尿酸値の高い高血圧患者は降圧薬を処方されていても、血圧が目標値に到達していないことが多いという、日本人対象の研究結果が報告された。宮崎県高千穂町国民健康保険病院腎臓内科の佐藤祐二氏らの論文が、「PLOS One」に7月27日掲載された。この研究は、厚生労働科研費「今後の特定健康診査・保健指導における慢性腎臓病(CKD)の位置付けに関する検討」の一環として実施されたコホート研究。2008年度と2009年度の27都道府県の特定健診受診者のうち、初回健診時には降圧薬が処方されておらず翌年の健診時には処方されていた人を抽出。データの欠落のある人や末期腎不全(eGFR15mL/分/1.73m2未満)患者などを除外した8,664人のデータを解析した。.対象者の平均年齢は65.5±6.4歳で、女性が55.0%、ベースラインの尿酸値は平均5.4±1.4mg/dL(女性4.8±1.1mg/dL、男性6.1±1.4mg/dL)。血圧は初回健診時が144/83mmHg、翌年の健診時が134/78mmHgだった。降圧目標を当時のガイドラインに基づき140/90mmHg未満(糖尿病またはCKD患者では130/80mmHg未満)とし、翌年の健診時にこれを上回っていた患者を降圧目標未達成とすると、全体の60.2%が該当した。.尿酸値と降圧目標未達成との関連については、まず対象者全体をベースラインの尿酸値の四分位で分けてその割合を比較検討した。すると、第1四分位群(最も尿酸値が低い群)から順に、57.4%、57.4%、60.1%、66.7%となった。患者背景別では、糖尿病またはCKD患者2,895人(全体の33.4%)は、降圧目標未達成率が72.3%と有意に高かった(p<0.01)。.次に、ベースラインの尿酸値の第1四分位群を基準として、年齢、性別、BMI、糖尿病、脂質異常症、CKD、心血管疾患の既往、喫煙・飲酒習慣で調整の上、他の群の降圧目標未達成のオッズ比(OR)を検討。その結果、第2四分位群はOR0.98(95%信頼区間0.86~1.11)、第3四分位群OR1.02(0.89~1.18)、第4四分位群OR1.36(1.16~1.59)となり、第4四分位群では降圧目標未達成と有意な関連が認められた。.続いて、ベースラインの尿酸値が1mg/dL増加するごとに降圧目標未達成率がどのように変化するかを検討したところ、OR1.08(1.04~1.12)と有意な関連が見られた。背景因子ごとに層別化したサブグループ解析では、年齢(65歳未満/以上)、BMI(25未満/以上)、脂質異常症の有無は結果に影響がなく、いずれの群も尿酸値が高いほど降圧目標未達成率が有意に高いことが分かった。一方、女性や糖尿病患者、CKD患者では、尿酸値と降圧目標未達成率に有意な関連が認められなかった。.研究グループは「この結果は、尿酸値が高いと降圧療法に悪影響を与える可能性を示している。よって、高血圧患者の降圧管理においては、高尿酸血症を重要なポイントの一つとして留意すべき」とまとめている。(HealthDay News 2020年8月31日).Abstract/Full Texthttps://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0236602.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.