インスリンを週に1回注射するだけで血糖値をコントロールできるようになるかもしれない。現在開発中の週1回投与製剤の第2相臨床試験の結果が発表され、既存の持効型インスリン製剤と同等の効果と安全性が認められたという。米ダラス糖尿病研究センターのJulio Rosenstock氏らによる論文が、「The New England Journal of Medicine」9月22日オンライン版に掲載された。新しいインスリンは、デンマークのNovo Nordisk社が開発中の週1回投与製剤「icodec」。第2相臨床試験では、既に治療に用いられている1日1回投与製剤の「グラルギン」100単位製剤と、このicodecの血糖改善効果や有害事象を、ランダム化二重盲検比較試験で検討した。.被験者は、長期間インスリン治療が行われておらず、メトホルミンやDPP-4阻害薬で管理不十分(HbA1c7.0~9.5%)の2型糖尿病患者247人。年齢は18~75歳(平均59.6±8.9歳)、糖尿病罹病期間9.7±7.4年、BMI31.3±4.6、HbA1c8.02±0.68%。この247人をランダムに、icodec群125人、グラルギン群122人に割り付けた。.インスリン投与量は、icodec群は週に1回70単位、グラルギン群は1日に1回10単位で開始し、朝食前血糖値が70~108mg/dLになるように調節した。主要評価項目は、ベースラインから26週までのHbA1cの変化とした。.各群の平均HbA1cは、icodec群ではベースライン時点が8.09%、26週時点が6.69%、グラルギン群は同順に7.96%、6.87%だった。HbA1c変化量の推定群間差は-0.18ポイント(95%信頼区間-0.38~0.02、P=0.08)で、有意でなかった。また、HbA1cが7%未満に達した患者の割合は、icodec群72%、グラルギン群68%で、HbA1cが6.5%以下に達した患者の割合は同順に49%、39%だった(いずれも群間差は非有意)。.レベル1の低血糖(54~70mg/dL未満)の発生率は、icodec群53.6%、グラルギン群37.7%〔オッズ比(OR)1.84、95%信頼区間1.10~3.07〕で、icodec群が有意に高かった。ただし、レベル2・3の低血糖(54mg/dL未満または意識障害を来した低血糖)の発生率は同順に16.0%、9.8%(OR1.70、同0.79~3.66)で、有意差はなかった。.この結果を受けて、米国糖尿病学会(ADA)のRobert Gabbay氏は、「本研究は週1回投与インスリン製剤を用いた患者を対象とする初の臨床試験であり、得られた結果は連日投与製剤と同等の効果を示唆している。インスリン療法を開始することは糖尿病患者にとって一つのハードルだが、週1回であれば乗り越えやすくなるだろう。それにより良好な血糖コントロールが達成され、合併症を抑制できるかもしれない。第3相臨床試験の結果次第で、糖尿病患者の生活を明るいものにすることができる」と解説している。.また、米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスのAkankasha Goyal氏は、「訪問看護サービスなど、患者自身ではなく他者が注射をするような状況において、週1回投与のメリットが生かされるだろう」と述べている。そのほかに両氏は、多忙のために毎日同時刻にインスリンを注射することができない人などを、良い適応例として挙げている。.Novo Nordisk社は、年内に第3相臨床試験を開始することも視野に入れている。Gabbay氏とGoyal氏はともに、「第3相試験で良好な結果が得られた場合、最終的にこのインスリン製剤は、1型糖尿病と2型糖尿病の双方に利用可能になるだろう」と予想している。(HealthDay News 2020年9月22日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-ii-diabetes-news-183/once-a-week-insulin-for-type-2-diabetes-shows-promise-in-early-trial-761469.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
インスリンを週に1回注射するだけで血糖値をコントロールできるようになるかもしれない。現在開発中の週1回投与製剤の第2相臨床試験の結果が発表され、既存の持効型インスリン製剤と同等の効果と安全性が認められたという。米ダラス糖尿病研究センターのJulio Rosenstock氏らによる論文が、「The New England Journal of Medicine」9月22日オンライン版に掲載された。新しいインスリンは、デンマークのNovo Nordisk社が開発中の週1回投与製剤「icodec」。第2相臨床試験では、既に治療に用いられている1日1回投与製剤の「グラルギン」100単位製剤と、このicodecの血糖改善効果や有害事象を、ランダム化二重盲検比較試験で検討した。.被験者は、長期間インスリン治療が行われておらず、メトホルミンやDPP-4阻害薬で管理不十分(HbA1c7.0~9.5%)の2型糖尿病患者247人。年齢は18~75歳(平均59.6±8.9歳)、糖尿病罹病期間9.7±7.4年、BMI31.3±4.6、HbA1c8.02±0.68%。この247人をランダムに、icodec群125人、グラルギン群122人に割り付けた。.インスリン投与量は、icodec群は週に1回70単位、グラルギン群は1日に1回10単位で開始し、朝食前血糖値が70~108mg/dLになるように調節した。主要評価項目は、ベースラインから26週までのHbA1cの変化とした。.各群の平均HbA1cは、icodec群ではベースライン時点が8.09%、26週時点が6.69%、グラルギン群は同順に7.96%、6.87%だった。HbA1c変化量の推定群間差は-0.18ポイント(95%信頼区間-0.38~0.02、P=0.08)で、有意でなかった。また、HbA1cが7%未満に達した患者の割合は、icodec群72%、グラルギン群68%で、HbA1cが6.5%以下に達した患者の割合は同順に49%、39%だった(いずれも群間差は非有意)。.レベル1の低血糖(54~70mg/dL未満)の発生率は、icodec群53.6%、グラルギン群37.7%〔オッズ比(OR)1.84、95%信頼区間1.10~3.07〕で、icodec群が有意に高かった。ただし、レベル2・3の低血糖(54mg/dL未満または意識障害を来した低血糖)の発生率は同順に16.0%、9.8%(OR1.70、同0.79~3.66)で、有意差はなかった。.この結果を受けて、米国糖尿病学会(ADA)のRobert Gabbay氏は、「本研究は週1回投与インスリン製剤を用いた患者を対象とする初の臨床試験であり、得られた結果は連日投与製剤と同等の効果を示唆している。インスリン療法を開始することは糖尿病患者にとって一つのハードルだが、週1回であれば乗り越えやすくなるだろう。それにより良好な血糖コントロールが達成され、合併症を抑制できるかもしれない。第3相臨床試験の結果次第で、糖尿病患者の生活を明るいものにすることができる」と解説している。.また、米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスのAkankasha Goyal氏は、「訪問看護サービスなど、患者自身ではなく他者が注射をするような状況において、週1回投与のメリットが生かされるだろう」と述べている。そのほかに両氏は、多忙のために毎日同時刻にインスリンを注射することができない人などを、良い適応例として挙げている。.Novo Nordisk社は、年内に第3相臨床試験を開始することも視野に入れている。Gabbay氏とGoyal氏はともに、「第3相試験で良好な結果が得られた場合、最終的にこのインスリン製剤は、1型糖尿病と2型糖尿病の双方に利用可能になるだろう」と予想している。(HealthDay News 2020年9月22日).https://consumer.healthday.com/diabetes-information-10/type-ii-diabetes-news-183/once-a-week-insulin-for-type-2-diabetes-shows-promise-in-early-trial-761469.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.