高カロリーで脂肪分の多い食べ物を大食いしてしまい、後から後悔することはないだろうか? しかし、「British Journal of Nutrition」8月号に掲載された論文によると、あなたが健康であり習慣的に過食をしていないのであれば、体は食べ過ぎた分を上手に処理してくれるようだ。満腹と感じる量の2倍ものピザを食べた後にも、血糖値は顕著な上昇を示さなかったという。この研究は、14人の若年成人男性(平均年齢28±5歳、BMI24.2±2.2)を対象とする、無作為化クロスオーバー試験で実施された。参加者全員に2回の食事負荷試験を行い、1回はピザを「快適に満腹感を感じる」まで食べてもらい、もう1回は「もう全く口に入らなくなる」までピザを食べてもらった。その結果、各条件での平均摂取エネルギー量は、前者では大きなピザ1枚に相当する1,584kcal (95%信頼区間1,364~1,804)、後者ではその約2倍に当たる3,113kcal(同2,620~3,605)にも達した。.論文の上席著者である英バース大学のJames Betts氏は、「この試験を行うまで、満腹以上に食べてもらったら摂取量は若干多くなるだろうと考えていた。しかし、ほぼ2倍に増加したことに、本当に驚いた」と語っている。同氏はまた、それほど大食した後にもかかわらず、被験者の食後血糖値や血清脂質値(中性脂肪値)は、あまり大きく上昇しなかったことに注目している。.Betts氏によると、血糖値や中性脂肪値は通常、摂取した糖質や脂質の量に応じて高くなるが、今回の試験ではそうでないことが示された。例えば、ピザを満腹感を感じる程度に食べた240分後までの血糖上昇曲線下面積は1,697.4mg/dLで、限界まで食べた後は2,277.0mg/dLであり有意差がなかった(P=0.19)。中性脂肪の上昇曲線下面積は、同順に8,733.4mg/dL、12,967.2mg/dLで(P<0.01)、後者は2倍の量を食べていたのにもかかわらず、増加幅は約1.5倍だった。.その一方で、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの上昇曲線下面積は、満腹感を感じる程度に食べた後は43.8nmol/L、限界まで食べた後は67.7nmol/Lで、後者の条件時には有意に多く分泌されていた(P<0.01)。大食をした後も血糖値が良好に調整されていたのは、このような食後の高インスリン血症で代償された結果と考えられた。.このほか、食欲抑制作用のあるホルモンであるインクレチン(GLP-1、GIP)の上昇曲線下面積は、満腹感を感じる程度に食べた後よりも限界まで食べた後の方が有意に大きかった。一方、食欲刺激作用のあるホルモンであるグレリンの上昇曲線下面積は、限界まで食べた後の方が有意に小さかった。.米国の食品栄養コンサルタントであるConnie Diekman氏は、「この知見は既に研究者が理解していたことだが、それを非常にスマートに実証している」と評した上で、「大食をしても血糖値や中性脂肪値に大きな影響がないという結果は、特別な限られた機会であれば問題ないということだ」とし、習慣的な過食とは意味が違うことに注意を促している。.もう一つの注意点は、この研究の参加者が、肥満のない健常者であり、年齢も24~37歳と比較的若年者に限られていたことだ。Betts氏は将来的に、肥満者や健康に問題のある人に過食が与える影響の検討を予定しているという。「健康な人には一度だけの大食は支障ないようだ。ただしこれが、健康でない人や、習慣的に過食をしている人には当てはまらないことを、明確に伝えておきたい」と同氏は述べている。(HealthDay News 2020年8月7日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/dietary-fat-health-news-301/pizza-study-shows-body-s-resilience-to-pigging-out-760195.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
高カロリーで脂肪分の多い食べ物を大食いしてしまい、後から後悔することはないだろうか? しかし、「British Journal of Nutrition」8月号に掲載された論文によると、あなたが健康であり習慣的に過食をしていないのであれば、体は食べ過ぎた分を上手に処理してくれるようだ。満腹と感じる量の2倍ものピザを食べた後にも、血糖値は顕著な上昇を示さなかったという。この研究は、14人の若年成人男性(平均年齢28±5歳、BMI24.2±2.2)を対象とする、無作為化クロスオーバー試験で実施された。参加者全員に2回の食事負荷試験を行い、1回はピザを「快適に満腹感を感じる」まで食べてもらい、もう1回は「もう全く口に入らなくなる」までピザを食べてもらった。その結果、各条件での平均摂取エネルギー量は、前者では大きなピザ1枚に相当する1,584kcal (95%信頼区間1,364~1,804)、後者ではその約2倍に当たる3,113kcal(同2,620~3,605)にも達した。.論文の上席著者である英バース大学のJames Betts氏は、「この試験を行うまで、満腹以上に食べてもらったら摂取量は若干多くなるだろうと考えていた。しかし、ほぼ2倍に増加したことに、本当に驚いた」と語っている。同氏はまた、それほど大食した後にもかかわらず、被験者の食後血糖値や血清脂質値(中性脂肪値)は、あまり大きく上昇しなかったことに注目している。.Betts氏によると、血糖値や中性脂肪値は通常、摂取した糖質や脂質の量に応じて高くなるが、今回の試験ではそうでないことが示された。例えば、ピザを満腹感を感じる程度に食べた240分後までの血糖上昇曲線下面積は1,697.4mg/dLで、限界まで食べた後は2,277.0mg/dLであり有意差がなかった(P=0.19)。中性脂肪の上昇曲線下面積は、同順に8,733.4mg/dL、12,967.2mg/dLで(P<0.01)、後者は2倍の量を食べていたのにもかかわらず、増加幅は約1.5倍だった。.その一方で、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの上昇曲線下面積は、満腹感を感じる程度に食べた後は43.8nmol/L、限界まで食べた後は67.7nmol/Lで、後者の条件時には有意に多く分泌されていた(P<0.01)。大食をした後も血糖値が良好に調整されていたのは、このような食後の高インスリン血症で代償された結果と考えられた。.このほか、食欲抑制作用のあるホルモンであるインクレチン(GLP-1、GIP)の上昇曲線下面積は、満腹感を感じる程度に食べた後よりも限界まで食べた後の方が有意に大きかった。一方、食欲刺激作用のあるホルモンであるグレリンの上昇曲線下面積は、限界まで食べた後の方が有意に小さかった。.米国の食品栄養コンサルタントであるConnie Diekman氏は、「この知見は既に研究者が理解していたことだが、それを非常にスマートに実証している」と評した上で、「大食をしても血糖値や中性脂肪値に大きな影響がないという結果は、特別な限られた機会であれば問題ないということだ」とし、習慣的な過食とは意味が違うことに注意を促している。.もう一つの注意点は、この研究の参加者が、肥満のない健常者であり、年齢も24~37歳と比較的若年者に限られていたことだ。Betts氏は将来的に、肥満者や健康に問題のある人に過食が与える影響の検討を予定しているという。「健康な人には一度だけの大食は支障ないようだ。ただしこれが、健康でない人や、習慣的に過食をしている人には当てはまらないことを、明確に伝えておきたい」と同氏は述べている。(HealthDay News 2020年8月7日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/dietary-fat-health-news-301/pizza-study-shows-body-s-resilience-to-pigging-out-760195.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.