自分勝手で嫌な性格の人は、成功までの道のりが長いことが、米カリフォルニア大学バークレー校Haas School of BusinessのCameron Anderson氏らが実施した2件の研究から明らかになった。研究結果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」8月31日オンライン版に発表された。この研究は、1999〜2008年(Time 1)に米国の3つの大学の大学院またはMBA(経営学修士)プログラムに在籍していた男女を対象としたもの。人格評価尺度として用いられたのは、外向性、開放性、協調性、勤勉性、神経症傾向の5つの次元で人格を評価するBig Five Inventory(BFI)とNEO Personality Inventory-Revised(NEO PI-R)の2種類である。.最初の研究の参加者は457人で、Time 1と、Time 1から平均約14年後の2018年(Time 2)に全員がBFIを受け、このうち258人はNEO PI-Rも受けていた。その結果、嫌な性格と高い社会的地位との間には関係がないことが判明した。この結果は、性別や人種などの個人的要因や、組織や文化などの環境面での要因の違いにかかわらず一貫していた。一方、Time 1で、社会性があって活力にあふれ、自己主張が上手だと評価された人は、Time 2の時点で高い社会的地位を獲得している率が高かった。.もう1件の研究で対象となったのは、最初の研究に参加していない214人で、最初の研究と同様、Time 1とTime 2でBFIを受けた。また、これらの参加者から提供された職場の同僚のeメールアドレスを使って、総計540人の同僚に、支配-攻撃的行動や政治的行動など4つの面から見た、参加者の職場での行動について評価してもらった。その結果、最初の研究と同様、この研究でも、外向性の高さが後の社会的地位の高さと関連する一方で、嫌な性格の人ではこの関連が認められないことが明らかになった。また、仮に、嫌な性格の人が、自己中心的で、ずる賢く、攻撃的な行動によって得をしたとしても、周囲の人たちとの関係の悪さから、それが打ち消されてしまう可能性のあることが示された。.こうした結果を受けてAnderson氏は、「今回の研究で驚いたのは、結果の一貫性の高さだ。不愉快な人は権力闘争を勝ち抜く可能性が低いという結果は、個人的要因や、環境面での要因の違いにかかわらず、一貫して認められた」と話す。ただし、「得られた知見は、嫌な性格の人は高い地位を獲得できないということを意味するのではない。他の人たちと比べると、出世が遅いということを意味するのだ」と同氏は強調する。.一方で、Anderson氏は「今回の研究結果で残念だった点」として、「最終的に、嫌な性格の人たちと好感の持てる人たちの間で、組織の中で責任ある職務を任される頻度に差がなかったこと」を挙げている。つまり、嫌な性格の人たちが権力を持った場合、組織に深刻なダメージを与える可能性があるにもかかわらず、そのような人たちが高い地位を獲得する確率は、他の人たちと同程度であるということだ。.この結果を踏まえ、Anderson氏は経営者に対して、権力やリーダーシップを持つ立場を担うための必要条件として、好感の持てる人物であるか否かを考慮するよう助言。さらに、「過去の研究でも、好感の持てる人が権力を持つことで、より良い結果が生まれることが明確に示されている」と述べている。.なお、Anderson氏によると、今回の研究結果からは、嫌な性格の人たちが政治の世界に与える影響に関しては判断できないという。その理由は、両者には類似点があるものの、政治の世界における権力の力学は、ビジネスの世界のそれとは異なっているからだ。それでも同氏は、「周囲と強固な関係を持つことは、人生のあらゆる場面で重要だ。嫌な感じを与える人が政治家になると、自身の有害な行動が原因で、必要な同盟関係の維持が難しくなる可能性はある」と述べている。(HealthDay News 2020年9月1日).https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/economic-status-health-news-224/being-a-jerk-not-a-recipe-for-getting-ahead-at-work-760862.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
自分勝手で嫌な性格の人は、成功までの道のりが長いことが、米カリフォルニア大学バークレー校Haas School of BusinessのCameron Anderson氏らが実施した2件の研究から明らかになった。研究結果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」8月31日オンライン版に発表された。この研究は、1999〜2008年(Time 1)に米国の3つの大学の大学院またはMBA(経営学修士)プログラムに在籍していた男女を対象としたもの。人格評価尺度として用いられたのは、外向性、開放性、協調性、勤勉性、神経症傾向の5つの次元で人格を評価するBig Five Inventory(BFI)とNEO Personality Inventory-Revised(NEO PI-R)の2種類である。.最初の研究の参加者は457人で、Time 1と、Time 1から平均約14年後の2018年(Time 2)に全員がBFIを受け、このうち258人はNEO PI-Rも受けていた。その結果、嫌な性格と高い社会的地位との間には関係がないことが判明した。この結果は、性別や人種などの個人的要因や、組織や文化などの環境面での要因の違いにかかわらず一貫していた。一方、Time 1で、社会性があって活力にあふれ、自己主張が上手だと評価された人は、Time 2の時点で高い社会的地位を獲得している率が高かった。.もう1件の研究で対象となったのは、最初の研究に参加していない214人で、最初の研究と同様、Time 1とTime 2でBFIを受けた。また、これらの参加者から提供された職場の同僚のeメールアドレスを使って、総計540人の同僚に、支配-攻撃的行動や政治的行動など4つの面から見た、参加者の職場での行動について評価してもらった。その結果、最初の研究と同様、この研究でも、外向性の高さが後の社会的地位の高さと関連する一方で、嫌な性格の人ではこの関連が認められないことが明らかになった。また、仮に、嫌な性格の人が、自己中心的で、ずる賢く、攻撃的な行動によって得をしたとしても、周囲の人たちとの関係の悪さから、それが打ち消されてしまう可能性のあることが示された。.こうした結果を受けてAnderson氏は、「今回の研究で驚いたのは、結果の一貫性の高さだ。不愉快な人は権力闘争を勝ち抜く可能性が低いという結果は、個人的要因や、環境面での要因の違いにかかわらず、一貫して認められた」と話す。ただし、「得られた知見は、嫌な性格の人は高い地位を獲得できないということを意味するのではない。他の人たちと比べると、出世が遅いということを意味するのだ」と同氏は強調する。.一方で、Anderson氏は「今回の研究結果で残念だった点」として、「最終的に、嫌な性格の人たちと好感の持てる人たちの間で、組織の中で責任ある職務を任される頻度に差がなかったこと」を挙げている。つまり、嫌な性格の人たちが権力を持った場合、組織に深刻なダメージを与える可能性があるにもかかわらず、そのような人たちが高い地位を獲得する確率は、他の人たちと同程度であるということだ。.この結果を踏まえ、Anderson氏は経営者に対して、権力やリーダーシップを持つ立場を担うための必要条件として、好感の持てる人物であるか否かを考慮するよう助言。さらに、「過去の研究でも、好感の持てる人が権力を持つことで、より良い結果が生まれることが明確に示されている」と述べている。.なお、Anderson氏によると、今回の研究結果からは、嫌な性格の人たちが政治の世界に与える影響に関しては判断できないという。その理由は、両者には類似点があるものの、政治の世界における権力の力学は、ビジネスの世界のそれとは異なっているからだ。それでも同氏は、「周囲と強固な関係を持つことは、人生のあらゆる場面で重要だ。嫌な感じを与える人が政治家になると、自身の有害な行動が原因で、必要な同盟関係の維持が難しくなる可能性はある」と述べている。(HealthDay News 2020年9月1日).https://consumer.healthday.com/public-health-information-30/economic-status-health-news-224/being-a-jerk-not-a-recipe-for-getting-ahead-at-work-760862.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.