体内のカドミウム濃度が高い人では、インフルエンザや肺炎による死亡リスクが上昇することが、米ミシガン大学公衆衛生学部のSung Kyun Park氏らが実施した研究から明らかになった。この結果は、高齢や慢性疾患に加え、カドミウム濃度も新型コロナウイルス感染症（COVID-19）重症化のリスク因子である可能性を示唆するものだ。詳細は、「Environmental Health Perspectives」12月号に掲載された。重金属であるカドミウムは、タバコや、汚染された土壌で育った野菜に含まれている。過去の研究では、たとえ低レベルであってもカドミウムへの長期曝露は、肺の防御システムを脆弱化させる可能性のあることが報告されている。.この研究は、米国国民健康栄養調査（NHANES）に1988〜1994年（NHANES Ⅲ、7,173人）、および1999〜2006年（NHANES 1999-2006、8,678人）に参加した45歳以上の人1万5,851人のデータを分析したもの。NHANES Ⅲではクレアチニン補正した尿中のカドミウム濃度、NHANES 1999-2006では血中カドミウム濃度が測定されていた。Park氏らはそれらのデータを基に、インフルエンザまたは肺炎による死亡との関連を検討した。.性別、人種/民族、教育歴、BMI、血清コレステロール値、高血圧で調整して解析した結果、NHANES Ⅲの参加者でカドミウム濃度が80パーセンタイルの患者では、カドミウム濃度が20パーセンタイルの患者と比べて、インフルエンザや肺炎で死亡する確率が15％高いことが明らかになった（ハザード比1.15、P＝0.002）。また、喫煙歴がない人の間ではその差はさらに大きくなり、80パーセンタイルの患者の死亡リスクは20パーセンタイルの患者よりも27％高かった（ハザード比1.27、P＝0.002）。.一方、NHANES 1999-2006の参加者の中で、血中カドミウム濃度が80パーセンタイルだった患者では、濃度が20パーセンタイルの患者と比べて、統計的に有意ではなかったものの、インフルエンザや肺炎による死亡リスクの上昇が認められた（ハザード比1.14、P＝0.15）。喫煙歴のない人に限った場合では、濃度が80パーセンタイルの患者の死亡リスクは20パーセンタイルの患者よりも71％高かった（ハザード比1.71、P＝0.07）。.以上の結果を得て、研究論文の上席著者である米南カリフォルニア大学予防医学教授のHoward Hu氏は、「今回の研究で明らかになった、カドミウム濃度とインフルエンザや肺炎による死亡との関連が、別の対象者でも認められるか否かを検証する必要がある。また、カドミウムがCOVID-19による死亡に影響を及ぼしている可能性についても検討が必要だ」と、今後の研究の方向性に言及している。.一方、Park氏は、「COVID-19パンデミックが単発的な出来事で終わるとは限らない。われわれの研究結果は、新たにパンデミックが発生した際に、カドミウム曝露を減らすことで、COVID-19の重症化リスクを抑制できる可能性があることを示唆するものだ」と述べている。.Park氏は、喫煙中の人は喫煙をやめるべきであり、また、食事中の主なカドミウムの供給源に関する知識を人々が身につけるべきだと主張する。同氏によると、カドミウムの含有量が多い食品は、穀物、米、肝臓や腎臓などの動物の臓器、大豆、ある種の葉野菜である。ただし同氏は、こうした食品から摂取したカドミウムが及ぼす影響は、トータルで見ると控え目なものであるとして、「われわれが勧めているのは、食生活の劇的な変更ではなく、摂取する食品の選択に多少の変更を加えることだ」と述べている。（HealthDay News 2020年12月16日）.https://consumer.healthday.com/b-12-16-high-levels-of-cadmium-tied-to-worse-covid-19-2649442344.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
体内のカドミウム濃度が高い人では、インフルエンザや肺炎による死亡リスクが上昇することが、米ミシガン大学公衆衛生学部のSung Kyun Park氏らが実施した研究から明らかになった。この結果は、高齢や慢性疾患に加え、カドミウム濃度も新型コロナウイルス感染症（COVID-19）重症化のリスク因子である可能性を示唆するものだ。詳細は、「Environmental Health Perspectives」12月号に掲載された。重金属であるカドミウムは、タバコや、汚染された土壌で育った野菜に含まれている。過去の研究では、たとえ低レベルであってもカドミウムへの長期曝露は、肺の防御システムを脆弱化させる可能性のあることが報告されている。.この研究は、米国国民健康栄養調査（NHANES）に1988〜1994年（NHANES Ⅲ、7,173人）、および1999〜2006年（NHANES 1999-2006、8,678人）に参加した45歳以上の人1万5,851人のデータを分析したもの。NHANES Ⅲではクレアチニン補正した尿中のカドミウム濃度、NHANES 1999-2006では血中カドミウム濃度が測定されていた。Park氏らはそれらのデータを基に、インフルエンザまたは肺炎による死亡との関連を検討した。.性別、人種/民族、教育歴、BMI、血清コレステロール値、高血圧で調整して解析した結果、NHANES Ⅲの参加者でカドミウム濃度が80パーセンタイルの患者では、カドミウム濃度が20パーセンタイルの患者と比べて、インフルエンザや肺炎で死亡する確率が15％高いことが明らかになった（ハザード比1.15、P＝0.002）。また、喫煙歴がない人の間ではその差はさらに大きくなり、80パーセンタイルの患者の死亡リスクは20パーセンタイルの患者よりも27％高かった（ハザード比1.27、P＝0.002）。.一方、NHANES 1999-2006の参加者の中で、血中カドミウム濃度が80パーセンタイルだった患者では、濃度が20パーセンタイルの患者と比べて、統計的に有意ではなかったものの、インフルエンザや肺炎による死亡リスクの上昇が認められた（ハザード比1.14、P＝0.15）。喫煙歴のない人に限った場合では、濃度が80パーセンタイルの患者の死亡リスクは20パーセンタイルの患者よりも71％高かった（ハザード比1.71、P＝0.07）。.以上の結果を得て、研究論文の上席著者である米南カリフォルニア大学予防医学教授のHoward Hu氏は、「今回の研究で明らかになった、カドミウム濃度とインフルエンザや肺炎による死亡との関連が、別の対象者でも認められるか否かを検証する必要がある。また、カドミウムがCOVID-19による死亡に影響を及ぼしている可能性についても検討が必要だ」と、今後の研究の方向性に言及している。.一方、Park氏は、「COVID-19パンデミックが単発的な出来事で終わるとは限らない。われわれの研究結果は、新たにパンデミックが発生した際に、カドミウム曝露を減らすことで、COVID-19の重症化リスクを抑制できる可能性があることを示唆するものだ」と述べている。.Park氏は、喫煙中の人は喫煙をやめるべきであり、また、食事中の主なカドミウムの供給源に関する知識を人々が身につけるべきだと主張する。同氏によると、カドミウムの含有量が多い食品は、穀物、米、肝臓や腎臓などの動物の臓器、大豆、ある種の葉野菜である。ただし同氏は、こうした食品から摂取したカドミウムが及ぼす影響は、トータルで見ると控え目なものであるとして、「われわれが勧めているのは、食生活の劇的な変更ではなく、摂取する食品の選択に多少の変更を加えることだ」と述べている。（HealthDay News 2020年12月16日）.https://consumer.healthday.com/b-12-16-high-levels-of-cadmium-tied-to-worse-covid-19-2649442344.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
