21カ国の約14万人を10年近く前向きに追跡した研究から、穀物摂取と心血管疾患や死亡リスクとの関係が明らかになった。精製された穀物の摂取量が多い食生活は、心血管疾患や死亡リスクを高める可能性があるという。一方で、全粒穀物や白米の摂取量は、健康リスクとの関連が有意でないということだ。研究結果の詳細は「The BMJ」に2月3日掲載された。著者の一人であるマクマスター大学(カナダ)のMahshid Dehghan氏は、「炭水化物の摂取量を適度に制限し、さまざまな種類の穀物、特に全粒穀物を摂取することを勧める。それがわれわれ研究チームからのメッセージだ」と語っている。.この研究は、「前向き都市農村疫学調査(Prospective Urban Rural Epidemiology;PURE)」のデータを利用したコホート研究として行われた。PUREは、北米、南米、欧州、アフリカ、中東、南アジア、東南アジアおよび中国を含む21カ国で2003年1月から募集された14万8,858人を、2019年7月まで追跡した大規模疫学研究。.PURE対象者のうち、ベースライン時に心血管疾患の既往が記録されていた参加者を除く13万7,130人(平均年齢50.1±9.9歳、男性41.6%)を9.5年間(中央値)追跡。ベースライン時の精製穀物、全粒穀物、白米の摂取量と、追跡期間中の死亡および主要心血管イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、脳卒中、心不全)で定義される複合エンドポイント発生率との関係を検討した。.追跡期間中に対象の9.2%(1万2,668人)に複合エンドポイントが発生した。年齢、性別のほか、喫煙・身体活動習慣、摂取エネルギー量、野菜・果物・乳製品・赤肉の摂取量、糖尿病、ウエスト・ヒップ比、所得などで調整後、精製穀物摂取量の最も少ない(50g/日未満)群を基準に、エンドポイント発生率を比較した。その結果、精製穀物の摂取量が多いこととイベントリスクが高いことの、有意な関連が明らかになった。.具体的には、精製穀物の摂取量が50~150g/日未満の群の複合エンドポイント発生ハザード比(HR)は1.07(95%信頼区間1.01~1.14)、150~250g/日未満の群はHR1.11(同1.03~1.21)、250~350g/日未満の群はHR1.17(同1.05~1.29)、350g/日以上の群はHR1.28(同1.15~1.42)だった。.主要心血管イベントについても、同順に、HR1.11(同1.01~1.21)、HR1.13(同1.02~1.26)、HR1.26(同1.10~1.43)、HR1.33(同1.16~1.52)と、いずれの群も有意なリスク上昇が認められた。全死亡に関しては、摂取量350g/日以上の群でHR1.27(同1.11~1.46)と、有意なリスク上昇が認められた。.また、精製穀物の摂取量が多いほど、収縮期/拡張期血圧が有意に高いという関連が見られた。一方で、全粒穀物および白米の摂取量は、エンドポイント発生率などの健康アウトカムとの有意な関連は見られなかった。.世界で消費されている食物の約半分は、大麦、小麦、米などの穀物が占め、低中所得国、特にアフリカや南アジアでは、その割合が70%にも達する。Dehghan氏は、「炭水化物からの摂取エネルギー量を、50~60%を超えない程度にすることを推奨する」と述べている。.この研究結果について、米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスのSamantha Heller氏は、「全粒穀物には健康に良い、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどが含まれている。それに対して精製された穀物の食物繊維はわずかだ」と解説。そして、「精製穀物を過剰に摂取すると、健康に良い栄養素の少ないエネルギーを体に取り入れることになってしまう」と注意を促している。(HealthDay News 2021年2月4日).https://consumer.healthday.com/2-4-whole-wheat-better-for-you-than-white-bread-study-confirms-2650238535.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
21カ国の約14万人を10年近く前向きに追跡した研究から、穀物摂取と心血管疾患や死亡リスクとの関係が明らかになった。精製された穀物の摂取量が多い食生活は、心血管疾患や死亡リスクを高める可能性があるという。一方で、全粒穀物や白米の摂取量は、健康リスクとの関連が有意でないということだ。研究結果の詳細は「The BMJ」に2月3日掲載された。著者の一人であるマクマスター大学(カナダ)のMahshid Dehghan氏は、「炭水化物の摂取量を適度に制限し、さまざまな種類の穀物、特に全粒穀物を摂取することを勧める。それがわれわれ研究チームからのメッセージだ」と語っている。.この研究は、「前向き都市農村疫学調査(Prospective Urban Rural Epidemiology;PURE)」のデータを利用したコホート研究として行われた。PUREは、北米、南米、欧州、アフリカ、中東、南アジア、東南アジアおよび中国を含む21カ国で2003年1月から募集された14万8,858人を、2019年7月まで追跡した大規模疫学研究。.PURE対象者のうち、ベースライン時に心血管疾患の既往が記録されていた参加者を除く13万7,130人(平均年齢50.1±9.9歳、男性41.6%)を9.5年間(中央値)追跡。ベースライン時の精製穀物、全粒穀物、白米の摂取量と、追跡期間中の死亡および主要心血管イベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、脳卒中、心不全)で定義される複合エンドポイント発生率との関係を検討した。.追跡期間中に対象の9.2%(1万2,668人)に複合エンドポイントが発生した。年齢、性別のほか、喫煙・身体活動習慣、摂取エネルギー量、野菜・果物・乳製品・赤肉の摂取量、糖尿病、ウエスト・ヒップ比、所得などで調整後、精製穀物摂取量の最も少ない(50g/日未満)群を基準に、エンドポイント発生率を比較した。その結果、精製穀物の摂取量が多いこととイベントリスクが高いことの、有意な関連が明らかになった。.具体的には、精製穀物の摂取量が50~150g/日未満の群の複合エンドポイント発生ハザード比(HR)は1.07(95%信頼区間1.01~1.14)、150~250g/日未満の群はHR1.11(同1.03~1.21)、250~350g/日未満の群はHR1.17(同1.05~1.29)、350g/日以上の群はHR1.28(同1.15~1.42)だった。.主要心血管イベントについても、同順に、HR1.11(同1.01~1.21)、HR1.13(同1.02~1.26)、HR1.26(同1.10~1.43)、HR1.33(同1.16~1.52)と、いずれの群も有意なリスク上昇が認められた。全死亡に関しては、摂取量350g/日以上の群でHR1.27(同1.11~1.46)と、有意なリスク上昇が認められた。.また、精製穀物の摂取量が多いほど、収縮期/拡張期血圧が有意に高いという関連が見られた。一方で、全粒穀物および白米の摂取量は、エンドポイント発生率などの健康アウトカムとの有意な関連は見られなかった。.世界で消費されている食物の約半分は、大麦、小麦、米などの穀物が占め、低中所得国、特にアフリカや南アジアでは、その割合が70%にも達する。Dehghan氏は、「炭水化物からの摂取エネルギー量を、50~60%を超えない程度にすることを推奨する」と述べている。.この研究結果について、米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスのSamantha Heller氏は、「全粒穀物には健康に良い、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどが含まれている。それに対して精製された穀物の食物繊維はわずかだ」と解説。そして、「精製穀物を過剰に摂取すると、健康に良い栄養素の少ないエネルギーを体に取り入れることになってしまう」と注意を促している。(HealthDay News 2021年2月4日).https://consumer.healthday.com/2-4-whole-wheat-better-for-you-than-white-bread-study-confirms-2650238535.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.