの差によるものなのかは明らかではない」との疑問点も挙げている。例えば、22時に夕食を取ったとしても3時に就寝するのであれば、18時に食事し23時に眠るのと代謝への影響は同じなのかという疑問だ。Jun氏は「食事や睡眠の影響は、個人の代謝や体内時計に基づき、個人ごとに異なる可能性がある」と推測し、「この疑問を、今後の研究で明らかにしていきたい」としている。.この論文を査読した米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスの栄養士であるSamantha Heller氏は、「就寝前に食事をすると、糖と脂肪の代謝が変化するという結果は理にかなっている」と述べるとともに、「人々は、しばしば夕食を食べてから就寝時までに間食をする。この行動には、ストレス、孤独感、怒りなども関連している」と問題の奥深さを指摘する。.その対策としてHeller氏は、コップ1杯の水やハーブティーを飲む、読書や散歩をする、音楽やオーディオブックを聞く、などのアイデアを紹介している。また夕食を食べ過ぎないために、午後に軽くスナックを食べる方法もあるという。そして、「減量とより良い睡眠のためにできる簡単な方法は、夕食後にはキッチンに入らないようにすることだ」と語っている。(HealthDay News 2020年6月11日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/weight-gain-health-news-702/eating-before-bedtime-might-pack-on-the-pounds-758494.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
夕食を遅い時間に取る人は、体重に注意した方が良いかもしれない。「Journal of Clinical Endocrinology&Metabolism」6月11日オンライン版に掲載された報告によると、夕食のタイミングが遅い場合、寝ている間に体重が増える可能性があるという。論文の上席著者である米ジョンズ・ホプキンス大学のJonathan Jun氏は、「1日に口にする食べ物のエネルギー量が同じだとしても、食事の時間次第で体内での代謝が異なる。夕食の時間が遅いと代謝が滞り、血糖値が上がり、体重増加の原因となる物質が増えるために、食べた量以上に肥満が助長されるのかもしれない」と述べている。.Jun氏らは、健康なボランティア20人(男性と女性それぞれ10人ずつ)を対象に、夕食の摂取時間の違いが食後の血糖値や中性脂肪などの代謝パラメータに与える影響を、ランダム化クロスオーバー法で検討した。対象者の平均年齢は26.0±0.6歳、BMI23.2±0.7。研究に先立ち加速度計を使用してもらい、普段の生活パターンを把握したところ、就寝時間は22~1時の間だった。.本研究での睡眠時間は23~7時とした。夕食のエネルギー量は1日の総摂取量の35%、炭水化物50%、脂質35%で統一し、脂肪燃焼を評価するための標識として、パルミチン酸15mg/kgを食事に添加した。食後は1時間ごとの採血により血糖値、インスリン、中性脂肪、遊離脂肪酸、コルチゾールなどを測定し、睡眠中には睡眠ポリグラフによって睡眠状態を評価した。.夕食を22時に食べた時の代謝パラメータの変化は、18時に食べた時より4時間後ろにシフトし睡眠時間と重なり、血糖値のピークはより高く上昇した。中性脂肪のピークは遅延し、遊離脂肪酸は低値となり、脂肪の燃焼も低下した。睡眠状態への影響は見られなかったが、コルチゾールは増加した。これらの影響は、ふだんの就寝時間が早い人でより強く認められた。.Jun氏は、「夕食を食べる時刻が遅くなる影響は、肥満の人や糖尿病の人で、より大きく現れる可能性がある」と述べる一方、「この違いが食事から就寝までの時間の差によるものなのか、食事の時刻そのものの差によるものなのかは明らかではない」との疑問点も挙げている。例えば、22時に夕食を取ったとしても3時に就寝するのであれば、18時に食事し23時に眠るのと代謝への影響は同じなのかという疑問だ。Jun氏は「食事や睡眠の影響は、個人の代謝や体内時計に基づき、個人ごとに異なる可能性がある」と推測し、「この疑問を、今後の研究で明らかにしていきたい」としている。.この論文を査読した米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスの栄養士であるSamantha Heller氏は、「就寝前に食事をすると、糖と脂肪の代謝が変化するという結果は理にかなっている」と述べるとともに、「人々は、しばしば夕食を食べてから就寝時までに間食をする。この行動には、ストレス、孤独感、怒りなども関連している」と問題の奥深さを指摘する。.その対策としてHeller氏は、コップ1杯の水やハーブティーを飲む、読書や散歩をする、音楽やオーディオブックを聞く、などのアイデアを紹介している。また夕食を食べ過ぎないために、午後に軽くスナックを食べる方法もあるという。そして、「減量とより良い睡眠のためにできる簡単な方法は、夕食後にはキッチンに入らないようにすることだ」と語っている。(HealthDay News 2020年6月11日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/weight-gain-health-news-702/eating-before-bedtime-might-pack-on-the-pounds-758494.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.