もしアカデミー賞に"不健康な食べ物"部門があったとしたら、数多くの米国映画が毎年ノミネートされ受賞を競い合うだろう。そんな想像をかき立てるような研究結果が、「JAMA Internal Medicine」に11月23日掲載された。米国で公開された人気映画に登場する食事シーンを分析した結果、映画の中で俳優が飲食するものの大半は、ガイドラインの推奨からかけ離れた内容だったという。米スタンフォード大学心理学部のBradley Turnwald氏らが報告した。この研究の対象は、1994~2018年に米国で公開された映画の中で、興行成績の上位250位までの作品。2人の研究者が、2019年4月~2020年5月にかけて全作品を視聴し、食事シーンで表現されている飲食物の量や質を、米国や英国のガイドラインおよび米国民健康栄養調査の結果と比較し評価した。.食べ物を食べるシーンのある映画は245本だった。そのうち178本(72.7%)は、非健康的と判定される食品が映し出されていた。また、飲み物を飲むシーンのある246本の映画のうち、222本(90.2%)は非健康的な飲み物が映し出されていた。食材・栄養素別に分析した結果からは、大半の映画(93.5%)の食事シーンで使われる砂糖の量が過剰であり、飽和脂肪や総脂肪を超過摂取しているシーンのある映画も多数を占めていた(それぞれ84.9%、93.1%)。.また、飲み物を飲むシーンでアルコール摂取が表現されていた割合は、全年齢層が視聴可能な作品(Gレイティング)で18.1%、子ども向きでない内容の映画(PGレイティング)で27.0%、13歳未満は保護者の指導や助言が適当とされる映画(PG-13レイティング)で41.8%、17歳未満の視聴に保護者の同伴が義務付けられている映画(Rレイティング)で49.1%に上った。表現されていたアルコール摂取量は、米国人が実際に摂取している量の3倍以上(313%)に相当した。さらに糖についても、米国人の実際の摂取量より16%多い摂取が表現されていた。.Turnwald氏は、「映画の中の食事は、健康的な食生活のためのガイドラインの推奨を大きく逸脱している。食物繊維が不足し、飽和脂肪や塩分、糖やアルコールは過剰だ」と指摘。その上で、「映画の中の俳優たちは、不健康な食生活がわれわれの文化であって、価値のある習慣であるとの社会通念を強固にしてしまう」と、影響の大きさに警鐘を鳴らす。実際、十代の若者の食習慣が映画の影響を受けているとする報告があり、不健康な菓子が映し出された後には、同じ菓子を手に取る確率が3倍に増えるという。.不健康な食品の広告活動を法的に禁じている国もある中、米国は合衆国憲法修正第1条で表現の自由が保護されているため、映画製作者は制限なしに飲食シーンを使える。これに関連してTurnwald氏は、「映画プロデューサーは、映画に表現する食べ物や飲み物の種類にもっと注意を払うべきだ。スクリーンに現れる飲食物が、何千万人もの視聴者、特に子どもに影響を与える可能性を理解し、より健康的な選択肢を表現する努力をしてほしい」と述べている。.この考え方には、米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスの栄養士であるSamantha Heller氏も同意している。Heller氏は、「映画の中の飲食物が、ストーリーや時代設定などの複雑な背景の計算のもとで撮影されていることは理解している。それでも影響力のある人は、健康的な行動の模範となるように努めるべきだ」と語っている。そして、「有名人の行動は一般大衆に大きな影響を与える。しかし、われわれが不健康な行動を描いた映画を観た場合、それらは作られた物語であることを知るべきで、模倣すべき対象ではない」と付け加えている。(HealthDay News 2020年11月23日).https://consumer.healthday.com/11-23-lots-of-junk-food-eaten-in-americas-hit-movies-2648982979.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.