10代の若者を対象とした研究から、周辺の騒音が強いほど睡眠時間が短くなり、周辺に緑が多いほど睡眠時間が増えるという関連が明らかになった。また、同じく10代の若者を対象とした別の研究からは、睡眠時間が少ないことが認知機能の低下のリスクになる可能性が報告された。両論文とも、「Sleep」に1月28日掲載された。1つ目の論文は、米ペンシルベニア大学のStephanie Mayne氏らによるもの。研究対象は、グレード8~9(日本の中学2~3年に相当)の生徒110人。アクチグラフという睡眠・覚醒状態を記録できる機器を手首に巻いて14日間生活してもらい、睡眠時間を評価。また、自宅の住所の情報を基に、周辺の騒音レベル、樹木の多さ、道路の密集度、人口密度などを割り出し、対象者の睡眠時間との関係を検討した。.性別、学年、人種、親の教育歴、世帯収入、世帯規模、居住地域の貧困レベルなどで調整後、周辺の騒音が1標準偏差増加するごとに、入眠時刻が16分遅くなり(β=0.28、95%信頼区間0.06~0.49)、睡眠時間が8時間以上である確率が25%低下した(オッズ比0.75、同0.59~0.96)。一方、周辺の樹木が1標準偏差増加するごとに、入眠時刻は18分早くなり(β=-0.31、同-0.49~-0.13)、覚醒時刻は10分早くなった(β=-0.17、同-0.28~-0.05)。.Mayne氏は、米国立心肺血液研究所(NHLBI)のニュースリリースの中で、「思春期の子どもの睡眠不足は、認知機能の低下や反社会的行動への関与など、広範囲の問題につながる可能性がある。睡眠不足の予防と睡眠を妨げる要因への対策が重要だ。今回の知見は、騒音や緑地といった周辺環境が、介入の標的であることを示している」と語っている。.2つ目の論文は、米カリフォルニア大学デービス校のIan Campbell氏らによるもの。研究対象は9.9~16.2歳の77人(男性41人)で、全体を3群に分け、異なる就床時間(7、8.5、10時間)で睡眠してもらい、就床時間を変えた場合の睡眠時間への影響や、脳波の変化を評価した。.その結果、就床時間の変化に伴って睡眠時間も変動していた(就床時間7時間では平均睡眠時間406分、8.5時間では472分、10時間では530分)。就床時間を10時間から7時間に減らした場合、睡眠時間の減少幅は23%だった。しかし、記憶の統合や認知機能に重要なシグマ波と呼ばれる脳波の活動は、40%低下していた。.NHLBIのニュースリリースの中でCampbell氏は、「それほど極端とは言えない就床時間の制限によって、睡眠中の脳波に大きな変化が認められた。この結果は睡眠不足が、いかに10代の若者の認知機能を損なうリスクが高いかを示唆している。その影響の大きさに驚いている」と述べている。.米疾病対策センター(CDC)によると、米国の中学生の10人に6人、高校生の10人に7人が十分な睡眠をとっていないという。睡眠不足は将来の肥満や糖尿病などの慢性疾患のリスクを高める。また、うつや不安、思春期の危険行動との関連を示す報告もある。(HealthDay News 2021年2月3日).https://consumer.healthday.com/b-2-3-how-your-neighborhood-can-hamper-your-teens-sleep-2650167094.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
10代の若者を対象とした研究から、周辺の騒音が強いほど睡眠時間が短くなり、周辺に緑が多いほど睡眠時間が増えるという関連が明らかになった。また、同じく10代の若者を対象とした別の研究からは、睡眠時間が少ないことが認知機能の低下のリスクになる可能性が報告された。両論文とも、「Sleep」に1月28日掲載された。1つ目の論文は、米ペンシルベニア大学のStephanie Mayne氏らによるもの。研究対象は、グレード8~9(日本の中学2~3年に相当)の生徒110人。アクチグラフという睡眠・覚醒状態を記録できる機器を手首に巻いて14日間生活してもらい、睡眠時間を評価。また、自宅の住所の情報を基に、周辺の騒音レベル、樹木の多さ、道路の密集度、人口密度などを割り出し、対象者の睡眠時間との関係を検討した。.性別、学年、人種、親の教育歴、世帯収入、世帯規模、居住地域の貧困レベルなどで調整後、周辺の騒音が1標準偏差増加するごとに、入眠時刻が16分遅くなり(β=0.28、95%信頼区間0.06~0.49)、睡眠時間が8時間以上である確率が25%低下した(オッズ比0.75、同0.59~0.96)。一方、周辺の樹木が1標準偏差増加するごとに、入眠時刻は18分早くなり(β=-0.31、同-0.49~-0.13)、覚醒時刻は10分早くなった(β=-0.17、同-0.28~-0.05)。.Mayne氏は、米国立心肺血液研究所(NHLBI)のニュースリリースの中で、「思春期の子どもの睡眠不足は、認知機能の低下や反社会的行動への関与など、広範囲の問題につながる可能性がある。睡眠不足の予防と睡眠を妨げる要因への対策が重要だ。今回の知見は、騒音や緑地といった周辺環境が、介入の標的であることを示している」と語っている。.2つ目の論文は、米カリフォルニア大学デービス校のIan Campbell氏らによるもの。研究対象は9.9~16.2歳の77人(男性41人)で、全体を3群に分け、異なる就床時間(7、8.5、10時間)で睡眠してもらい、就床時間を変えた場合の睡眠時間への影響や、脳波の変化を評価した。.その結果、就床時間の変化に伴って睡眠時間も変動していた(就床時間7時間では平均睡眠時間406分、8.5時間では472分、10時間では530分)。就床時間を10時間から7時間に減らした場合、睡眠時間の減少幅は23%だった。しかし、記憶の統合や認知機能に重要なシグマ波と呼ばれる脳波の活動は、40%低下していた。.NHLBIのニュースリリースの中でCampbell氏は、「それほど極端とは言えない就床時間の制限によって、睡眠中の脳波に大きな変化が認められた。この結果は睡眠不足が、いかに10代の若者の認知機能を損なうリスクが高いかを示唆している。その影響の大きさに驚いている」と述べている。.米疾病対策センター(CDC)によると、米国の中学生の10人に6人、高校生の10人に7人が十分な睡眠をとっていないという。睡眠不足は将来の肥満や糖尿病などの慢性疾患のリスクを高める。また、うつや不安、思春期の危険行動との関連を示す報告もある。(HealthDay News 2021年2月3日).https://consumer.healthday.com/b-2-3-how-your-neighborhood-can-hamper-your-teens-sleep-2650167094.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.