主に妊娠初期に生じる吐き気や嘔吐などの「つわり」は、朝方に症状が重いケースが多いことから、英語では「morning sickness(モーニングシックネス)」と称される。しかし、つわりは昼夜を問わず、いつでも生じるものであり、この言葉はつわりに対する誤解を招くものだとする研究結果を、英ウォーリック大学医学部のRoger Gadsby氏らが、「British Journal of General Practice」7月30日オンライン版に報告した。Gadsby氏によると、時に嘔吐を伴う吐き気や気分の悪さなどのつわりの症状は、朝方に現れることが多いものの、日中でのそうした症状の報告例も少なくない。しかし、つわりの症状が時間帯に関係なく生じ得ることを示す研究報告は知られていないという。.そこでGadsby氏らは、256人の妊婦(平均年齢30.4歳)が、つわりの症状について記録した日報データを用いて、1日のうちでつわりの症状が現れやすい時間帯を調べることにした。日報には、妊娠が確定してから60日目までのつわりの症状が、1時間ごとに記録された。.研究期間中に、対象者の94.2%は嘔吐か吐き気いずれかの症状を、58%は両方の症状を経験していた。解析の結果、嘔吐は午前7時から午後1時の間に最もよく生じるが、吐き気は午前中だけでなく、1日中続く可能性の高いことが明らかになった。また、嘔吐の症状が夕方まで続くことを報告した女性が多数いたことも分かった。吐き気と嘔吐の症状のピークは、午前9時から午前10時の間で、この時間帯の中で、82%に吐き気が、29%に嘔吐が生じていた。.さらに、妊娠7週目までの症状の出現頻度を比べたところ、吐き気が最も生じやすいのは妊娠5〜7週目、嘔吐が最も生じやすいのは妊娠7週目であり、週数が増えるに伴い症状が現れやすくなることが分かった。ただし、この研究では、妊娠7週目までのデータしかないため、それ以後のことについては不明だとしている。.Gadsby氏は、「モーニングシックネスという言葉は、一般の人々からメディアや医師に至るまで、幅広い層の人々に使われているものの、実状を正しく反映しているとはいえない。この言葉のせいで、妊婦の中には、午後につわりの症状があると、"何か異常があるのかもしれない"と不安を感じる人や、嘔吐はしないが1日中吐き気を感じる場合には、"自分の症状は、つわりではないのかもしれない"と考える人もいるだろう。また、症状が非常に重い場合には、この言葉が症状を軽視しているように感じることもあるだろう」とし、「モーニングシックネス」という言葉がはらむ問題を指摘する。.また、Gadsby氏は、「妊娠初期の吐き気や嘔吐といったつわりの症状は、患者の生活に深刻な悪影響を及ぼしかねない。妊婦に抑うつ気分を感じさせたり、"家族の面倒を見ることができない"、"仕事ができず給料が減るかもしれない"といった思いを抱かせたりする原因となり得るからだ」と述べている。なお、同氏によると、妊娠悪阻と呼ばれる非常に重度の吐き気や嘔吐は、妊娠初期における入院の原因として最も多いものだという。(HealthDay News 2020年8月19日).https://consumer.healthday.com/pregnancy-information-29/pregnancy-news-543/morning-sickness-doesn-t-stick-to-the-a-m-study-confirms-759248.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
主に妊娠初期に生じる吐き気や嘔吐などの「つわり」は、朝方に症状が重いケースが多いことから、英語では「morning sickness(モーニングシックネス)」と称される。しかし、つわりは昼夜を問わず、いつでも生じるものであり、この言葉はつわりに対する誤解を招くものだとする研究結果を、英ウォーリック大学医学部のRoger Gadsby氏らが、「British Journal of General Practice」7月30日オンライン版に報告した。Gadsby氏によると、時に嘔吐を伴う吐き気や気分の悪さなどのつわりの症状は、朝方に現れることが多いものの、日中でのそうした症状の報告例も少なくない。しかし、つわりの症状が時間帯に関係なく生じ得ることを示す研究報告は知られていないという。.そこでGadsby氏らは、256人の妊婦(平均年齢30.4歳)が、つわりの症状について記録した日報データを用いて、1日のうちでつわりの症状が現れやすい時間帯を調べることにした。日報には、妊娠が確定してから60日目までのつわりの症状が、1時間ごとに記録された。.研究期間中に、対象者の94.2%は嘔吐か吐き気いずれかの症状を、58%は両方の症状を経験していた。解析の結果、嘔吐は午前7時から午後1時の間に最もよく生じるが、吐き気は午前中だけでなく、1日中続く可能性の高いことが明らかになった。また、嘔吐の症状が夕方まで続くことを報告した女性が多数いたことも分かった。吐き気と嘔吐の症状のピークは、午前9時から午前10時の間で、この時間帯の中で、82%に吐き気が、29%に嘔吐が生じていた。.さらに、妊娠7週目までの症状の出現頻度を比べたところ、吐き気が最も生じやすいのは妊娠5〜7週目、嘔吐が最も生じやすいのは妊娠7週目であり、週数が増えるに伴い症状が現れやすくなることが分かった。ただし、この研究では、妊娠7週目までのデータしかないため、それ以後のことについては不明だとしている。.Gadsby氏は、「モーニングシックネスという言葉は、一般の人々からメディアや医師に至るまで、幅広い層の人々に使われているものの、実状を正しく反映しているとはいえない。この言葉のせいで、妊婦の中には、午後につわりの症状があると、"何か異常があるのかもしれない"と不安を感じる人や、嘔吐はしないが1日中吐き気を感じる場合には、"自分の症状は、つわりではないのかもしれない"と考える人もいるだろう。また、症状が非常に重い場合には、この言葉が症状を軽視しているように感じることもあるだろう」とし、「モーニングシックネス」という言葉がはらむ問題を指摘する。.また、Gadsby氏は、「妊娠初期の吐き気や嘔吐といったつわりの症状は、患者の生活に深刻な悪影響を及ぼしかねない。妊婦に抑うつ気分を感じさせたり、"家族の面倒を見ることができない"、"仕事ができず給料が減るかもしれない"といった思いを抱かせたりする原因となり得るからだ」と述べている。なお、同氏によると、妊娠悪阻と呼ばれる非常に重度の吐き気や嘔吐は、妊娠初期における入院の原因として最も多いものだという。(HealthDay News 2020年8月19日).https://consumer.healthday.com/pregnancy-information-29/pregnancy-news-543/morning-sickness-doesn-t-stick-to-the-a-m-study-confirms-759248.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.