新型コロナウイルス感染症(COVID-19)終息の見通しが立たない今、糖尿病の子どもを持つ親は、「もし我が子が感染してしまったら」と不安を抱えているかもしれない。そのような心配に対し、COVID-19パンデミック中に糖尿病の子どもたちが健康を維持するためのいくつかのヒントが、専門家によって示されている。「糖尿病のある子どもでも、血糖値を上手にコントロールできていれば、たとえCOVID-19に罹患したとしても深刻な影響があるとは思われない」と、テキサス大学健康科学センター小児内分泌科のMichael Yafi氏は語っている。ただし、そのYafi氏も、コントロール不良の糖尿病の子どもは、ウイルス感染によって深刻な状態に陥るリスクが高いと、同大学のニュースサイト「UTHealth」8月14日版の中で注意喚起している。.糖尿病は、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが低下して、血糖値を調節できなくなる疾患だ。1型糖尿病と2型糖尿病の二つに大別される。このうち1型糖尿病は、主に自己免疫反応により膵臓のβ細胞(インスリンを分泌する細胞)が障害されて発症する。一方の2型糖尿病は、インスリンの量は足りていても作用が低下してしまう「インスリン抵抗性」の関与が大きい。.両者のうち、1型糖尿病は子どもに好発する。糖尿病の治療が十分でなく血糖値が高い状態にあると、免疫能が低下してしまい感染症などのリスクが高まるが、その点はどちらのタイプの糖尿病にも当てはまる。またYafi氏によると、血糖値が高い場合には、COVID-19のようなウイルス感染症に罹患した際、治療が困難になることも考えられるという。.「糖尿病とCOVID-19が重なることで重篤な転帰につながりやすくなるが、その正確な機序はまだ分かっていない。ただし、糖尿病のために免疫能が低下していると、感染症を含めた何らかの疾患の罹患後に、迅速に治癒へと向かう力が影響を受けてしまう可能性がある」とYafi氏は解説している。.では、どのような対策を講じればよいのだろうか。糖尿病の子どもをCOVID-19から守るために同氏が述べるヒントは以下の通りだ。.・こまめに手を洗うように習慣づける・顔を触らないことの重要性を伝える・大人数で集合せず、社会的距離を維持させる・自宅周囲の頻繁に使う場所をよく掃除する・子どもの血糖測定結果を記録しておく・緊急時に備えて、糖尿病のケア用品を余分に手元に置いておく・健康的な生活習慣を実践させて、体に良い食事を食べさせる・毎日の運動習慣を身につけさせる.なお、Yafi氏は糖尿病の子どもを守るためのこのような対策を挙げるとともに、COVID-19と糖尿病の関係について別の角度からの懸念を付け加えている。COVID-19の体への影響はさまざまなものがあり、その一つとして、それまで糖尿病でなかった子どもが新たに糖尿病を発症する可能性が考えられるというのだ。ただし、この点についてはいまだ十分な疫学的情報がなく、「COVID-19罹患が糖尿病の新規発症を増やすのか、結論はまだ出ていない」という。(HealthDay News 2020年8月31日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-i-diabetes-news-182/a-guide-to-managing-children-s-diabetes-during-covid-19-760481.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)終息の見通しが立たない今、糖尿病の子どもを持つ親は、「もし我が子が感染してしまったら」と不安を抱えているかもしれない。そのような心配に対し、COVID-19パンデミック中に糖尿病の子どもたちが健康を維持するためのいくつかのヒントが、専門家によって示されている。「糖尿病のある子どもでも、血糖値を上手にコントロールできていれば、たとえCOVID-19に罹患したとしても深刻な影響があるとは思われない」と、テキサス大学健康科学センター小児内分泌科のMichael Yafi氏は語っている。ただし、そのYafi氏も、コントロール不良の糖尿病の子どもは、ウイルス感染によって深刻な状態に陥るリスクが高いと、同大学のニュースサイト「UTHealth」8月14日版の中で注意喚起している。.糖尿病は、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが低下して、血糖値を調節できなくなる疾患だ。1型糖尿病と2型糖尿病の二つに大別される。このうち1型糖尿病は、主に自己免疫反応により膵臓のβ細胞(インスリンを分泌する細胞)が障害されて発症する。一方の2型糖尿病は、インスリンの量は足りていても作用が低下してしまう「インスリン抵抗性」の関与が大きい。.両者のうち、1型糖尿病は子どもに好発する。糖尿病の治療が十分でなく血糖値が高い状態にあると、免疫能が低下してしまい感染症などのリスクが高まるが、その点はどちらのタイプの糖尿病にも当てはまる。またYafi氏によると、血糖値が高い場合には、COVID-19のようなウイルス感染症に罹患した際、治療が困難になることも考えられるという。.「糖尿病とCOVID-19が重なることで重篤な転帰につながりやすくなるが、その正確な機序はまだ分かっていない。ただし、糖尿病のために免疫能が低下していると、感染症を含めた何らかの疾患の罹患後に、迅速に治癒へと向かう力が影響を受けてしまう可能性がある」とYafi氏は解説している。.では、どのような対策を講じればよいのだろうか。糖尿病の子どもをCOVID-19から守るために同氏が述べるヒントは以下の通りだ。.・こまめに手を洗うように習慣づける・顔を触らないことの重要性を伝える・大人数で集合せず、社会的距離を維持させる・自宅周囲の頻繁に使う場所をよく掃除する・子どもの血糖測定結果を記録しておく・緊急時に備えて、糖尿病のケア用品を余分に手元に置いておく・健康的な生活習慣を実践させて、体に良い食事を食べさせる・毎日の運動習慣を身につけさせる.なお、Yafi氏は糖尿病の子どもを守るためのこのような対策を挙げるとともに、COVID-19と糖尿病の関係について別の角度からの懸念を付け加えている。COVID-19の体への影響はさまざまなものがあり、その一つとして、それまで糖尿病でなかった子どもが新たに糖尿病を発症する可能性が考えられるというのだ。ただし、この点についてはいまだ十分な疫学的情報がなく、「COVID-19罹患が糖尿病の新規発症を増やすのか、結論はまだ出ていない」という。(HealthDay News 2020年8月31日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-i-diabetes-news-182/a-guide-to-managing-children-s-diabetes-during-covid-19-760481.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.