肉や魚、乳製品を食べないビーガンは、骨折リスクが4割以上高いことが英国の研究で判明した。また、魚は食べるが肉は食べないペスクタリアンや、肉と魚を食べないが乳製品や卵は食べるベジタリアンも、大腿骨近位部の骨折リスクが高いという。英オックスフォード大学のTammy Tong氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Medicine」に11月23日掲載された。Tong氏らは、1993~2001年に登録された、ベジタリアン食に関する世界最大規模のコホート研究である「EPIC-Oxford研究」の参加者5万4,898人を平均17.6年追跡し、骨折リスクを検討した。研究登録時と追跡調査時の2回、食事調査を実施。非ベジタリアン(一般的な食生活の人)が2万9,380人で、ペスクタリアンは8,037人、ベジタリアン1万5,499人、ビーガン1,982人だった。骨折の発生は、国民保険サービスのデータを用いて確認した。.追跡期間中に発生した総骨折件数は3,941件だった。骨折リスクの解析に際して、リスクに影響し得る因子(年齢、性別、登録年、BMI、身長、飲酒・喫煙・身体活動習慣、民族、栄養補助食品の使用、生活水準、女性の出産歴・閉経状態・ホルモン補充療法の施行など)で調整した。.その結果、ビーガンは非ベジタリアンに比較して、総骨折のハザード比(HR)が1.43(95%信頼区間1.20~1.70)、大腿骨近位部の骨折がHR2.31(同1.66~3.22)、脚の骨折はHR2.05(同1.23~3.41)であり、その他の主要部位の骨折もHR1.59(同1.02~2.50)と、有意にハイリスクであることが分かった。.大腿骨近位部の骨折リスクに関しては、ビーガン以外でもリスク上昇が認められた。例えばペスクタリアンはHR1.26(同1.02~1.54)、ベジタリアンはHR1.25(同1.04~1.50)だった。大腿骨近位部骨折の発生件数は、非ベジタリアンに比較してビーガンでは10年間で1,000人当たり14.9件(同7.9~24.5)増加すると計算された。同様に、ペスクタリアンでは10年間で1,000人当たり2.9件(同0.6~5.7)、ベジタリアンでも2.9件(同0.9~5.2)、大腿骨近位部の骨折が増えると考えられた。.肉を食べない人たちの骨折リスクが有意に高いという結果について、Tong氏は「ビーガン、ベジタリアン、ペスクタリアンはいずれもBMIが低かったことが理由の1つとして考えられる」と述べている。実際、本研究の調整因子からBMIを除外すると、骨折リスクとの関連がより強くなった。BMIが高いことは、エストロゲン分泌量が多いことや、骨の強度、転倒時の衝撃吸収性と関連することが報告されている。.もう1つの理由として、肉を食べない人はカルシウムとタンパク質の摂取量が少なく、ビーガンはカルシウム摂取量が特に低いことの関係が考えられる。ただし本研究において、食事中のカルシウム量やタンパク質量を調整因子に加えて解析しても、結果の有意性は保たれていた。そのためTong氏は、「未知の因子が骨の健康に影響を及ぼしている可能性もある」と述べている。.この報告をレビューした米テキサス大学サウスウエスタン医療センターのLona Sandon氏は、「ベジタリアンやビーガンの食事は、さまざまな栄養素が不足している可能性がある。骨の健康のためにはタンパク質、ビタミンK、リン、マグネシウムなども必要だ」と指摘している。また、「ベジタリアンは必要な栄養素を摂取できていることも多いが、ビーガンではビタミンB群、鉄、亜鉛なども不足しがち。健康的な食生活において、肉は必須ではないものの、ある程度の鶏肉や魚などを取り入れるメリットは大きい」と同氏はアドバイスしている。(HealthDay News 2020年11月23日).https://consumer.healthday.com/11-23-vegan-diets-tied-to-higher-bone-fracture-risk-2648968631.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
肉や魚、乳製品を食べないビーガンは、骨折リスクが4割以上高いことが英国の研究で判明した。また、魚は食べるが肉は食べないペスクタリアンや、肉と魚を食べないが乳製品や卵は食べるベジタリアンも、大腿骨近位部の骨折リスクが高いという。英オックスフォード大学のTammy Tong氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Medicine」に11月23日掲載された。Tong氏らは、1993~2001年に登録された、ベジタリアン食に関する世界最大規模のコホート研究である「EPIC-Oxford研究」の参加者5万4,898人を平均17.6年追跡し、骨折リスクを検討した。研究登録時と追跡調査時の2回、食事調査を実施。非ベジタリアン(一般的な食生活の人)が2万9,380人で、ペスクタリアンは8,037人、ベジタリアン1万5,499人、ビーガン1,982人だった。骨折の発生は、国民保険サービスのデータを用いて確認した。.追跡期間中に発生した総骨折件数は3,941件だった。骨折リスクの解析に際して、リスクに影響し得る因子(年齢、性別、登録年、BMI、身長、飲酒・喫煙・身体活動習慣、民族、栄養補助食品の使用、生活水準、女性の出産歴・閉経状態・ホルモン補充療法の施行など)で調整した。.その結果、ビーガンは非ベジタリアンに比較して、総骨折のハザード比(HR)が1.43(95%信頼区間1.20~1.70)、大腿骨近位部の骨折がHR2.31(同1.66~3.22)、脚の骨折はHR2.05(同1.23~3.41)であり、その他の主要部位の骨折もHR1.59(同1.02~2.50)と、有意にハイリスクであることが分かった。.大腿骨近位部の骨折リスクに関しては、ビーガン以外でもリスク上昇が認められた。例えばペスクタリアンはHR1.26(同1.02~1.54)、ベジタリアンはHR1.25(同1.04~1.50)だった。大腿骨近位部骨折の発生件数は、非ベジタリアンに比較してビーガンでは10年間で1,000人当たり14.9件(同7.9~24.5)増加すると計算された。同様に、ペスクタリアンでは10年間で1,000人当たり2.9件(同0.6~5.7)、ベジタリアンでも2.9件(同0.9~5.2)、大腿骨近位部の骨折が増えると考えられた。.肉を食べない人たちの骨折リスクが有意に高いという結果について、Tong氏は「ビーガン、ベジタリアン、ペスクタリアンはいずれもBMIが低かったことが理由の1つとして考えられる」と述べている。実際、本研究の調整因子からBMIを除外すると、骨折リスクとの関連がより強くなった。BMIが高いことは、エストロゲン分泌量が多いことや、骨の強度、転倒時の衝撃吸収性と関連することが報告されている。.もう1つの理由として、肉を食べない人はカルシウムとタンパク質の摂取量が少なく、ビーガンはカルシウム摂取量が特に低いことの関係が考えられる。ただし本研究において、食事中のカルシウム量やタンパク質量を調整因子に加えて解析しても、結果の有意性は保たれていた。そのためTong氏は、「未知の因子が骨の健康に影響を及ぼしている可能性もある」と述べている。.この報告をレビューした米テキサス大学サウスウエスタン医療センターのLona Sandon氏は、「ベジタリアンやビーガンの食事は、さまざまな栄養素が不足している可能性がある。骨の健康のためにはタンパク質、ビタミンK、リン、マグネシウムなども必要だ」と指摘している。また、「ベジタリアンは必要な栄養素を摂取できていることも多いが、ビーガンではビタミンB群、鉄、亜鉛なども不足しがち。健康的な食生活において、肉は必須ではないものの、ある程度の鶏肉や魚などを取り入れるメリットは大きい」と同氏はアドバイスしている。(HealthDay News 2020年11月23日).https://consumer.healthday.com/11-23-vegan-diets-tied-to-higher-bone-fracture-risk-2648968631.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.