米国では3月から4月にかけて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによる自宅待機命令が発令された。これを受けて、「コロナウイルス・ベビーブーム」が起こるのではないかと予測する向きもあったが、米インディアナ大学小児科学准教授のDevon Hensel氏らが約1,000人の成人を対象に実施した調査から、ベビーブームには至らない可能性の高いことが明らかになった。Hensel氏らは、2020年4月10〜20日に、米国の成人を代表する1,010人(18〜94歳、平均年齢34.4歳)にオンライン調査を実施。ハグやキス、手を握る、パートナーとの抱擁、自慰行為、セックス、セクスティング(性的な内容を含む文章または写真を携帯電話でやりとりする行為)といった、一人でまたはパートナーと行う10種類の性的な行為の頻度のほか、新型コロナウイルスに関する知識の程度や家族構成、メンタルヘルスなどについて調べた。.その結果、性生活に変化があったと回答した対象者の割合は49.2%で、そのうちの5.4%は10種類の性的な行為の全ての増加、9.2%は全ての減少を報告していた。10種類の行為のうち、最も増加したのは、「ハグ、キス、抱擁、手を握る」であり(19.7%)、最も低下したのも同じ行為だった(22.7%)。.また、一緒に暮らしている子どもの年齢が、両親の性生活に影響を与えていることも分かった。例えば、5歳未満の子どもがいる人では、「ハグ、キス、抱擁、手を握る」という行為の増加を報告する割合が3倍高かった。それに対して、5~12歳の小学生の子どもがいる人では、こうした行為の減少を報告する割合が高かった。.研究グループは、幼い子どもがいる人は、自宅に子どもがいる生活に慣れており、昼寝や早寝の習慣といったパンデミック以前の1日のスケジュールを維持しやすかったのではないかと推察。また、学齢期の子どもがいる人は、通常の自分の仕事に加えて子どもの管理に時間を取られ、セックスの時間をほとんど持てない状況に陥った可能性があるとの見方を示している。.Hensel氏も「パートナーと自宅隔離されることになった人の中には、パートナーとの性的なつながりを保つことに安らぎを見出す人もいるだろう。しかし、中には、保育サービスの停止に伴う子どもの世話や自宅学習のサポート、在宅ワークなど、家でやらなくてはならないことが増えたことでストレスが増大し、セックスへの興味が薄れてしまった人もいるはずだ」との見方を示している。.この研究ではさらに、COVID-19のリスクによるストレスや抑うつ症状が、人々の性生活に影響を及ぼしている可能性も示された。例えば、自宅隔離中に落ち込んだり孤独を感じたりした人では、パートナーとの性的行為の頻度が減少していた。自分や家族がCOVID-19に感染した場合、深刻な状態になる可能性が高いと不安を感じている人や、失業する可能性を懸念している人でも、パートナーとの性的行為の頻度の減少を報告する割合が高かった。.この報告を受けて、米マクリーン病院の精神科医Jacqueline Olds氏は「子どもの年齢にかかわらず、子どもの前でも親は互いに愛情表現をすべきだ」と主張する。「キスやハグ、手を握る、抱きしめるといった行為は良いセックスのためだけのものではない。こうした行為は、学齢期の子どもたちにとって、結婚生活の楽しさを伝えるちょっとしたシグナルにもなる」と説明している。.なお、この研究結果は、査読前の論文のオンラインアーカイブである「medRxiv」に6月12日に掲載されたものであり、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的な結果とみなす必要がある。(HealthDay News 2020年6月25日).https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/coronavirus-1008/coronavirus-baby-boom-survey-says-maybe-not-758920.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
米国では3月から4月にかけて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによる自宅待機命令が発令された。これを受けて、「コロナウイルス・ベビーブーム」が起こるのではないかと予測する向きもあったが、米インディアナ大学小児科学准教授のDevon Hensel氏らが約1,000人の成人を対象に実施した調査から、ベビーブームには至らない可能性の高いことが明らかになった。Hensel氏らは、2020年4月10〜20日に、米国の成人を代表する1,010人(18〜94歳、平均年齢34.4歳)にオンライン調査を実施。ハグやキス、手を握る、パートナーとの抱擁、自慰行為、セックス、セクスティング(性的な内容を含む文章または写真を携帯電話でやりとりする行為)といった、一人でまたはパートナーと行う10種類の性的な行為の頻度のほか、新型コロナウイルスに関する知識の程度や家族構成、メンタルヘルスなどについて調べた。.その結果、性生活に変化があったと回答した対象者の割合は49.2%で、そのうちの5.4%は10種類の性的な行為の全ての増加、9.2%は全ての減少を報告していた。10種類の行為のうち、最も増加したのは、「ハグ、キス、抱擁、手を握る」であり(19.7%)、最も低下したのも同じ行為だった(22.7%)。.また、一緒に暮らしている子どもの年齢が、両親の性生活に影響を与えていることも分かった。例えば、5歳未満の子どもがいる人では、「ハグ、キス、抱擁、手を握る」という行為の増加を報告する割合が3倍高かった。それに対して、5~12歳の小学生の子どもがいる人では、こうした行為の減少を報告する割合が高かった。.研究グループは、幼い子どもがいる人は、自宅に子どもがいる生活に慣れており、昼寝や早寝の習慣といったパンデミック以前の1日のスケジュールを維持しやすかったのではないかと推察。また、学齢期の子どもがいる人は、通常の自分の仕事に加えて子どもの管理に時間を取られ、セックスの時間をほとんど持てない状況に陥った可能性があるとの見方を示している。.Hensel氏も「パートナーと自宅隔離されることになった人の中には、パートナーとの性的なつながりを保つことに安らぎを見出す人もいるだろう。しかし、中には、保育サービスの停止に伴う子どもの世話や自宅学習のサポート、在宅ワークなど、家でやらなくてはならないことが増えたことでストレスが増大し、セックスへの興味が薄れてしまった人もいるはずだ」との見方を示している。.この研究ではさらに、COVID-19のリスクによるストレスや抑うつ症状が、人々の性生活に影響を及ぼしている可能性も示された。例えば、自宅隔離中に落ち込んだり孤独を感じたりした人では、パートナーとの性的行為の頻度が減少していた。自分や家族がCOVID-19に感染した場合、深刻な状態になる可能性が高いと不安を感じている人や、失業する可能性を懸念している人でも、パートナーとの性的行為の頻度の減少を報告する割合が高かった。.この報告を受けて、米マクリーン病院の精神科医Jacqueline Olds氏は「子どもの年齢にかかわらず、子どもの前でも親は互いに愛情表現をすべきだ」と主張する。「キスやハグ、手を握る、抱きしめるといった行為は良いセックスのためだけのものではない。こうした行為は、学齢期の子どもたちにとって、結婚生活の楽しさを伝えるちょっとしたシグナルにもなる」と説明している。.なお、この研究結果は、査読前の論文のオンラインアーカイブである「medRxiv」に6月12日に掲載されたものであり、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的な結果とみなす必要がある。(HealthDay News 2020年6月25日).https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/coronavirus-1008/coronavirus-baby-boom-survey-says-maybe-not-758920.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.