寛解に至っている関節リウマチ(RA)患者は、関節疾患のない人よりも足の温度が高いとする研究結果を、マルタ大学健康科学部のAlfred Gatt氏らが報告した。研究チームは、「将来的には、医師や患者自身が小さなサーマルカメラをスクリーニングツールとして用いて、関節の変化を早期に発見し、さらなるダメージを防げるようになるかもしれない」との期待を示している。研究の詳細は、「PLOS ONE」に12月2日掲載された。この研究は、寛解に至っているRA患者32人(平均年齢60.19歳、女性29人)と、RAのない健常者51人(平均年齢36歳、女性39人)を対象にしたもの。Gatt氏らは、対象者の足を、前足部や踵部などさまざまな領域に分け、各領域の温度をサーマルカメラで測定し、RA患者と健常者との間で比較検討した。なお、RAにおける寛解とは、関節の炎症が認められず、病状をコントロールできている状態のことを意味する。.その結果、RA患者では前足部の内側、中央、外側の全ての領域で、健常者よりも平均温度が有意に高いことが明らかになった(内側:28.5±1.8対26.98±2.5、中央:28.59±1.8対26.84±2.4、外側:28.04±1.8対26.98±2.5)。RA患者内で、領域による有意差は認められなかった。踵部についても、全ての領域でRA患者の方が健常者よりも平均温度が有意に高かった(内側:27.91±1.6対26.78±2.4、中央:27.87±1.6対26.78±2.4、外側:27.86±1.6対26.79±2.4、)。また、RA患者の中で踵部の領域による有意差は認められなかった。.こうした研究結果を受けてGatt氏は、「われわれの研究により、寛解を得たRA患者と健常者とでは、前足と踵部の全領域で温度が有意に異なることが判明した。この結果は、今後の研究において、サーモグラフィーのパターンが疾患活動性によって変化するかどうかを評価するための基礎となる知見だ」と話している。.この論文の共著者で、同大学健康科学部のCynthia Formosa氏は、「この研究結果は、RA患者では、たとえ従来の方法で炎症が検出されない場合でも、足の関節から放出される熱が、健康な成人よりも高いことを示したものである。この研究により、RAのスクリーニングにおけるベースラインが新たに設定されたと言える」と高く評価する。そして、「これにより、表面には現れていないが進行中の何らかの疾患を、サーモグラフィーにより検出できる可能性が出てきた」と付け加えている。.同じく論文の共著者で、英スタッフォードシャー大学生体力学・リハビリテーション技術センターのセンター長であるNachiappan Chockalingam氏は、「われわれが得た研究結果は、RAの寛解を得た患者の継続的な管理とセルフケアの両方に影響を及ぼすものだ」と結論付けている。.Chockalingam氏は、「たとえRA患者が寛解を得ていても、それは完治したわけでもないし、再燃しないことを意味するわけでもない」と指摘。「われわれが今回の研究結果を踏まえて伝えたいのは、寛解を得たRA患者に対しても、継続的なモニタリングを続ける必要があるということだ」と述べている。(HealthDay News 2020年12月15日).https://consumer.healthday.com/b-12-15-people-with-rheumatoid-arthritis-have-higher-body-temperature-study-2649438898.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
寛解に至っている関節リウマチ(RA)患者は、関節疾患のない人よりも足の温度が高いとする研究結果を、マルタ大学健康科学部のAlfred Gatt氏らが報告した。研究チームは、「将来的には、医師や患者自身が小さなサーマルカメラをスクリーニングツールとして用いて、関節の変化を早期に発見し、さらなるダメージを防げるようになるかもしれない」との期待を示している。研究の詳細は、「PLOS ONE」に12月2日掲載された。この研究は、寛解に至っているRA患者32人(平均年齢60.19歳、女性29人)と、RAのない健常者51人(平均年齢36歳、女性39人)を対象にしたもの。Gatt氏らは、対象者の足を、前足部や踵部などさまざまな領域に分け、各領域の温度をサーマルカメラで測定し、RA患者と健常者との間で比較検討した。なお、RAにおける寛解とは、関節の炎症が認められず、病状をコントロールできている状態のことを意味する。.その結果、RA患者では前足部の内側、中央、外側の全ての領域で、健常者よりも平均温度が有意に高いことが明らかになった(内側:28.5±1.8対26.98±2.5、中央:28.59±1.8対26.84±2.4、外側:28.04±1.8対26.98±2.5)。RA患者内で、領域による有意差は認められなかった。踵部についても、全ての領域でRA患者の方が健常者よりも平均温度が有意に高かった(内側:27.91±1.6対26.78±2.4、中央:27.87±1.6対26.78±2.4、外側:27.86±1.6対26.79±2.4、)。また、RA患者の中で踵部の領域による有意差は認められなかった。.こうした研究結果を受けてGatt氏は、「われわれの研究により、寛解を得たRA患者と健常者とでは、前足と踵部の全領域で温度が有意に異なることが判明した。この結果は、今後の研究において、サーモグラフィーのパターンが疾患活動性によって変化するかどうかを評価するための基礎となる知見だ」と話している。.この論文の共著者で、同大学健康科学部のCynthia Formosa氏は、「この研究結果は、RA患者では、たとえ従来の方法で炎症が検出されない場合でも、足の関節から放出される熱が、健康な成人よりも高いことを示したものである。この研究により、RAのスクリーニングにおけるベースラインが新たに設定されたと言える」と高く評価する。そして、「これにより、表面には現れていないが進行中の何らかの疾患を、サーモグラフィーにより検出できる可能性が出てきた」と付け加えている。.同じく論文の共著者で、英スタッフォードシャー大学生体力学・リハビリテーション技術センターのセンター長であるNachiappan Chockalingam氏は、「われわれが得た研究結果は、RAの寛解を得た患者の継続的な管理とセルフケアの両方に影響を及ぼすものだ」と結論付けている。.Chockalingam氏は、「たとえRA患者が寛解を得ていても、それは完治したわけでもないし、再燃しないことを意味するわけでもない」と指摘。「われわれが今回の研究結果を踏まえて伝えたいのは、寛解を得たRA患者に対しても、継続的なモニタリングを続ける必要があるということだ」と述べている。(HealthDay News 2020年12月15日).https://consumer.healthday.com/b-12-15-people-with-rheumatoid-arthritis-have-higher-body-temperature-study-2649438898.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.