死亡リスクと関連する57の社会的および行動的要因のうち、最も密接な関連を示したのは、喫煙、離婚歴、アルコール乱用歴であったことが、「Proceedings of the National Academy of Sciences」6月22日オンライン版に発表された研究論文で明らかにされた。米国人の平均寿命は、ほかの先進国と比べると30年間停滞しているが、その理由は明確になっていない。ただし、生物学的要因と健康状態が死亡リスクに深く関わっていることは既に分かっている。そこで、ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)のキネシオロジーのEli Puterman氏らは、米スタンフォード大学などの研究者たちとの協力のもと、社会的、心理的、経済的、行動的要因に焦点を合わせて、死亡との関連を探った。.Puterman氏らは、US Health and Retirement Studyから米国の成人を代表する1万3,611人分の調査データ(1992〜2008年)を集め、2008〜2014年の間に死亡した人々において、57の社会的および行動的要因のうち、死亡に大きく影響を与えた可能性がある要因について調べた。対象者の年齢は52〜104歳(平均年齢69.3歳)で、58.6%が女性だった。.その結果、死亡リスクと密接に関連している要因として、関連性の強い順に、以下のものが確認された:現在の喫煙習慣、離婚歴、アルコール乱用歴、最近の経済的苦境、失業歴、過去の喫煙歴、低い生活満足度、未婚、補助的栄養支援プログラム(フードスタンプ)の利用、悲観的な感情状態(人生のネガティブな面ばかりを見たり感じたりする傾向)。.今回の研究について、研究論文の筆頭著者であるPuterman氏は「この研究は、健康と死亡との関係について真に理解するには、生涯というスパンでアプローチする必要があることを示している」と述べている。例えば、この研究では、対象者が現在失業中であるのかを聞くのではなく、過去16年間の失業歴を確認し、それが死亡の予測因子となり得るのかを検討したという。同氏はこの点について、「過去の失業歴が、その人の生涯において、その一時点で完結して、その後の人生に何の影響も及ぼさなかったとは限らない。表面的に何も生じなかったがゆえに見逃されていることがあるとも考えられる。われわれの研究は、一個人の生涯というレンズを通して潜在的な長期的影響に目を向けたものだ」と説明している。.Puterman氏は「喫煙は、40年以上も前から死亡の最大の予測因子の一つとされている。しかし、例えば、"悲観的な感情状態"という要因の存在を特定することにより、この要因を標的にした介入を実施するべきではないかとする考え方も浮上する。今回の研究で検討した社会的・行動的な要因に対する介入や政策の変更にお金と労力を費やせば、将来的に、非常に大きな利益をもたらす可能性がある」との見方を示している。(HealthDay News 2020年6月24日).https://consumer.healthday.com/senior-citizen-information-31/misc-death-and-dying-news-172/what-behaviors-will-shorten-your-life-758842.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
死亡リスクと関連する57の社会的および行動的要因のうち、最も密接な関連を示したのは、喫煙、離婚歴、アルコール乱用歴であったことが、「Proceedings of the National Academy of Sciences」6月22日オンライン版に発表された研究論文で明らかにされた。米国人の平均寿命は、ほかの先進国と比べると30年間停滞しているが、その理由は明確になっていない。ただし、生物学的要因と健康状態が死亡リスクに深く関わっていることは既に分かっている。そこで、ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)のキネシオロジーのEli Puterman氏らは、米スタンフォード大学などの研究者たちとの協力のもと、社会的、心理的、経済的、行動的要因に焦点を合わせて、死亡との関連を探った。.Puterman氏らは、US Health and Retirement Studyから米国の成人を代表する1万3,611人分の調査データ(1992〜2008年)を集め、2008〜2014年の間に死亡した人々において、57の社会的および行動的要因のうち、死亡に大きく影響を与えた可能性がある要因について調べた。対象者の年齢は52〜104歳(平均年齢69.3歳)で、58.6%が女性だった。.その結果、死亡リスクと密接に関連している要因として、関連性の強い順に、以下のものが確認された:現在の喫煙習慣、離婚歴、アルコール乱用歴、最近の経済的苦境、失業歴、過去の喫煙歴、低い生活満足度、未婚、補助的栄養支援プログラム(フードスタンプ)の利用、悲観的な感情状態(人生のネガティブな面ばかりを見たり感じたりする傾向)。.今回の研究について、研究論文の筆頭著者であるPuterman氏は「この研究は、健康と死亡との関係について真に理解するには、生涯というスパンでアプローチする必要があることを示している」と述べている。例えば、この研究では、対象者が現在失業中であるのかを聞くのではなく、過去16年間の失業歴を確認し、それが死亡の予測因子となり得るのかを検討したという。同氏はこの点について、「過去の失業歴が、その人の生涯において、その一時点で完結して、その後の人生に何の影響も及ぼさなかったとは限らない。表面的に何も生じなかったがゆえに見逃されていることがあるとも考えられる。われわれの研究は、一個人の生涯というレンズを通して潜在的な長期的影響に目を向けたものだ」と説明している。.Puterman氏は「喫煙は、40年以上も前から死亡の最大の予測因子の一つとされている。しかし、例えば、"悲観的な感情状態"という要因の存在を特定することにより、この要因を標的にした介入を実施するべきではないかとする考え方も浮上する。今回の研究で検討した社会的・行動的な要因に対する介入や政策の変更にお金と労力を費やせば、将来的に、非常に大きな利益をもたらす可能性がある」との見方を示している。(HealthDay News 2020年6月24日).https://consumer.healthday.com/senior-citizen-information-31/misc-death-and-dying-news-172/what-behaviors-will-shorten-your-life-758842.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.