10代の頃に精神的な支えとなってくれる教師と良好な関係を築いた人は、成人期の心身の健康状態が良好なことが多いとする研究結果を、高麗大学校健康政策・管理部門(韓国)のJinho Kim氏が報告した。同氏は、「この研究結果は、生徒と教師の関係を改善することで、学業面での成功以外にも、重要かつ前向きで長期的な効果がもたらされ得ることを示唆するものだ」と話している。研究の詳細は、「School Psychology」10月29日オンライン版に掲載された。10代の頃の社会的関係と成人期の健康に関連があることは、過去に実施された複数の研究で示唆されている。Kim氏によると、教師や友人などの他者との貧弱な関係は慢性的なストレスの元となり、そのストレスが生涯にわたって健康問題のリスク上昇を招く可能性があるという。しかし、現時点では、そのような関連の因果関係が証明されているわけではなく、例えば家庭環境など、他の要因が思春期における対人関係上の問題や成人期の健康問題に影響を及ぼしている可能性も考えられる。また、過去の研究は、教師ではなく友人との関係に着目したものがほとんどだった。.そこでKim氏は、National Longitudinal Study of Adolescent to Adult Health(Add Health)の参加者のデータを用いて、生徒と生徒の関係、および生徒と教師の関係と成人期の健康との関連について検討した。Add Healthは、主に学校における思春期の人間関係がその後の健康に与える影響を調査している米国の研究である。.今回の研究対象者は、1994〜1995年に7年生(日本の中学1年生に相当)〜12年生(日本の高校3年生に相当)であったティーン2万745人である。このうちの1万5,701人は第2回(1996年)から第4回(2007〜2008年)の追跡調査にも参加した。対象者の中には、そのきょうだいも含まれていた。(初回調査時は4,396人、第4回調査まで追跡できたのは3,436人)。対象者は、「他の生徒(教師)とうまくやっていくのが困難だと感じる頻度はどの程度ですか」「友人(教師)がどの程度、自分のことを気に掛けてくれていると思いますか」などの、友人を含む他の生徒、および教師との関係に関する質問に回答していた。また、身体的健康の指標として血圧やBMIなども測定されていた。.分析の結果、中学および高校時代を通して教師との関係および友人たちとの関係が良好だった対象者は、20代半ばの身体的・精神的健康も良好であることが明らかになった。しかし、家庭環境の影響を調整するために、対象者とそのきょうだいとのペアで解析を行ったところ、統計的に有意であったのは、生徒と教師の関係と成人期の健康の関連だけであった。この結果についてKim氏は、「過去の研究で報告されている仲間同士の関係と身体的健康の関連は、実際には、家庭環境に関わる別の根本的要因を反映していた可能性がある」と説明している。.Kim氏は、「今回の研究結果から、生徒と教師との関係は、過去の研究で示唆されていた以上に重要である可能性が浮上した。教師は生徒との間に思いやりのある協力的な関係を築くべきであり、学校側は、そのための教師の教育に投資するべきだ」と述べている。(Health Day News 2020年11月2日).https://consumer.healthday.com/can-teachers-be-key-to-students-mental-health-2648564416.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
10代の頃に精神的な支えとなってくれる教師と良好な関係を築いた人は、成人期の心身の健康状態が良好なことが多いとする研究結果を、高麗大学校健康政策・管理部門(韓国)のJinho Kim氏が報告した。同氏は、「この研究結果は、生徒と教師の関係を改善することで、学業面での成功以外にも、重要かつ前向きで長期的な効果がもたらされ得ることを示唆するものだ」と話している。研究の詳細は、「School Psychology」10月29日オンライン版に掲載された。10代の頃の社会的関係と成人期の健康に関連があることは、過去に実施された複数の研究で示唆されている。Kim氏によると、教師や友人などの他者との貧弱な関係は慢性的なストレスの元となり、そのストレスが生涯にわたって健康問題のリスク上昇を招く可能性があるという。しかし、現時点では、そのような関連の因果関係が証明されているわけではなく、例えば家庭環境など、他の要因が思春期における対人関係上の問題や成人期の健康問題に影響を及ぼしている可能性も考えられる。また、過去の研究は、教師ではなく友人との関係に着目したものがほとんどだった。.そこでKim氏は、National Longitudinal Study of Adolescent to Adult Health(Add Health)の参加者のデータを用いて、生徒と生徒の関係、および生徒と教師の関係と成人期の健康との関連について検討した。Add Healthは、主に学校における思春期の人間関係がその後の健康に与える影響を調査している米国の研究である。.今回の研究対象者は、1994〜1995年に7年生(日本の中学1年生に相当)〜12年生(日本の高校3年生に相当)であったティーン2万745人である。このうちの1万5,701人は第2回(1996年)から第4回(2007〜2008年)の追跡調査にも参加した。対象者の中には、そのきょうだいも含まれていた。(初回調査時は4,396人、第4回調査まで追跡できたのは3,436人)。対象者は、「他の生徒(教師)とうまくやっていくのが困難だと感じる頻度はどの程度ですか」「友人(教師)がどの程度、自分のことを気に掛けてくれていると思いますか」などの、友人を含む他の生徒、および教師との関係に関する質問に回答していた。また、身体的健康の指標として血圧やBMIなども測定されていた。.分析の結果、中学および高校時代を通して教師との関係および友人たちとの関係が良好だった対象者は、20代半ばの身体的・精神的健康も良好であることが明らかになった。しかし、家庭環境の影響を調整するために、対象者とそのきょうだいとのペアで解析を行ったところ、統計的に有意であったのは、生徒と教師の関係と成人期の健康の関連だけであった。この結果についてKim氏は、「過去の研究で報告されている仲間同士の関係と身体的健康の関連は、実際には、家庭環境に関わる別の根本的要因を反映していた可能性がある」と説明している。.Kim氏は、「今回の研究結果から、生徒と教師との関係は、過去の研究で示唆されていた以上に重要である可能性が浮上した。教師は生徒との間に思いやりのある協力的な関係を築くべきであり、学校側は、そのための教師の教育に投資するべきだ」と述べている。(Health Day News 2020年11月2日).https://consumer.healthday.com/can-teachers-be-key-to-students-mental-health-2648564416.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.