たいていの運動は長寿に同程度の効果がある可能性を示唆する研究結果を、米アリゾナ州立大学のConnor Sheehan氏らが発表した。研究では、特に、バレーボールやストレッチ、ウォーキングやエアロビクスなどのフィットネスが有効である可能性が示されたという。研究結果の詳細は、「Medicine and Science in Sports and Exercise」6月8日オンライン版に掲載された。Sheehan氏らは、米国の入院していない18〜84歳の成人の代表サンプルとして、全米健康聞取り調査(NHIS)が集めた2万6,727人のデータを用いて、15種類の運動と全死亡との関連を調べた。15種類の運動は、ウォーキング、ランニング、エアロビクス、ストレッチ、ウェイトリフティング、サイクリング、階段の昇降(以上、「フィットネス」のカテゴリー)、野球、バスケットボール、バレーボール、サッカー、フットボール(以上、「チームスポーツ」のカテゴリー)、水泳、テニス、ゴルフ〔以上、「facilities(特定の設備が必要なスポーツ)」のカテゴリー〕である。NHISへの参加者は、1998年に自分が行っている運動について回答し、全死亡について2015年まで追跡されていた。.17年間に及ぶ追跡期間中に4,955人が死亡していた。最初に、運動各種または運動カテゴリーごとに、他の運動の総運動量と、個人の属性や社会経済的地位、健康維持のための行動などの因子を調整して解析した結果、ウォーキング、エアロビクス、ストレッチ、ウェイトリフティング、サイクリング、階段の昇降が、全死亡リスクの低下と関連することが明らかになった(オッズ比は0.78〜0.93)。カテゴリーでは、「フィットネス」と「全ての運動」が一貫して、全死亡リスクの低下と関連していた。.次いで、15種類全ての運動の運動量と交絡因子を調整して、運動各種または運動カテゴリーと全死亡リスクとの関連を検討したところ、バレーボール(オッズ比0.53、95%信頼区間0.31〜0.93)とストレッチ(オッズ比0.90、95%信頼区間0.83〜0.97)は死亡リスクの低下と独自に関連することが明らかになった。カテゴリーでは、「フィットネス」のみが一貫して死亡リスクの低下と関連していた。.この研究ではまた、野球が寿命の延長にマイナスの影響を及ぼすことも明らかになった。この点についてSheehan氏らは、米国の野球に根付いている噛みタバコの習慣が原因であると推測している。その反面、慢性外傷性脳症(CTE)の発症にも関連するコンタクトスポーツであるフットボールと死亡率上昇との間に有意な関連は認められなかった。.さらに、運動がもたらすメリットは、社会集団が異なっても同様に認められたという。この点についてSheehan氏は、「運動をすれば、誰でも健康面に同様のベネフィットが得られることが分かった。運動は、人々の健康増進の土台となるものだ」と話している。その上で同氏は、「今回の研究結果から導き出せる最善のアドバイスは、普段、楽しみながらやっている運動を、今後も継続していくべきだということだ。バレーボールよりもストレッチの方が苦手な人もいるだろうし、研究結果に合わせて無理に生活習慣を変える必要はない」と助言している。.Sheehan氏らが、新型コロナウイルス感染症が蔓延している現在の状況下で推奨する運動はヨガである。ヨガは、狭い場所でも行え、準備するものも少なく、メンタルヘルスにも良いからである。同氏は、「ヨガをしに行く目的が、友人と一緒にできるからということであるなら、今の状況下では、YouTubeのヨガを友人と一緒にZoomで行えば良い。そうすれば、運動がもたらす社会的ベネフィットだけでなく、心理社会的ベネフィットも得ることができる」と述べている。(HealthDay News 2020年7月31日).https://consumer.healthday.com/senior-citizen-information-31/misc-death-and-dying-news-172/for-a-longer-life-any-exercise-is-good-exercise-study-759628.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
たいていの運動は長寿に同程度の効果がある可能性を示唆する研究結果を、米アリゾナ州立大学のConnor Sheehan氏らが発表した。研究では、特に、バレーボールやストレッチ、ウォーキングやエアロビクスなどのフィットネスが有効である可能性が示されたという。研究結果の詳細は、「Medicine and Science in Sports and Exercise」6月8日オンライン版に掲載された。Sheehan氏らは、米国の入院していない18〜84歳の成人の代表サンプルとして、全米健康聞取り調査(NHIS)が集めた2万6,727人のデータを用いて、15種類の運動と全死亡との関連を調べた。15種類の運動は、ウォーキング、ランニング、エアロビクス、ストレッチ、ウェイトリフティング、サイクリング、階段の昇降(以上、「フィットネス」のカテゴリー)、野球、バスケットボール、バレーボール、サッカー、フットボール(以上、「チームスポーツ」のカテゴリー)、水泳、テニス、ゴルフ〔以上、「facilities(特定の設備が必要なスポーツ)」のカテゴリー〕である。NHISへの参加者は、1998年に自分が行っている運動について回答し、全死亡について2015年まで追跡されていた。.17年間に及ぶ追跡期間中に4,955人が死亡していた。最初に、運動各種または運動カテゴリーごとに、他の運動の総運動量と、個人の属性や社会経済的地位、健康維持のための行動などの因子を調整して解析した結果、ウォーキング、エアロビクス、ストレッチ、ウェイトリフティング、サイクリング、階段の昇降が、全死亡リスクの低下と関連することが明らかになった(オッズ比は0.78〜0.93)。カテゴリーでは、「フィットネス」と「全ての運動」が一貫して、全死亡リスクの低下と関連していた。.次いで、15種類全ての運動の運動量と交絡因子を調整して、運動各種または運動カテゴリーと全死亡リスクとの関連を検討したところ、バレーボール(オッズ比0.53、95%信頼区間0.31〜0.93)とストレッチ(オッズ比0.90、95%信頼区間0.83〜0.97)は死亡リスクの低下と独自に関連することが明らかになった。カテゴリーでは、「フィットネス」のみが一貫して死亡リスクの低下と関連していた。.この研究ではまた、野球が寿命の延長にマイナスの影響を及ぼすことも明らかになった。この点についてSheehan氏らは、米国の野球に根付いている噛みタバコの習慣が原因であると推測している。その反面、慢性外傷性脳症(CTE)の発症にも関連するコンタクトスポーツであるフットボールと死亡率上昇との間に有意な関連は認められなかった。.さらに、運動がもたらすメリットは、社会集団が異なっても同様に認められたという。この点についてSheehan氏は、「運動をすれば、誰でも健康面に同様のベネフィットが得られることが分かった。運動は、人々の健康増進の土台となるものだ」と話している。その上で同氏は、「今回の研究結果から導き出せる最善のアドバイスは、普段、楽しみながらやっている運動を、今後も継続していくべきだということだ。バレーボールよりもストレッチの方が苦手な人もいるだろうし、研究結果に合わせて無理に生活習慣を変える必要はない」と助言している。.Sheehan氏らが、新型コロナウイルス感染症が蔓延している現在の状況下で推奨する運動はヨガである。ヨガは、狭い場所でも行え、準備するものも少なく、メンタルヘルスにも良いからである。同氏は、「ヨガをしに行く目的が、友人と一緒にできるからということであるなら、今の状況下では、YouTubeのヨガを友人と一緒にZoomで行えば良い。そうすれば、運動がもたらす社会的ベネフィットだけでなく、心理社会的ベネフィットも得ることができる」と述べている。(HealthDay News 2020年7月31日).https://consumer.healthday.com/senior-citizen-information-31/misc-death-and-dying-news-172/for-a-longer-life-any-exercise-is-good-exercise-study-759628.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.