米国のガイドラインの推奨量を満たす運動を行っている人は、実際に死亡リスクが低いことが報告された。推奨量を満たしていない人とのリスク差は、最大40%に及ぶという。山東大学(中国)のBo Xi氏らの研究によるもので、詳細は「BMJ」7月1日オンライン版に掲載された。米国の「身体活動ガイドライン」は、週に150分以上の中強度の有酸素運動、または75分以上の高強度の有酸素運動、および、週に2日以上の筋力トレーニングを推奨している。Xi氏らは、この推奨を順守した場合の効果を、米国国民健康栄養調査の一部として実施されている健康に関する世帯調査(National Health Interview Survey)の1997~2014年のデータから解析した。.解析対象は18~85歳の米国人47万9,856人。これをガイドラインの推奨量を守らなかった群(26万8,193人)、有酸素運動の推奨量のみ満たしていた群(11万3,851人)、筋力トレーニングの推奨量のみ満たしていた群(2万1,428人)、有酸素運動と筋力トレーニング双方の推奨量を満たしていた群(7万6,384人)の4群に分類。全死因による死亡、および、特定の死因(がん、心血管疾患、慢性下気道疾患、事故・傷害、糖尿病、アルツハイマー病、インフルエンザ・肺炎、腎炎・ネフローゼ・ネフローゼ症候群)による死亡リスクを検討した。.追跡期間中央値8.75年の間に、5万9,819人が死亡した。特定の死因については、1万4,375人ががん、1万3,509人が心血管疾患、3,188人が慢性下気道疾患、2,477人が事故・傷害、1,803人が糖尿病、1,470人がアルツハイマー病、1,135人がインフルエンザ・肺炎、1,129人が腎炎・ネフローゼ・ネフローゼ症候群だった。.年齢、性別、人種/民族、BMI、喫煙・飲酒習慣、婚姻状況、教育歴で調整後、ガイドラインの推奨量を守らなかった群を基準に、他の群の全死因による死亡リスクを比較。すると、有酸素運動の推奨量のみを満たしていた群では、ハザード比(HR)が0.71(95%信頼区間0.69~0.72)であり、約3割の有意なリスク低下が見られた。また、筋力トレーニングの推奨量のみを満たしていた群も、HR0.89(0.85~0.94)と有意にリスクが低かった。さらに、有酸素運動と筋力トレーニング双方の推奨量を満たしていた群は同0.60(0.57~0.62)であり、死亡リスクが4割も低かった。.なお、有酸素運動と筋力トレーニング双方の推奨量を満たしていた群と、有酸素運動の推奨量のみを満たしていた群では、特定の死因の全てにおいて、有意な死亡リスクの低下が認められた。一方、筋力トレーニングの推奨量のみを満たしていた群では、がん、心血管疾患、慢性下気道疾患による死亡リスクの有意な低下が認められた。.有酸素運動を、中強度で週に150分以上行った場合と、高強度で75分以上行った場合を比較すると、前者は150分未満の群に対しHR0.79(95%信頼区間0.77~0.81)、後者は75分未満の群に対し同0.69(0.67~0.71)であり、高強度で行った方がやや死亡リスク抑制効果が高かった。.以上の結果のまとめとしてXi氏は、「この知見は、米国の身体活動ガイドラインで推奨している運動量が、寿命に対して重要なメリットをもたらすことを裏づけるものである」と述べるとともに、「ガイドラインが示している最低限の推奨量を上回る運動を行えば、さらに大きな健康改善効果を得られる可能性がある」と付け加えている。(HealthDay News 2020年7月3日).https://consumer.healthday.com/general-health-information-16/survival-news-783/follow-exercise-guidelines-and-you-ll-live-longer-study-says-759090.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
米国のガイドラインの推奨量を満たす運動を行っている人は、実際に死亡リスクが低いことが報告された。推奨量を満たしていない人とのリスク差は、最大40%に及ぶという。山東大学(中国)のBo Xi氏らの研究によるもので、詳細は「BMJ」7月1日オンライン版に掲載された。米国の「身体活動ガイドライン」は、週に150分以上の中強度の有酸素運動、または75分以上の高強度の有酸素運動、および、週に2日以上の筋力トレーニングを推奨している。Xi氏らは、この推奨を順守した場合の効果を、米国国民健康栄養調査の一部として実施されている健康に関する世帯調査(National Health Interview Survey)の1997~2014年のデータから解析した。.解析対象は18~85歳の米国人47万9,856人。これをガイドラインの推奨量を守らなかった群(26万8,193人)、有酸素運動の推奨量のみ満たしていた群(11万3,851人)、筋力トレーニングの推奨量のみ満たしていた群(2万1,428人)、有酸素運動と筋力トレーニング双方の推奨量を満たしていた群(7万6,384人)の4群に分類。全死因による死亡、および、特定の死因(がん、心血管疾患、慢性下気道疾患、事故・傷害、糖尿病、アルツハイマー病、インフルエンザ・肺炎、腎炎・ネフローゼ・ネフローゼ症候群)による死亡リスクを検討した。.追跡期間中央値8.75年の間に、5万9,819人が死亡した。特定の死因については、1万4,375人ががん、1万3,509人が心血管疾患、3,188人が慢性下気道疾患、2,477人が事故・傷害、1,803人が糖尿病、1,470人がアルツハイマー病、1,135人がインフルエンザ・肺炎、1,129人が腎炎・ネフローゼ・ネフローゼ症候群だった。.年齢、性別、人種/民族、BMI、喫煙・飲酒習慣、婚姻状況、教育歴で調整後、ガイドラインの推奨量を守らなかった群を基準に、他の群の全死因による死亡リスクを比較。すると、有酸素運動の推奨量のみを満たしていた群では、ハザード比(HR)が0.71(95%信頼区間0.69~0.72)であり、約3割の有意なリスク低下が見られた。また、筋力トレーニングの推奨量のみを満たしていた群も、HR0.89(0.85~0.94)と有意にリスクが低かった。さらに、有酸素運動と筋力トレーニング双方の推奨量を満たしていた群は同0.60(0.57~0.62)であり、死亡リスクが4割も低かった。.なお、有酸素運動と筋力トレーニング双方の推奨量を満たしていた群と、有酸素運動の推奨量のみを満たしていた群では、特定の死因の全てにおいて、有意な死亡リスクの低下が認められた。一方、筋力トレーニングの推奨量のみを満たしていた群では、がん、心血管疾患、慢性下気道疾患による死亡リスクの有意な低下が認められた。.有酸素運動を、中強度で週に150分以上行った場合と、高強度で75分以上行った場合を比較すると、前者は150分未満の群に対しHR0.79(95%信頼区間0.77~0.81)、後者は75分未満の群に対し同0.69(0.67~0.71)であり、高強度で行った方がやや死亡リスク抑制効果が高かった。.以上の結果のまとめとしてXi氏は、「この知見は、米国の身体活動ガイドラインで推奨している運動量が、寿命に対して重要なメリットをもたらすことを裏づけるものである」と述べるとともに、「ガイドラインが示している最低限の推奨量を上回る運動を行えば、さらに大きな健康改善効果を得られる可能性がある」と付け加えている。(HealthDay News 2020年7月3日).https://consumer.healthday.com/general-health-information-16/survival-news-783/follow-exercise-guidelines-and-you-ll-live-longer-study-says-759090.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.