入院中の小児が感じる痛みや不安の軽減には、ホスピタルクラウン(病院で活動する道化師)が有効かもしれない。ホスピタルクラウンによる笑いや遊びが、小児やティーンエイジャーの身体的症状と心理的ウェルビーイングの改善に役立つことを、エスピリトサント連邦大学(ブラジル)のLuís Carlos Lopes-Júnior氏らが報告した。この研究は、「The BMJ」12月19日号に掲載された。ホスピタルクラウンが手術前後の患児のストレスや不安を低減することは、過去の研究で示されていたが、結果には一貫性がなかった。そこでLopes-Júnior氏らは、データベースを使って2020年2月までに発表されたホスピタルクラウンに関する研究論文を検索。基準を満たした24件の臨床試験(患児の総計は1,612人)のデータを基に解析を行った。これらの試験は、イタリアやイスラエル、ブラジルなど世界10カ国で実施されたもので、24件のうち13件はランダム化比較試験、11件は非ランダム化比較試験であった。.解析対象者に生じた症状で最も多かったのは不安であり、それに次いで、痛み、心理的・感情的反応および知覚されたウェルビーイング、ストレス、がんに関連する倦怠感、泣くことが続いた。.レビューの結果、親が一緒にいるか否かにかかわらず、ホスピタルクラウンの訪問を受けた患児では、標準的なケアを受けた患児に比べて、一連の医療措置が行われる間に感じる不安の程度が有意に低減し、心理的ウェルビーイングも向上したことが示された。がんなどの慢性疾患を評価した3件の臨床試験では、ホスピタルクラウンとの交流があった患児では、標準的なケアを受けた患児と比べて、ストレス、倦怠感、疼痛、苦痛の有意な低減が認められたことも確認された。これに対して、ホスピタルクラウンと交流した患児が感じる苦痛の程度が、標準的なケアを受けた患児と同程度であったことを報告した研究は1件のみであった。.Lopes-Júnior氏らは、この研究には、バイアスリスクが存在する可能性や、対象とした各試験間でデータ収集方法や追跡期間、疾患の重症度や発症様式に違いがあることなどを限界点として挙げている。それでも同氏らは、「この研究結果は、急性疾患や慢性疾患で入院中の小児やティーンエイジャーの心理的ウェルビーイングおよび感情的反応は、ホスピタルクラウンとの交流により向上できる可能性のあることを明らかにしたものだ」と評価している。また、「この知見は、入院中の小児の心理的適応を向上させるために、今後も補完療法に関する研究を継続する必要性を裏付けるものだ」とも述べている。(HealthDay News 2020年12月31日).https://consumer.healthday.com/b-12-22-laughter-as-medicine-clowns-help-hospitalized-kids-cope-2649520895.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
入院中の小児が感じる痛みや不安の軽減には、ホスピタルクラウン(病院で活動する道化師)が有効かもしれない。ホスピタルクラウンによる笑いや遊びが、小児やティーンエイジャーの身体的症状と心理的ウェルビーイングの改善に役立つことを、エスピリトサント連邦大学(ブラジル)のLuís Carlos Lopes-Júnior氏らが報告した。この研究は、「The BMJ」12月19日号に掲載された。ホスピタルクラウンが手術前後の患児のストレスや不安を低減することは、過去の研究で示されていたが、結果には一貫性がなかった。そこでLopes-Júnior氏らは、データベースを使って2020年2月までに発表されたホスピタルクラウンに関する研究論文を検索。基準を満たした24件の臨床試験(患児の総計は1,612人)のデータを基に解析を行った。これらの試験は、イタリアやイスラエル、ブラジルなど世界10カ国で実施されたもので、24件のうち13件はランダム化比較試験、11件は非ランダム化比較試験であった。.解析対象者に生じた症状で最も多かったのは不安であり、それに次いで、痛み、心理的・感情的反応および知覚されたウェルビーイング、ストレス、がんに関連する倦怠感、泣くことが続いた。.レビューの結果、親が一緒にいるか否かにかかわらず、ホスピタルクラウンの訪問を受けた患児では、標準的なケアを受けた患児に比べて、一連の医療措置が行われる間に感じる不安の程度が有意に低減し、心理的ウェルビーイングも向上したことが示された。がんなどの慢性疾患を評価した3件の臨床試験では、ホスピタルクラウンとの交流があった患児では、標準的なケアを受けた患児と比べて、ストレス、倦怠感、疼痛、苦痛の有意な低減が認められたことも確認された。これに対して、ホスピタルクラウンと交流した患児が感じる苦痛の程度が、標準的なケアを受けた患児と同程度であったことを報告した研究は1件のみであった。.Lopes-Júnior氏らは、この研究には、バイアスリスクが存在する可能性や、対象とした各試験間でデータ収集方法や追跡期間、疾患の重症度や発症様式に違いがあることなどを限界点として挙げている。それでも同氏らは、「この研究結果は、急性疾患や慢性疾患で入院中の小児やティーンエイジャーの心理的ウェルビーイングおよび感情的反応は、ホスピタルクラウンとの交流により向上できる可能性のあることを明らかにしたものだ」と評価している。また、「この知見は、入院中の小児の心理的適応を向上させるために、今後も補完療法に関する研究を継続する必要性を裏付けるものだ」とも述べている。(HealthDay News 2020年12月31日).https://consumer.healthday.com/b-12-22-laughter-as-medicine-clowns-help-hospitalized-kids-cope-2649520895.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.