新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが、摂食障害を抱える人々に深刻な打撃を与えていることが、英ノーザンブリア大学心理学部門のDawn Branley-Bell氏とCatherine Talbot氏が実施した調査から明らかになった。この調査結果は、「Journal of Eating Disorders」8月24日オンライン版に発表された。摂食障害を抱える人たちの支援活動などを行っている英国の非営利団体Beatによると、同国には、拒食症や過食症などの摂食障害を抱えている人が約125万人もいると見積もられている。しかし、こうした人たちがパンデミックによりどのような影響を受けているのかは、ほとんど明らかになっていない。.そこでBranley-Bell氏らは、COVID-19の感染拡大を受けて、英国でロックダウン(都市封鎖)が開始されてから2週間後に当たる4月上旬に、ソーシャルメディアを通して、摂食障害とCOVID-19パンデミックとの関連に関する調査への参加を呼び掛けた。最終的に研究対象となったのは、摂食障害および摂食障害からの回復途上にある英国居住の患者129人。年齢は16〜65歳で、121人が女性、7人が男性で、残る一人は性別の開示を拒否した。また、現在、摂食障害を抱えている人は80人(62%)で、残りは回復途上にある患者〔回復期に入って3カ月未満と3〜12カ月がそれぞれ8人(6.2%)、1年以上が33人(25.6%)〕であった。.調査の結果、全体の86.7%が、「パンデミックが原因で症状が悪化した」と回答したことが明らかになった。内訳は、「かなり悪化した」が30.9%、「中等度に悪化した」が37.2%、「わずかに悪化した」が18.6%であった。これに対し、「わずかに改善した」と回答した人は1.6%(2人)だけであった。.症状にネガティブな影響を与えた要因を分析したところ、主なものとして、日常生活の崩壊、社会的隔離の拡大と使用している支援ネットワークの利用減少、身体活動量の変化、ヘルスケアサービスの利用減少、日々の習慣の遂行不可およびコントロール感の低下、トリガーメッセージへの曝露の増加、食べ物との関わり方の変化が浮かび上がった。.このうち、対象者の間で大きな問題となっていた要因の一つは、ロックダウンの影響でケアが途絶えてしまったことであった。一部の回答者は、「入院治療を受けていたが、治療の完了前に退院せざるを得なかった」と回答。また、治療が延期になった人や、治療の待機者リストにとどまったままだという人もいた。そのほか、摂食障害と診断されたものの、その後、十分なサポートを受けていない人もいた。さらに、英国の政府や英国保健サービス(NHS)にとって自分は「負担になる存在」、あるいは「忘れ去られている存在」のように感じるという回答した人もいた。その一方で、ロックダウンを受けて、インターネットやソーシャルメディアを通じて友人や支援団体とコンタクトをとる機会が増えた等、ロックダウンのポジティブな影響を報告する例も認められた。.専門家らは、高齢者や摂食障害を含む深刻な精神疾患の患者などの社会的に立場が弱い集団に、パンデミックがどのような精神的な影響をもたらしたのか、今後さらなる研究が必要だと呼び掛けている。また、今回の調査結果についてBranley-Bell氏らは、「この問題に対する人々の認識を高めるきっかけとなり、パンデミック下で、摂食障害を抱える人たちをケアへと導く一助となるかもしれない」と話している。(HealthDay News 2020年8月24日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/eating-and-appetite-disorder-news-223/lockdowns-tough-on-people-with-eating-disorders-survey-760592.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが、摂食障害を抱える人々に深刻な打撃を与えていることが、英ノーザンブリア大学心理学部門のDawn Branley-Bell氏とCatherine Talbot氏が実施した調査から明らかになった。この調査結果は、「Journal of Eating Disorders」8月24日オンライン版に発表された。摂食障害を抱える人たちの支援活動などを行っている英国の非営利団体Beatによると、同国には、拒食症や過食症などの摂食障害を抱えている人が約125万人もいると見積もられている。しかし、こうした人たちがパンデミックによりどのような影響を受けているのかは、ほとんど明らかになっていない。.そこでBranley-Bell氏らは、COVID-19の感染拡大を受けて、英国でロックダウン(都市封鎖)が開始されてから2週間後に当たる4月上旬に、ソーシャルメディアを通して、摂食障害とCOVID-19パンデミックとの関連に関する調査への参加を呼び掛けた。最終的に研究対象となったのは、摂食障害および摂食障害からの回復途上にある英国居住の患者129人。年齢は16〜65歳で、121人が女性、7人が男性で、残る一人は性別の開示を拒否した。また、現在、摂食障害を抱えている人は80人(62%)で、残りは回復途上にある患者〔回復期に入って3カ月未満と3〜12カ月がそれぞれ8人(6.2%)、1年以上が33人(25.6%)〕であった。.調査の結果、全体の86.7%が、「パンデミックが原因で症状が悪化した」と回答したことが明らかになった。内訳は、「かなり悪化した」が30.9%、「中等度に悪化した」が37.2%、「わずかに悪化した」が18.6%であった。これに対し、「わずかに改善した」と回答した人は1.6%(2人)だけであった。.症状にネガティブな影響を与えた要因を分析したところ、主なものとして、日常生活の崩壊、社会的隔離の拡大と使用している支援ネットワークの利用減少、身体活動量の変化、ヘルスケアサービスの利用減少、日々の習慣の遂行不可およびコントロール感の低下、トリガーメッセージへの曝露の増加、食べ物との関わり方の変化が浮かび上がった。.このうち、対象者の間で大きな問題となっていた要因の一つは、ロックダウンの影響でケアが途絶えてしまったことであった。一部の回答者は、「入院治療を受けていたが、治療の完了前に退院せざるを得なかった」と回答。また、治療が延期になった人や、治療の待機者リストにとどまったままだという人もいた。そのほか、摂食障害と診断されたものの、その後、十分なサポートを受けていない人もいた。さらに、英国の政府や英国保健サービス(NHS)にとって自分は「負担になる存在」、あるいは「忘れ去られている存在」のように感じるという回答した人もいた。その一方で、ロックダウンを受けて、インターネットやソーシャルメディアを通じて友人や支援団体とコンタクトをとる機会が増えた等、ロックダウンのポジティブな影響を報告する例も認められた。.専門家らは、高齢者や摂食障害を含む深刻な精神疾患の患者などの社会的に立場が弱い集団に、パンデミックがどのような精神的な影響をもたらしたのか、今後さらなる研究が必要だと呼び掛けている。また、今回の調査結果についてBranley-Bell氏らは、「この問題に対する人々の認識を高めるきっかけとなり、パンデミック下で、摂食障害を抱える人たちをケアへと導く一助となるかもしれない」と話している。(HealthDay News 2020年8月24日).https://consumer.healthday.com/vitamins-and-nutrition-information-27/eating-and-appetite-disorder-news-223/lockdowns-tough-on-people-with-eating-disorders-survey-760592.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.