乳房再建術や豊胸術で使う乳房インプラント(ゲル充填人工乳房)の周辺に悪性リンパ腫が発生する可能性のあることについて知っている米国人女性は、およそ7人に1人と認知度の低いことが、米セントルイス・ワシントン大学のJustin Sacks氏らの調査から明らかになった。調査結果は、「Plastic and Reconstructive Surgery」7月号に発表された。このタイプの悪性リンパ腫は「乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)」と呼ばれる。2018年におけるBIA-ALCLの発症率は、表面がざらざらしたテクスチャードタイプのインプラントを使用した女性で3,000~1万2,000人に1人と推定されている。一方、表面が滑らかなタイプのインプラント使用例では、BIA-ALCLの発症率はより低いとされている。これまでに、世界で620件以上のBIA-ALCL発症例が報告されており、死亡例も17件を超えている。.今回、Sacks氏らは、クラウドソーシングを利用して、500人の米国の一般女性に対し、BIA-ALCLに関する調査を実施した。調査内容は、調査参加者の年齢や性別、人種など個人の属性に関するものや乳房インプラント手術の経験のほか、11個の質問でBIA-ALCLの知識や懸念について尋ねるものであった。なお、調査参加者の71.4%は白人で、69.4%は2年制以上の大学を卒業しており、60.4%は年収が2万5,000~9万9,999ドル(約264万~1055万円)であった。.回答を分析した結果、参加者全体でBIA-ALCLについて聞いたことがあると回答したのは、13.6%にとどまっていた。また、参加者の12.0%は、乳房インプラントの挿入経験者であるにもかかわらず、その中でBIA-ALCLについて知っている人は約半数の51.7%に過ぎなかった。BIA-ALCLに関する情報の主な入手先は、医療従事者や、メディアやヘルスケア関連のブログであることも分かった。.調査対象者にBIA-ALCLのリスクに関する情報を提供した上で、それでも乳房再建のためのインプラント手術を望むかどうかを尋ねたところ、回答者の58.4%が「希望する」と回答した。また、豊胸術でのインプラント挿入に関しても、45.8%が「希望する」と回答した。BIA-ALCLのリスクに関する情報提供を受けて、「インプラント手術を受けないかもしれない」と考えを改めた人の割合は、35.8%にとどまった。さらに、既にインプラントを挿入している回答者の3分の2は、BIA-ALCLに関して「非常に懸念している(10.0%)」、または「ある程度懸念している(56.6%)」と回答し、35.0%は「インプラントの除去を真剣に考慮している」と回答した。.現在、インプラントに関連した症状が現れていない女性に対しては、乳房インプラントの除去は推奨されていない。Sacks氏らによると、BIA-ALCLの主な症状は腫れやインプラント周辺の腫瘤やしこり、痛みなどである。.Sacks氏らは、「この調査結果は、外科医が、現在診ている患者や今後診ることになる患者に対し、BIA-ALCLのリスクを勘案しながら診療を進める上で一助となるものだ。また、一般の人々へのBIA-ALCLの啓発にも役立つだろう」とコメントしている。(HealthDay News 2020年7月30日).https://consumer.healthday.com/cosmetic-information-8/breast-implant-news-725/few-u-s-women-know-about-cancer-that-develops-near-breast-implants-study-759152.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
乳房再建術や豊胸術で使う乳房インプラント(ゲル充填人工乳房)の周辺に悪性リンパ腫が発生する可能性のあることについて知っている米国人女性は、およそ7人に1人と認知度の低いことが、米セントルイス・ワシントン大学のJustin Sacks氏らの調査から明らかになった。調査結果は、「Plastic and Reconstructive Surgery」7月号に発表された。このタイプの悪性リンパ腫は「乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)」と呼ばれる。2018年におけるBIA-ALCLの発症率は、表面がざらざらしたテクスチャードタイプのインプラントを使用した女性で3,000~1万2,000人に1人と推定されている。一方、表面が滑らかなタイプのインプラント使用例では、BIA-ALCLの発症率はより低いとされている。これまでに、世界で620件以上のBIA-ALCL発症例が報告されており、死亡例も17件を超えている。.今回、Sacks氏らは、クラウドソーシングを利用して、500人の米国の一般女性に対し、BIA-ALCLに関する調査を実施した。調査内容は、調査参加者の年齢や性別、人種など個人の属性に関するものや乳房インプラント手術の経験のほか、11個の質問でBIA-ALCLの知識や懸念について尋ねるものであった。なお、調査参加者の71.4%は白人で、69.4%は2年制以上の大学を卒業しており、60.4%は年収が2万5,000~9万9,999ドル(約264万~1055万円)であった。.回答を分析した結果、参加者全体でBIA-ALCLについて聞いたことがあると回答したのは、13.6%にとどまっていた。また、参加者の12.0%は、乳房インプラントの挿入経験者であるにもかかわらず、その中でBIA-ALCLについて知っている人は約半数の51.7%に過ぎなかった。BIA-ALCLに関する情報の主な入手先は、医療従事者や、メディアやヘルスケア関連のブログであることも分かった。.調査対象者にBIA-ALCLのリスクに関する情報を提供した上で、それでも乳房再建のためのインプラント手術を望むかどうかを尋ねたところ、回答者の58.4%が「希望する」と回答した。また、豊胸術でのインプラント挿入に関しても、45.8%が「希望する」と回答した。BIA-ALCLのリスクに関する情報提供を受けて、「インプラント手術を受けないかもしれない」と考えを改めた人の割合は、35.8%にとどまった。さらに、既にインプラントを挿入している回答者の3分の2は、BIA-ALCLに関して「非常に懸念している(10.0%)」、または「ある程度懸念している(56.6%)」と回答し、35.0%は「インプラントの除去を真剣に考慮している」と回答した。.現在、インプラントに関連した症状が現れていない女性に対しては、乳房インプラントの除去は推奨されていない。Sacks氏らによると、BIA-ALCLの主な症状は腫れやインプラント周辺の腫瘤やしこり、痛みなどである。.Sacks氏らは、「この調査結果は、外科医が、現在診ている患者や今後診ることになる患者に対し、BIA-ALCLのリスクを勘案しながら診療を進める上で一助となるものだ。また、一般の人々へのBIA-ALCLの啓発にも役立つだろう」とコメントしている。(HealthDay News 2020年7月30日).https://consumer.healthday.com/cosmetic-information-8/breast-implant-news-725/few-u-s-women-know-about-cancer-that-develops-near-breast-implants-study-759152.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.