月経(生理)が、女性の全体的な健康の強力な指標となるかもしれない。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のJorge Chavarro氏らが実施した研究から、不規則、あるいは長い月経周期は、早期死亡リスクの増加と関連する可能性のあることが明らかになった。詳細は、「The BMJ」10月3日号に掲載された。生殖年齢の女性でしばしば見られる、不規則、あるいは長い月経周期は、卵巣がん、冠動脈疾患、2型糖尿病などの慢性的な疾患と関連付けられてきた。しかし、こうした月経不順と早期死亡リスクの関連に関するエビデンスの報告例は少ない。.そこでChavarro氏らは、生殖年齢を通して月経周期が不規則、あるいは長かった女性を対象に、早期死亡(70歳前の死亡)リスクが高まるのかどうかを調べる研究を実施した。対象となったのは、心疾患、がん、糖尿病の既往歴のない、閉経前の女性7万9,505人(研究開始時の平均年齢37.7歳)である。対象者は、14〜17歳時、18〜22歳時、29〜46歳時の月経周期の長さと規則性について報告した。.24年に及ぶ追跡期間の間に、1,975件の早期死亡例が記録されていた。このうち、894人ではがん、172人では心血管疾患が死因であった。年齢や体重、ライフスタイル、家族歴などの因子を調整して解析した結果、月経周期が常に不規則であった女性は、月経周期が正常(26〜31日)であった女性と比べて、70歳未満で死亡する可能性の高いことが明らかになった。すなわち、月経周期が正常な女性と不規則な女性の、それぞれの年齢幅での1,000人年当たりの死亡率は、14〜17歳時で1.05と1.23、18〜22歳時で1.00と1.37、29〜46歳時で1.00と1.68であった。.同様に、18〜22歳時および29〜46歳時の月経周期が通常40日以上だった女性では、同じ年齢幅で月経周期が正常だった女性と比べて、早期死亡リスクが高いことも判明した(ハザード比はそれぞれ、1.34、1.40)。また、これら月経不順の人のいずれでも、がんや心血管疾患による早期死亡リスクの上昇が認められたが、特に心血管疾患による早期死亡リスクの高さが顕著であった。さらに、現在、喫煙習慣がある人では、月経不順と早期死亡とのより強い関連が認められた。.Chavarro氏は、「われわれの研究結果は、女性の月経周期を、生殖年齢を通して、その人の全体的な健康に関する重要な兆候とみなすべきことを示唆するものだ」と述べている。同氏らは、月経不順の女性において早期死亡リスクが高まり得る原因として、ホルモンバランスの乱れが関わっている可能性が高いとみている。ただし、この研究では、月経不順と早期死亡リスクとの因果関係が証明されたわけではなく、両者の関連性が示されたに過ぎない。.この研究報告を受けて、英Leeds Teaching Hospitals生殖医療分野教授のAdam Balen氏は、「この研究結果から、月経周期の規則性とリプロダクティブヘルス(性と生殖に関わる健康)という観点から、女性の全体的な健康を長期的な視点でとらえるべきことが示された」と評価する。そして、「月経不順の若い女性に対しては、ホルモンバランスや代謝能だけでなく、ライフスタイルについても詳細に評価する必要がある。そうすることで、女性の全体的な健康を増進し得る方法に関して助言することが可能になる」と話している。.一方、英エジンバラ大学MRCリプロダクティブヘルスセンターのJacqueline Maybin氏は、「この研究結果は、月経の症状と病態を長期的な健康状態の指標として用いて、今後、調査を進めていくことを促すものだ。また、この結果を受けて、生涯を通して女性の健康を向上させるための予防戦略が、早期に実施される可能性も見えてきた」と述べている。(HealthDay 2020年10月1日).https://consumer.healthday.com/senior-citizen-information-31/longevity-982/irregular-long-periods-tied-to-shorter-life-span-761808.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
月経(生理)が、女性の全体的な健康の強力な指標となるかもしれない。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のJorge Chavarro氏らが実施した研究から、不規則、あるいは長い月経周期は、早期死亡リスクの増加と関連する可能性のあることが明らかになった。詳細は、「The BMJ」10月3日号に掲載された。生殖年齢の女性でしばしば見られる、不規則、あるいは長い月経周期は、卵巣がん、冠動脈疾患、2型糖尿病などの慢性的な疾患と関連付けられてきた。しかし、こうした月経不順と早期死亡リスクの関連に関するエビデンスの報告例は少ない。.そこでChavarro氏らは、生殖年齢を通して月経周期が不規則、あるいは長かった女性を対象に、早期死亡(70歳前の死亡)リスクが高まるのかどうかを調べる研究を実施した。対象となったのは、心疾患、がん、糖尿病の既往歴のない、閉経前の女性7万9,505人(研究開始時の平均年齢37.7歳)である。対象者は、14〜17歳時、18〜22歳時、29〜46歳時の月経周期の長さと規則性について報告した。.24年に及ぶ追跡期間の間に、1,975件の早期死亡例が記録されていた。このうち、894人ではがん、172人では心血管疾患が死因であった。年齢や体重、ライフスタイル、家族歴などの因子を調整して解析した結果、月経周期が常に不規則であった女性は、月経周期が正常(26〜31日)であった女性と比べて、70歳未満で死亡する可能性の高いことが明らかになった。すなわち、月経周期が正常な女性と不規則な女性の、それぞれの年齢幅での1,000人年当たりの死亡率は、14〜17歳時で1.05と1.23、18〜22歳時で1.00と1.37、29〜46歳時で1.00と1.68であった。.同様に、18〜22歳時および29〜46歳時の月経周期が通常40日以上だった女性では、同じ年齢幅で月経周期が正常だった女性と比べて、早期死亡リスクが高いことも判明した(ハザード比はそれぞれ、1.34、1.40)。また、これら月経不順の人のいずれでも、がんや心血管疾患による早期死亡リスクの上昇が認められたが、特に心血管疾患による早期死亡リスクの高さが顕著であった。さらに、現在、喫煙習慣がある人では、月経不順と早期死亡とのより強い関連が認められた。.Chavarro氏は、「われわれの研究結果は、女性の月経周期を、生殖年齢を通して、その人の全体的な健康に関する重要な兆候とみなすべきことを示唆するものだ」と述べている。同氏らは、月経不順の女性において早期死亡リスクが高まり得る原因として、ホルモンバランスの乱れが関わっている可能性が高いとみている。ただし、この研究では、月経不順と早期死亡リスクとの因果関係が証明されたわけではなく、両者の関連性が示されたに過ぎない。.この研究報告を受けて、英Leeds Teaching Hospitals生殖医療分野教授のAdam Balen氏は、「この研究結果から、月経周期の規則性とリプロダクティブヘルス(性と生殖に関わる健康)という観点から、女性の全体的な健康を長期的な視点でとらえるべきことが示された」と評価する。そして、「月経不順の若い女性に対しては、ホルモンバランスや代謝能だけでなく、ライフスタイルについても詳細に評価する必要がある。そうすることで、女性の全体的な健康を増進し得る方法に関して助言することが可能になる」と話している。.一方、英エジンバラ大学MRCリプロダクティブヘルスセンターのJacqueline Maybin氏は、「この研究結果は、月経の症状と病態を長期的な健康状態の指標として用いて、今後、調査を進めていくことを促すものだ。また、この結果を受けて、生涯を通して女性の健康を向上させるための予防戦略が、早期に実施される可能性も見えてきた」と述べている。(HealthDay 2020年10月1日).https://consumer.healthday.com/senior-citizen-information-31/longevity-982/irregular-long-periods-tied-to-shorter-life-span-761808.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.