新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のPCR検査を自己採取した唾液で行った場合でも、検査結果の正確性は、医療従事者が採取した鼻腔拭い液を用いた場合と同程度であったとする研究結果が報告された。米メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのEsther Babady氏らが実施したこの研究の詳細は、「The Journal of Molecular Diagnostics」に11月17日掲載された。Babady氏らは、ニューヨーク市で新型コロナウイルスの感染者が爆発的に増えた2020年4月4日から5月11日にかけて、同センターに勤務する医療従事者285人から検体を採取した。これらの医療従事者は、COVID-19の症状が現れているか、症状はなくても新型コロナウイルスへの曝露歴を持つかのいずれかであった。.研究に参加した医療従事者のうち、87人は鼻腔拭い液と自己採取した唾液を、100人は咽頭拭い液と自己採取した唾液を、残りの98人は鼻腔拭い液と口をゆすいだ水(oral rinse)を検体として提供した。その上で、それぞれ2通りの検体採取方法の間での新型コロナウイルスRNAの検出精度を比較した。.その結果、唾液を用いた検査結果と鼻腔拭い液を用いた検査結果の一致率は97.7%であり、鼻腔拭い液での検出率を参照基準とした場合の唾液での検査の感度は94.1%、特異度は98.6%だった。また、唾液を用いた検査結果と咽頭拭い液を用いた検査結果の一致率は93%であり、咽頭拭い液での検出率を参照基準とした場合の唾液での検査の感度は96.7%、特異度は91.4%だった。一方、口をゆすいだ水を用いた検査結果と鼻腔拭い液を用いた検査結果との一致率は85.7%で、鼻腔拭い液での検出率を参照基準とした場合の口をゆすいだ水での検査の感度は63.6%、特異度は96.9%だった。.そのほか、室温、あるいは保冷容器(4℃)の中で保存した唾液検体のウイルス量を調べたところ、採取時と8時間後、24時間後のウイルス量に変化は認められなかった。.以上の結果を踏まえてBabady氏は、「今回のCOVID-19パンデミックは、検査に必要なスワブ(綿棒)や検体を採取する医療従事者を感染から守るための個人防護具(PPE)の供給網に大きな打撃を与えた」と述べ、「われわれの研究結果は、スワブやPPEの供給網を維持しながら医療従事者の感染リスクの低減にもつながる検査戦略の導入に期待を抱かせるものだ」と述べる。そして、「自己採取した唾液で新型コロナウイルスの検査を行うことで、医療従事者のウイルスへの曝露が減り、スワブやウイルス輸送培地(VTM、検体を輸送するための保存液が入った容器)といった特別な器材の必要性が低下する可能性もある」とコメントしている。.さらにBabady氏は、現行の検査・追跡アプローチでは、診断とサーベイランスの両面において頻回な検査が欠かせない点を指摘。「自己採取による唾液を用いた検査は、低コストかつ侵襲性の低い有用な検体採取法の一つとなり得る」との見解を示している。そして、「1週間に2回、コップに唾液を吐き出す検査の方が、鼻腔拭い液による検査よりも簡便なのは確かだ。この方法であれば、患者のコンプライアンスや満足度も向上する可能性がある。その上、新型コロナウイルスは、室温でも、少なくとも24時間は安定していることも明らかになった。つまり、唾液採取は自宅で行うことが可能かもしれない」と述べている。(HealthDay News 2020年12月11日).https://consumer.healthday.com/b-12-11-saliva-equals-nasal-swab-for-covid-test-accuracy-2649440640.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のPCR検査を自己採取した唾液で行った場合でも、検査結果の正確性は、医療従事者が採取した鼻腔拭い液を用いた場合と同程度であったとする研究結果が報告された。米メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのEsther Babady氏らが実施したこの研究の詳細は、「The Journal of Molecular Diagnostics」に11月17日掲載された。Babady氏らは、ニューヨーク市で新型コロナウイルスの感染者が爆発的に増えた2020年4月4日から5月11日にかけて、同センターに勤務する医療従事者285人から検体を採取した。これらの医療従事者は、COVID-19の症状が現れているか、症状はなくても新型コロナウイルスへの曝露歴を持つかのいずれかであった。.研究に参加した医療従事者のうち、87人は鼻腔拭い液と自己採取した唾液を、100人は咽頭拭い液と自己採取した唾液を、残りの98人は鼻腔拭い液と口をゆすいだ水(oral rinse)を検体として提供した。その上で、それぞれ2通りの検体採取方法の間での新型コロナウイルスRNAの検出精度を比較した。.その結果、唾液を用いた検査結果と鼻腔拭い液を用いた検査結果の一致率は97.7%であり、鼻腔拭い液での検出率を参照基準とした場合の唾液での検査の感度は94.1%、特異度は98.6%だった。また、唾液を用いた検査結果と咽頭拭い液を用いた検査結果の一致率は93%であり、咽頭拭い液での検出率を参照基準とした場合の唾液での検査の感度は96.7%、特異度は91.4%だった。一方、口をゆすいだ水を用いた検査結果と鼻腔拭い液を用いた検査結果との一致率は85.7%で、鼻腔拭い液での検出率を参照基準とした場合の口をゆすいだ水での検査の感度は63.6%、特異度は96.9%だった。.そのほか、室温、あるいは保冷容器(4℃)の中で保存した唾液検体のウイルス量を調べたところ、採取時と8時間後、24時間後のウイルス量に変化は認められなかった。.以上の結果を踏まえてBabady氏は、「今回のCOVID-19パンデミックは、検査に必要なスワブ(綿棒)や検体を採取する医療従事者を感染から守るための個人防護具(PPE)の供給網に大きな打撃を与えた」と述べ、「われわれの研究結果は、スワブやPPEの供給網を維持しながら医療従事者の感染リスクの低減にもつながる検査戦略の導入に期待を抱かせるものだ」と述べる。そして、「自己採取した唾液で新型コロナウイルスの検査を行うことで、医療従事者のウイルスへの曝露が減り、スワブやウイルス輸送培地(VTM、検体を輸送するための保存液が入った容器)といった特別な器材の必要性が低下する可能性もある」とコメントしている。.さらにBabady氏は、現行の検査・追跡アプローチでは、診断とサーベイランスの両面において頻回な検査が欠かせない点を指摘。「自己採取による唾液を用いた検査は、低コストかつ侵襲性の低い有用な検体採取法の一つとなり得る」との見解を示している。そして、「1週間に2回、コップに唾液を吐き出す検査の方が、鼻腔拭い液による検査よりも簡便なのは確かだ。この方法であれば、患者のコンプライアンスや満足度も向上する可能性がある。その上、新型コロナウイルスは、室温でも、少なくとも24時間は安定していることも明らかになった。つまり、唾液採取は自宅で行うことが可能かもしれない」と述べている。(HealthDay News 2020年12月11日).https://consumer.healthday.com/b-12-11-saliva-equals-nasal-swab-for-covid-test-accuracy-2649440640.html.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.