米国では、マグネットボールやアクセサリーキットなどの強力な磁石でできた玩具が原因で、数多くの小児が重傷を負っていることが、米マサチューセッツ総合病院小児科のMichael Flaherty氏らにより報告された。米国では、2016〜2019年の間にこうした症例が80%増加していたことが全米データの分析から明らかになったという。詳細は、「The Journal of the American Medical Association(JAMA)」11月24日号に発表された。NBCニュースによると、こうした症例は米国の至る場所で報告されている。インディアナ州では、4歳の男児が27個の小さなマグネットボールを飲み込み、緊急手術を受けた。イリノイ州でも、2歳の女児がマグネットボールを5個飲み込み、虫垂の切除を受けた。また2018年には、ウィスコンシン州で、4歳の男児が13個のマグネットボールを飲み込み、腸や虫垂の一部を切除する事態に陥った。最近では、ニュージャージー州で、6歳の男児が誕生日プレゼントにもらったおもちゃから磁石を飲み込み、結腸に8カ所穴が開いた状態で病院を受診している。このとき2つの穿孔が隣接していたため、腸の一部を切除しなくてはならなかったという。.こうした磁石はネオジムと呼ばれるレアアースの一種でできている。形状は円形や長方形、円筒形、キューブ状などさまざまで、サイズは3~6mm程度のものが多い。また、ネオジム磁石の磁力は、従来のフェライト磁石と比べて5~10倍の強さだとFlaherty氏は説明している。.ネオジム磁石は電車やエレベーターといった大型製品からハードディスクや携帯電話などの小型製品まで幅広く利用されているほか、さまざまな娯楽製品にも使われるようになった。小児がこうした磁石を2つ飲み込んだ場合、あるいは1つであっても別の金属製のものと一緒に飲み込んだ場合、「強い磁力で腸の壁がくっつき、ねじれた状態になる可能性があり、重篤な腸の損傷や死亡に至ることも考えられる」とFlaherty氏は言う。.米国の消費者製品安全委員会(CPSC)は2012年、ネオジム磁石製品の自主回収と安全基準の規定による、販売制限のための措置を取り、2014年には販売禁止とした。しかし2016年に連邦裁判所がCPSCの措置を越権行為と判断し、現在では販売解禁に至っている。.Flaherty氏らは今回、全米電子傷害情報サーベイランスシステムのデータを用いて、2009年1月〜2019年12月の間に異物の誤飲が原因で救急外来を受診した、17歳以下の小児患者3万6,701人のデータを調べた。その結果、磁石製品の誤飲または誤嚥が原因で受診した小児患者は1,421人であり、このうち847人は5歳以下の小児であることが明らかになった。.こうした玩具の販売が制限あるいは禁止されていた2013年から2016年の間に、磁石の誤飲で救急外来を受診した小児患者の割合は、10万人当たり3.58人から10万人当たり2.83人にまで有意に減少していた。しかし、販売が解禁された2016年から2019年にかけて、その割合は10万人当たり5.16人へと80%以上も増加していた。.これらの結果を踏まえ、「小さなネオジム磁石の製品は、14歳未満の子どもがいる家には置くべきではない」とFlaherty氏は主張する。また、CPSCの規制に伴い救急外来の受診件数が有意に減少していたことから、連邦政府による対策や業界基準の再検討が必要であるとの見解を示している。(HealthDay News 2020年11月24日).https://consumer.healthday.com/11-24-more-kids-choking-on-button-magnets-rising-after-de-regulation-2648983253.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
米国では、マグネットボールやアクセサリーキットなどの強力な磁石でできた玩具が原因で、数多くの小児が重傷を負っていることが、米マサチューセッツ総合病院小児科のMichael Flaherty氏らにより報告された。米国では、2016〜2019年の間にこうした症例が80%増加していたことが全米データの分析から明らかになったという。詳細は、「The Journal of the American Medical Association(JAMA)」11月24日号に発表された。NBCニュースによると、こうした症例は米国の至る場所で報告されている。インディアナ州では、4歳の男児が27個の小さなマグネットボールを飲み込み、緊急手術を受けた。イリノイ州でも、2歳の女児がマグネットボールを5個飲み込み、虫垂の切除を受けた。また2018年には、ウィスコンシン州で、4歳の男児が13個のマグネットボールを飲み込み、腸や虫垂の一部を切除する事態に陥った。最近では、ニュージャージー州で、6歳の男児が誕生日プレゼントにもらったおもちゃから磁石を飲み込み、結腸に8カ所穴が開いた状態で病院を受診している。このとき2つの穿孔が隣接していたため、腸の一部を切除しなくてはならなかったという。.こうした磁石はネオジムと呼ばれるレアアースの一種でできている。形状は円形や長方形、円筒形、キューブ状などさまざまで、サイズは3~6mm程度のものが多い。また、ネオジム磁石の磁力は、従来のフェライト磁石と比べて5~10倍の強さだとFlaherty氏は説明している。.ネオジム磁石は電車やエレベーターといった大型製品からハードディスクや携帯電話などの小型製品まで幅広く利用されているほか、さまざまな娯楽製品にも使われるようになった。小児がこうした磁石を2つ飲み込んだ場合、あるいは1つであっても別の金属製のものと一緒に飲み込んだ場合、「強い磁力で腸の壁がくっつき、ねじれた状態になる可能性があり、重篤な腸の損傷や死亡に至ることも考えられる」とFlaherty氏は言う。.米国の消費者製品安全委員会(CPSC)は2012年、ネオジム磁石製品の自主回収と安全基準の規定による、販売制限のための措置を取り、2014年には販売禁止とした。しかし2016年に連邦裁判所がCPSCの措置を越権行為と判断し、現在では販売解禁に至っている。.Flaherty氏らは今回、全米電子傷害情報サーベイランスシステムのデータを用いて、2009年1月〜2019年12月の間に異物の誤飲が原因で救急外来を受診した、17歳以下の小児患者3万6,701人のデータを調べた。その結果、磁石製品の誤飲または誤嚥が原因で受診した小児患者は1,421人であり、このうち847人は5歳以下の小児であることが明らかになった。.こうした玩具の販売が制限あるいは禁止されていた2013年から2016年の間に、磁石の誤飲で救急外来を受診した小児患者の割合は、10万人当たり3.58人から10万人当たり2.83人にまで有意に減少していた。しかし、販売が解禁された2016年から2019年にかけて、その割合は10万人当たり5.16人へと80%以上も増加していた。.これらの結果を踏まえ、「小さなネオジム磁石の製品は、14歳未満の子どもがいる家には置くべきではない」とFlaherty氏は主張する。また、CPSCの規制に伴い救急外来の受診件数が有意に減少していたことから、連邦政府による対策や業界基準の再検討が必要であるとの見解を示している。(HealthDay News 2020年11月24日).https://consumer.healthday.com/11-24-more-kids-choking-on-button-magnets-rising-after-de-regulation-2648983253.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.