現在、800万人近くの米国人が糖尿病網膜症を有しており、その数は2050年までに2倍に増加すると予想されている。それにもかかわらず、糖尿病で網膜症が発症した場合にどのような症状が現れるかを、米国の多くの成人が知らずにいる現状が明らかになった。米国網膜専門医学会(American Society of Retina Specialists;ASRS)の調査によるもので、結果がASRSのサイトに掲載された。この調査は、2020年7月20日~27日に、米国に住む40歳以上の成人1,000人を対象にオンラインで行われた。人口構成にあわせて重み付けしたデータ解析の結果、糖尿病網膜症による視覚障害の抑止に役立つと考えられる基本的な知識を、多くの人が持っていないことが分かった。.具体的には、視野の中央がぼやけるという症状が、糖尿病網膜症と関連する可能性を知っていたのは半数以下(47%)だった。また、飛蚊症や視野に点状の影が見えるという症状についても、それらが糖尿病網膜症によるものかもしれないことを知っていたのは37%にとどまった。.さらに、大多数の人は、糖尿病が網膜症のリスク因子であることを知っていたものの、高血糖以外のリスク因子の認知度は高くなかった。例えば3分の2(64%)は脂質異常症が糖尿病網膜症のリスクを高めることを知らず、ほぼ半数(48%)は高血圧もリスク因子の一つであることを知らなかった。.「糖尿病網膜症による失明は予防可能である。予防可能であるからには、早期発見と早期治療が重要だ」と語るのは、ASRS代表のCarl Awh氏だ。同氏は、「糖尿病患者を治療する全ての医療従事者は、既知の危険因子を管理することの重要性とともに、糖尿病網膜症を早期発見するための定期的な散瞳検査の必要性を認識すべきだ」と、ASRSのニュースリリースの中で述べている。.同氏はまた、患者に対して、「視覚障害の危機が迫っている糖尿病網膜症患者の多くは、症状がなく視力も良好だ。その段階で網膜専門医の治療を受けるべきであり、視力低下などの症状が現れているのなら、直ちに検査を受けなければならない」と注意を発している。.糖尿病網膜症の主なリスク因子は…–糖尿病罹病期間が長い–血糖コントロール不良–高血圧–腎臓病–脂質異常症–妊娠.主な症状は…–目がかすんだり、物がゆがんで見える–文字を読みづらい–視野に点状の影が見えることがある–視野全体に影がかかっている–眼圧が高い–色を区別しにくい.視力を守るには…–血糖値、血圧、血清脂質の管理–適切な体重管理–処方薬の服用順守–網膜の定期的な検査–禁煙–適度な身体活動.ASRS財団会長のTimothy Murray氏は、「糖尿病による眼疾患は、早期発見され網膜専門医による治療が行われた場合には、視覚障害に至らずに済むようになった。糖尿病による網膜のダメージを予防または修復するために、網膜専門医の診察を受けてほしい」と語っている。(HealthDay News 2020年11月2日).https://consumer.healthday.com/b-11-2-americans-dont-know-diabetic-retinopathy-symptoms-risks-survey-finds-2648562913.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.