電子タバコの使用が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスク上昇と関連していることが、米国の若年者を対象とする研究から明らかになった。米スタンフォード大学のBonnie Halpern-Felsher氏らが5月に行ったオンライン調査の結果であり、詳細は「Journal of Adolescent Health」8月11日オンライン版に掲載された。Halpern-Felsher氏らは、2020年5月6日~14日にかけて、若年者(13~24歳)の紙巻きタバコおよび電子タバコの使用状況とCOVID-19関連症状、検査受診、陽性率の関連についてオンライン調査を実施。米国内50州から4,351人の回答を得た。そのうち電子タバコ使用者が50.2%、非使用者は49.8%であり、年齢は13~17歳が33.7%、18~20歳が41.6%、21~24歳が24.7%だった。.多重ロジスティック回帰分析により非喫煙者を基準として、各評価項目のオッズ比(OR)を求めると、以下の有意な関連が認められた。.まず、COVID-19の検査受診に関しては、紙巻きタバコのみの使用者はOR3.94、電子タバコのみの使用者はOR3.25、両方の使用者はOR3.58だった。検査結果が陽性であった割合は、電子タバコのみの使用者はOR 5.05、両方の使用者はOR6.97となり、非喫煙者に比べて最大約7倍に上った。.次に、過去30日間の使用との関連を検討すると、紙巻きタバコと電子タバコ両方の使用者では、COVID-19関連症状(咳、発熱、疲労、呼吸困難など)のORが4.69であり、有意な関連が認められた。また、過去30日間に両方を使用した人の検査受診のORは9.16と9倍を上回った。.この研究結果を受け、米国の一部の政治家から米食品医薬品局(FDA)に対して、COVID-19が収束するまで全ての電子タバコ製品の販売停止を求める声が上がっている。Halpern-Felsher氏も、「電子タバコのリスクはかなり高く、安全ではないことを人々に認識してもらいたい。電子タバコは、単なる『フレーバー付きの無害な水蒸気』ではないのだ」と強調する。.この研究は、電子タバコとCOVID-19罹患の因果関係を証明するものではない。しかしHalpern-Felsher氏は、「電子タバコ使用者や紙巻きタバコの喫煙者がCOVID-19に罹患しやすいことを説明する、数多くの生物学的な要因が考えられる」と指摘する。.例えば、電子タバコは肺や免疫システムに影響を与えるだけでなく、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2の細胞への侵入を助けるように働く可能性が示唆されているという。さらに同氏は、「電子タバコのデバイスを他の人と共用することで感染が広がったり、感染者が吐き出した電子タバコの水蒸気に含まれるウイルスが、周囲の人たちに感染したりする可能性も考えられる」と指摘。そして、「われわれの研究によって、電子タバコが関係する新たな深刻な問題が浮かび上がった。電子タバコを販売しなければならない理由は何一つない」と主張している。.米ノースウェル・ヘルスのタバコ対策センターのPatricia Folan氏は今回の報告を受けて、「若者に電子タバコの使用や喫煙をやめさせることの重要性が明確に示された」とし、「若者に禁煙を促す手段としては、電話やオンラインの禁煙相談プログラムも使用可能だ」と述べている。.一方、米ハンティントン病院のMichael Grosso氏は「タバコ製品が気道上皮を傷つけ、感染症リスクを高める可能性は十分考えられる。一方で、電子タバコの使用はリスク行動のマーカーでもある」として、電子タバコや紙巻きタバコが直接の原因となってCOVID-19罹患リスクが上昇するのかどうかについては、さらなる検討が必要との見解を示している。ただし、「現時点で因果関係は不明ではあるものの、電子タバコを使用する若年者は、COVID-19の感染や合併症の深刻なリスクにさらされていると考えられる」と付け加えている。(HealthDay News 2020年8月11日).https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/coronavirus-1008/covid-19-risk-up-to-7-times-higher-for-young-vapers-760279.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
電子タバコの使用が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスク上昇と関連していることが、米国の若年者を対象とする研究から明らかになった。米スタンフォード大学のBonnie Halpern-Felsher氏らが5月に行ったオンライン調査の結果であり、詳細は「Journal of Adolescent Health」8月11日オンライン版に掲載された。Halpern-Felsher氏らは、2020年5月6日~14日にかけて、若年者(13~24歳)の紙巻きタバコおよび電子タバコの使用状況とCOVID-19関連症状、検査受診、陽性率の関連についてオンライン調査を実施。米国内50州から4,351人の回答を得た。そのうち電子タバコ使用者が50.2%、非使用者は49.8%であり、年齢は13~17歳が33.7%、18~20歳が41.6%、21~24歳が24.7%だった。.多重ロジスティック回帰分析により非喫煙者を基準として、各評価項目のオッズ比(OR)を求めると、以下の有意な関連が認められた。.まず、COVID-19の検査受診に関しては、紙巻きタバコのみの使用者はOR3.94、電子タバコのみの使用者はOR3.25、両方の使用者はOR3.58だった。検査結果が陽性であった割合は、電子タバコのみの使用者はOR 5.05、両方の使用者はOR6.97となり、非喫煙者に比べて最大約7倍に上った。.次に、過去30日間の使用との関連を検討すると、紙巻きタバコと電子タバコ両方の使用者では、COVID-19関連症状(咳、発熱、疲労、呼吸困難など)のORが4.69であり、有意な関連が認められた。また、過去30日間に両方を使用した人の検査受診のORは9.16と9倍を上回った。.この研究結果を受け、米国の一部の政治家から米食品医薬品局(FDA)に対して、COVID-19が収束するまで全ての電子タバコ製品の販売停止を求める声が上がっている。Halpern-Felsher氏も、「電子タバコのリスクはかなり高く、安全ではないことを人々に認識してもらいたい。電子タバコは、単なる『フレーバー付きの無害な水蒸気』ではないのだ」と強調する。.この研究は、電子タバコとCOVID-19罹患の因果関係を証明するものではない。しかしHalpern-Felsher氏は、「電子タバコ使用者や紙巻きタバコの喫煙者がCOVID-19に罹患しやすいことを説明する、数多くの生物学的な要因が考えられる」と指摘する。.例えば、電子タバコは肺や免疫システムに影響を与えるだけでなく、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2の細胞への侵入を助けるように働く可能性が示唆されているという。さらに同氏は、「電子タバコのデバイスを他の人と共用することで感染が広がったり、感染者が吐き出した電子タバコの水蒸気に含まれるウイルスが、周囲の人たちに感染したりする可能性も考えられる」と指摘。そして、「われわれの研究によって、電子タバコが関係する新たな深刻な問題が浮かび上がった。電子タバコを販売しなければならない理由は何一つない」と主張している。.米ノースウェル・ヘルスのタバコ対策センターのPatricia Folan氏は今回の報告を受けて、「若者に電子タバコの使用や喫煙をやめさせることの重要性が明確に示された」とし、「若者に禁煙を促す手段としては、電話やオンラインの禁煙相談プログラムも使用可能だ」と述べている。.一方、米ハンティントン病院のMichael Grosso氏は「タバコ製品が気道上皮を傷つけ、感染症リスクを高める可能性は十分考えられる。一方で、電子タバコの使用はリスク行動のマーカーでもある」として、電子タバコや紙巻きタバコが直接の原因となってCOVID-19罹患リスクが上昇するのかどうかについては、さらなる検討が必要との見解を示している。ただし、「現時点で因果関係は不明ではあるものの、電子タバコを使用する若年者は、COVID-19の感染や合併症の深刻なリスクにさらされていると考えられる」と付け加えている。(HealthDay News 2020年8月11日).https://consumer.healthday.com/infectious-disease-information-21/coronavirus-1008/covid-19-risk-up-to-7-times-higher-for-young-vapers-760279.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.