テレビやゲーム、携帯電話に夢中のティーンに向かって親が、「いい加減にやめなさい」としつこく注意し続ける必要はないのかもしれない。米コロラド大学行動科学研究所のStefanie Mollborn氏らは、子どものスクリーンタイム(テレビやゲーム機、携帯電話といったテクノロジー機器を使う時間)の長さを危惧する親たちを安堵させる研究結果を発表した。それによると、ティーンのスクリーンタイムの長さや親がそれを制限したかどうかは、子どもの成人後にまで長期的な影響を及ぼすわけではないことが示されたという。詳細は、「Advances in Life Course Research」に10月20日掲載された。Mollborn氏らは今回、19~25歳の若年成人56人を対象に聞き取り調査を実施した。調査では、対象者が10歳と17歳時のテクノロジー機器の使用状況、親や保護者からテクノロジー機器の使用について言われたこと、現在のテクノロジー機器の使用状況などについて尋ねた。また、2007~2017年に1,168人を、青年期(10〜18歳)から若年成人期(20〜29歳)まで追跡した調査データも分析した。.その結果は予想外のものであった。ティーンの頃に親がスクリーンタイムを制限していたかどうかや、食事時間にテレビを見ることを禁止していたかどうかは、若年成人期のテクノロジー機器の使用時間に影響しないことが明らかになったのだ。また、ティーンの頃に自宅にテクノロジー機器があまりなかった人や、子どもの頃にそうした機器を使う機会が少なかった人は、成人期のスクリーンタイムがわずかに短かったが、統計学的には弱い関連しか認められなかった。.こうした結果を受けてMollborn氏は、「親の育て方は重要だが、テクノロジー機器の使用時間に対して与える影響は、それほど大きくはないと考えられる」と話す。また、「対象者には、自身のテクノロジー機器の使用状況や、使用時間を減らすための方法について、しっかりとした考えがあった」と指摘し、「テクノロジー機器の使用に対する影響力がより大きいのは、そうした機器の使用についてどう感じるかだ。つまり、機器の使用を良いことと思っているのか、あるいは少し罪悪感を覚えるのかといったことの方が重要なのだ。また、成人後のテクノロジー機器の使用について、子ども自身がどのような考えを持っているのかも関係してくる」と説明している。.ただしMollborn氏は、「われわれの研究結果は、テクノロジー機器の中毒になる人がいないことを意味するものではない。また、子どものテクノロジー機器の使用を親が制限したり、そのメリットとデメリットについて話したりする必要はないということを示すものでもない」と強調し、慎重な解釈を求めている。.一方、米国小児科学会(AAP)コミュニケーション・メディア委員会の元委員長で小児科医のDavid Hill氏は、「電子メディアは、人々のコミュニケーションや娯楽のために開発された最も強力なツールの一つだ。それらの利用が、学業や情緒的および身体的な健康の向上につながっているのであれば、私も嬉しく思う。しかし、それらの機器の使い方や使用時間の長さが原因で、子どもが不安や抑うつ、睡眠不足に陥っているのなら、そうした子どもには行動を変えるよう、私は伝えている」と話している。(HealthDay News 2020年11月23日).https://consumer.healthday.com/11-20-does-parents-nagging-kids-about-screen-time-even-matter-2648955503.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
テレビやゲーム、携帯電話に夢中のティーンに向かって親が、「いい加減にやめなさい」としつこく注意し続ける必要はないのかもしれない。米コロラド大学行動科学研究所のStefanie Mollborn氏らは、子どものスクリーンタイム(テレビやゲーム機、携帯電話といったテクノロジー機器を使う時間)の長さを危惧する親たちを安堵させる研究結果を発表した。それによると、ティーンのスクリーンタイムの長さや親がそれを制限したかどうかは、子どもの成人後にまで長期的な影響を及ぼすわけではないことが示されたという。詳細は、「Advances in Life Course Research」に10月20日掲載された。Mollborn氏らは今回、19~25歳の若年成人56人を対象に聞き取り調査を実施した。調査では、対象者が10歳と17歳時のテクノロジー機器の使用状況、親や保護者からテクノロジー機器の使用について言われたこと、現在のテクノロジー機器の使用状況などについて尋ねた。また、2007~2017年に1,168人を、青年期(10〜18歳)から若年成人期(20〜29歳)まで追跡した調査データも分析した。.その結果は予想外のものであった。ティーンの頃に親がスクリーンタイムを制限していたかどうかや、食事時間にテレビを見ることを禁止していたかどうかは、若年成人期のテクノロジー機器の使用時間に影響しないことが明らかになったのだ。また、ティーンの頃に自宅にテクノロジー機器があまりなかった人や、子どもの頃にそうした機器を使う機会が少なかった人は、成人期のスクリーンタイムがわずかに短かったが、統計学的には弱い関連しか認められなかった。.こうした結果を受けてMollborn氏は、「親の育て方は重要だが、テクノロジー機器の使用時間に対して与える影響は、それほど大きくはないと考えられる」と話す。また、「対象者には、自身のテクノロジー機器の使用状況や、使用時間を減らすための方法について、しっかりとした考えがあった」と指摘し、「テクノロジー機器の使用に対する影響力がより大きいのは、そうした機器の使用についてどう感じるかだ。つまり、機器の使用を良いことと思っているのか、あるいは少し罪悪感を覚えるのかといったことの方が重要なのだ。また、成人後のテクノロジー機器の使用について、子ども自身がどのような考えを持っているのかも関係してくる」と説明している。.ただしMollborn氏は、「われわれの研究結果は、テクノロジー機器の中毒になる人がいないことを意味するものではない。また、子どものテクノロジー機器の使用を親が制限したり、そのメリットとデメリットについて話したりする必要はないということを示すものでもない」と強調し、慎重な解釈を求めている。.一方、米国小児科学会(AAP)コミュニケーション・メディア委員会の元委員長で小児科医のDavid Hill氏は、「電子メディアは、人々のコミュニケーションや娯楽のために開発された最も強力なツールの一つだ。それらの利用が、学業や情緒的および身体的な健康の向上につながっているのであれば、私も嬉しく思う。しかし、それらの機器の使い方や使用時間の長さが原因で、子どもが不安や抑うつ、睡眠不足に陥っているのなら、そうした子どもには行動を変えるよう、私は伝えている」と話している。(HealthDay News 2020年11月23日).https://consumer.healthday.com/11-20-does-parents-nagging-kids-about-screen-time-even-matter-2648955503.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.