学校の始業時間を遅らせることで、片頭痛持ちのティーンエージャーが経験する頭痛の頻度が減少する可能性を示した研究結果が明らかになった。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のAmy Gelfand氏らによるこの研究は、「Headache: The Journal of Head and Face Pain」に11月25日掲載された。米国睡眠医学会(AASM)は、ティーンエージャーに対して、8~10時間の睡眠時間を確保するよう推奨している。また米国小児科学会(AAP)は、中学校や高校に対して始業時間を8時半以降とすることを推奨している。しかし、米疾病対策センター(CDC)によると、この推奨に従って始業時間を遅らせている米国の公立の中学校および高校の割合は、約18%に過ぎないという。.Gelfand氏らは今回、ソーシャルメディアを通して集めた片頭痛持ちの米国の高校生1,012人に対して、オンライン調査を実施した。参加者の約半数(509人)が通う学校の始業時間は午前8時半よりも早く、残る半数(503人)が通う学校の始業時間は8時半よりも遅かった。.解析の結果、調査参加者が1カ月間に頭痛を経験した日数の平均は、始業時間が8時半よりも早い学校に通う生徒で平均7.7日、始業時間が8時半以降の学校に通う生徒では平均4.8日であった。睡眠不足や朝食抜きでの登校、ジェンダー、宿題の量、片頭痛治療薬の服用といった要因による影響を取り除くと、前者で平均7.1日、後者で平均5.8日にまで差が縮まったものの、群間差(1.3日)は依然として有意なままであった。.これらの結果を受けてGelfand氏は、「われわれの研究で示された、始業時間を遅らせることによる片頭痛軽減の効果量は、これまでに臨床試験で示された、片頭痛予防のための薬剤の効果量と同程度であった」と指摘する。そして、「今回得られた知見が今後の研究で確認されれば、学校の始業時間を遅らせることが、ティーンエージャーの片頭痛と欠席日数を減らすための、変更可能な社会レベルでの介入法となる可能性がある」との見解を示している。.またGelfand氏は、「睡眠と片頭痛の関連についてはエビデンスにより裏付けされている。適切な睡眠時間を確保し、規則正しい睡眠習慣を身に付けることで、片頭痛の頻度を低減できる可能性がある」と説明している。なお、同氏によれば、青少年の8~12%が片頭痛を経験するという。.Gelfand氏はさらに、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって、子どもたちの通学のあり方が大きく変化した。典型的な授業日のあり方について再考が迫られる中、学校の始業時間も変更するときが来たとも考えられる」と述べている。(HealthDay News 2020年11月29日).https://consumer.healthday.com/b-11-28-later-school-start-time-fewer-migraines-for-kids-2649031315.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
学校の始業時間を遅らせることで、片頭痛持ちのティーンエージャーが経験する頭痛の頻度が減少する可能性を示した研究結果が明らかになった。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のAmy Gelfand氏らによるこの研究は、「Headache: The Journal of Head and Face Pain」に11月25日掲載された。米国睡眠医学会(AASM)は、ティーンエージャーに対して、8~10時間の睡眠時間を確保するよう推奨している。また米国小児科学会(AAP)は、中学校や高校に対して始業時間を8時半以降とすることを推奨している。しかし、米疾病対策センター(CDC)によると、この推奨に従って始業時間を遅らせている米国の公立の中学校および高校の割合は、約18%に過ぎないという。.Gelfand氏らは今回、ソーシャルメディアを通して集めた片頭痛持ちの米国の高校生1,012人に対して、オンライン調査を実施した。参加者の約半数(509人)が通う学校の始業時間は午前8時半よりも早く、残る半数(503人)が通う学校の始業時間は8時半よりも遅かった。.解析の結果、調査参加者が1カ月間に頭痛を経験した日数の平均は、始業時間が8時半よりも早い学校に通う生徒で平均7.7日、始業時間が8時半以降の学校に通う生徒では平均4.8日であった。睡眠不足や朝食抜きでの登校、ジェンダー、宿題の量、片頭痛治療薬の服用といった要因による影響を取り除くと、前者で平均7.1日、後者で平均5.8日にまで差が縮まったものの、群間差(1.3日)は依然として有意なままであった。.これらの結果を受けてGelfand氏は、「われわれの研究で示された、始業時間を遅らせることによる片頭痛軽減の効果量は、これまでに臨床試験で示された、片頭痛予防のための薬剤の効果量と同程度であった」と指摘する。そして、「今回得られた知見が今後の研究で確認されれば、学校の始業時間を遅らせることが、ティーンエージャーの片頭痛と欠席日数を減らすための、変更可能な社会レベルでの介入法となる可能性がある」との見解を示している。.またGelfand氏は、「睡眠と片頭痛の関連についてはエビデンスにより裏付けされている。適切な睡眠時間を確保し、規則正しい睡眠習慣を身に付けることで、片頭痛の頻度を低減できる可能性がある」と説明している。なお、同氏によれば、青少年の8~12%が片頭痛を経験するという。.Gelfand氏はさらに、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによって、子どもたちの通学のあり方が大きく変化した。典型的な授業日のあり方について再考が迫られる中、学校の始業時間も変更するときが来たとも考えられる」と述べている。(HealthDay News 2020年11月29日).https://consumer.healthday.com/b-11-28-later-school-start-time-fewer-migraines-for-kids-2649031315.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.