子どもたちが甘い菓子やジュースを口にした時、「甘すぎる」と言うことはめったにない。その理由の一つは子どもが大人よりも甘い物が好きだからと考えられるが、それだけではなく、別の理由もあることが新たな研究で明らかになった。子どもは大人に比べて甘味を感知する力が低いのだという。米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のM. Yanina Pepino氏らの研究によるもので、詳細は「Nutrients」に6月29日掲載された。Pepino氏らは、10歳未満の小児、10歳代の若年者、および成人を対象に、異なる濃度のスクロース(砂糖)水溶液を用いて、甘味に対する感受性、および甘味の強さの好みを検討した。各群の対象者数は、小児が108人(平均年齢8.6±0.8歳)、若年者172人(13.2±2.3歳)、成人205人(35.9±9.4歳)。.まず、甘味に対する感受性の検討では、角砂糖1つ(4g)を8オンスのコップの水(約230mL)で薄めていき、被験者が甘味を感じ取れる限界のコップの数を確認した。この試験では、甘味を感知できたコップの数が多いほど、より感受性が高いことを意味する。.その結果、小児が甘さを感じ取れる限界は、平均5杯のコップの水で薄めた時だった。それに対して若年者は平均6杯の水で薄めた濃度まで感知でき、さらに成人は平均7杯まで薄めても甘味を感知できた。この結果は、小児は成人に比較して、甘味を感知するのに約40%多い砂糖が必要であることを表している。.次に行った甘味の強さの好みの検討は、8オンスのコップの水に角砂糖を1つずつ溶かしていき、最も好ましいと感じる角砂糖の数を比較した。その結果、小児と若年者は平均12個、成人は平均8個が、好ましい個数だった。これは、小児や若年者は成人に比較して、甘味を好ましいと感じるのに約50%多い砂糖が必要であることを表している。なお、この試験で成人が好ましいと感じた糖濃度は、現在市販されている一般的なコーラとほぼ同じ濃さだという。.本研究ではこれらの検討に加えて、甘味の感受性と好ましいと感じる糖濃度の関連を検討した。しかし、両者に有意な相関は認められなかった。この結果についてPepino氏はイリノイ大学発行のニュースリリースの中で、「味覚の発達は成長に伴う解剖学的変化によって二次的に生じる可能性があるが、甘味の好みは脳の報酬系の活動とその変化の影響を受けて変動するのかもしれない」と考察している。.最後に著者らは、「甘味の感受性と好みは、小児期から成人期までに異なる発達の軌跡をたどることが示唆される」と述べるとともに、子どもたちが甘い物を好む理由は、甘味に対する感受性が低いことだけでは説明できない」と結論づけている。(HealthDay News 2020年8月31日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/sugar-health-news-644/sweet-tooth-tendencies-change-as-kids-get-older-study-760191.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
子どもたちが甘い菓子やジュースを口にした時、「甘すぎる」と言うことはめったにない。その理由の一つは子どもが大人よりも甘い物が好きだからと考えられるが、それだけではなく、別の理由もあることが新たな研究で明らかになった。子どもは大人に比べて甘味を感知する力が低いのだという。米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のM. Yanina Pepino氏らの研究によるもので、詳細は「Nutrients」に6月29日掲載された。Pepino氏らは、10歳未満の小児、10歳代の若年者、および成人を対象に、異なる濃度のスクロース(砂糖)水溶液を用いて、甘味に対する感受性、および甘味の強さの好みを検討した。各群の対象者数は、小児が108人(平均年齢8.6±0.8歳)、若年者172人(13.2±2.3歳)、成人205人(35.9±9.4歳)。.まず、甘味に対する感受性の検討では、角砂糖1つ(4g)を8オンスのコップの水(約230mL)で薄めていき、被験者が甘味を感じ取れる限界のコップの数を確認した。この試験では、甘味を感知できたコップの数が多いほど、より感受性が高いことを意味する。.その結果、小児が甘さを感じ取れる限界は、平均5杯のコップの水で薄めた時だった。それに対して若年者は平均6杯の水で薄めた濃度まで感知でき、さらに成人は平均7杯まで薄めても甘味を感知できた。この結果は、小児は成人に比較して、甘味を感知するのに約40%多い砂糖が必要であることを表している。.次に行った甘味の強さの好みの検討は、8オンスのコップの水に角砂糖を1つずつ溶かしていき、最も好ましいと感じる角砂糖の数を比較した。その結果、小児と若年者は平均12個、成人は平均8個が、好ましい個数だった。これは、小児や若年者は成人に比較して、甘味を好ましいと感じるのに約50%多い砂糖が必要であることを表している。なお、この試験で成人が好ましいと感じた糖濃度は、現在市販されている一般的なコーラとほぼ同じ濃さだという。.本研究ではこれらの検討に加えて、甘味の感受性と好ましいと感じる糖濃度の関連を検討した。しかし、両者に有意な相関は認められなかった。この結果についてPepino氏はイリノイ大学発行のニュースリリースの中で、「味覚の発達は成長に伴う解剖学的変化によって二次的に生じる可能性があるが、甘味の好みは脳の報酬系の活動とその変化の影響を受けて変動するのかもしれない」と考察している。.最後に著者らは、「甘味の感受性と好みは、小児期から成人期までに異なる発達の軌跡をたどることが示唆される」と述べるとともに、子どもたちが甘い物を好む理由は、甘味に対する感受性が低いことだけでは説明できない」と結論づけている。(HealthDay News 2020年8月31日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/sugar-health-news-644/sweet-tooth-tendencies-change-as-kids-get-older-study-760191.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.