新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患したことがある人のワクチン接種は、1回だけで十分な可能性を示す2件の小規模研究の結果が報告された。これらの人では、追加免疫(ブースター)を目的とした2回目のワクチン接種後に見られるようなレベルの免疫反応が、1回の接種後に得られたという。これら2件の研究結果は、査読前の論文が公開されるプレプリントサーバーである「medRxiv」(2月1日、2月5日)に掲載された。1件目の研究は、米マウントサイナイ医科大学のViviana Simon氏らによるもの。研究グループは、感染により獲得した抗体の持続期間や再感染の有無を調べるために、COVID-19に罹患した医療従事者を対象に追跡調査していた。その後、2020年12月に新型コロナウイルスワクチン接種が開始されたため、同グループは感染歴のある人におけるワクチン接種の効果についても調べることにした。.その結果、感染歴のある41人の対象者の大半は、1回のワクチン接種後に、感染歴のない68人の対象者と比べて、10〜20倍の新型コロナウイルスに対する抗体価を示した。また、その抗体価は、ワクチンを2回接種した感染歴のない人の抗体価中央値の10倍以上に達していたことも明らかになった。さらに、感染歴はあるが無症状だった人や、ワクチン接種前の抗体価が低かった人でも、1回のワクチン接種後に強力な免疫反応が得られたという。.この結果についてSimon氏は、「自然感染が、初回のワクチン接種と同様の免疫をもたらし、初回のワクチン接種が追加免疫のような働きをしていると考えれば、この結果には納得できる」と主張。「この研究結果を踏まえ、新型コロナウイルスの感染歴がある人には2回目のワクチン接種は不要であるとの結論に至った。それによってワクチンを節約でき、ワクチン接種に伴う不快な症状を経験する人たちを減らすことができる」と話す。.2件目の研究は、米メリーランド大学のグループが実施したもので、1件目の研究と同様の結果が得られた。すなわち、感染歴のない26人と感染歴のある33人を対象に、1回目のワクチン接種後の抗体反応を比較したところ、感染歴のある人の方がより高い抗体価を示した。.これら2件の研究結果を受けて、米ジョンズ・ホプキンス大学健康安全保障センターのAmesh Adalja氏は、「新型コロナウイルスの感染歴がある人は、2回接種レジメンのワクチンでも、1回の接種で十分な免疫を獲得できる可能性がある」と話す。その一方で、「今回報告された小規模研究の結果は、今後より大規模な臨床試験で検証する必要がある」との見解を示している。.米メイヨー・クリニックのCOVIDタスクフォースを率いるAndrew Badley氏も、Adalja氏と同意見だ。Badley氏は、「COVID-19から回復した人たちには、ワクチンの接種回数を1回に減らし、ワクチンの供給を保持するというコンセプトは極めて妥当なアイディアだ」と話している。.一方、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)所長のAnthony Fauci氏は、「新型コロナウイルスの感染歴がある人へのワクチン接種を1回とする方策を導入する前に、これらの研究論文の査読が行われ、さらなる研究で結果を検証する必要がある」と慎重な見解を示している。(HealthDay News 2021年2月11日).https://consumer.healthday.com/2-10-maybe-1-dose-of-vaccine-is-enough-if-youve-already-had-covid-2650296052.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患したことがある人のワクチン接種は、1回だけで十分な可能性を示す2件の小規模研究の結果が報告された。これらの人では、追加免疫(ブースター)を目的とした2回目のワクチン接種後に見られるようなレベルの免疫反応が、1回の接種後に得られたという。これら2件の研究結果は、査読前の論文が公開されるプレプリントサーバーである「medRxiv」(2月1日、2月5日)に掲載された。1件目の研究は、米マウントサイナイ医科大学のViviana Simon氏らによるもの。研究グループは、感染により獲得した抗体の持続期間や再感染の有無を調べるために、COVID-19に罹患した医療従事者を対象に追跡調査していた。その後、2020年12月に新型コロナウイルスワクチン接種が開始されたため、同グループは感染歴のある人におけるワクチン接種の効果についても調べることにした。.その結果、感染歴のある41人の対象者の大半は、1回のワクチン接種後に、感染歴のない68人の対象者と比べて、10〜20倍の新型コロナウイルスに対する抗体価を示した。また、その抗体価は、ワクチンを2回接種した感染歴のない人の抗体価中央値の10倍以上に達していたことも明らかになった。さらに、感染歴はあるが無症状だった人や、ワクチン接種前の抗体価が低かった人でも、1回のワクチン接種後に強力な免疫反応が得られたという。.この結果についてSimon氏は、「自然感染が、初回のワクチン接種と同様の免疫をもたらし、初回のワクチン接種が追加免疫のような働きをしていると考えれば、この結果には納得できる」と主張。「この研究結果を踏まえ、新型コロナウイルスの感染歴がある人には2回目のワクチン接種は不要であるとの結論に至った。それによってワクチンを節約でき、ワクチン接種に伴う不快な症状を経験する人たちを減らすことができる」と話す。.2件目の研究は、米メリーランド大学のグループが実施したもので、1件目の研究と同様の結果が得られた。すなわち、感染歴のない26人と感染歴のある33人を対象に、1回目のワクチン接種後の抗体反応を比較したところ、感染歴のある人の方がより高い抗体価を示した。.これら2件の研究結果を受けて、米ジョンズ・ホプキンス大学健康安全保障センターのAmesh Adalja氏は、「新型コロナウイルスの感染歴がある人は、2回接種レジメンのワクチンでも、1回の接種で十分な免疫を獲得できる可能性がある」と話す。その一方で、「今回報告された小規模研究の結果は、今後より大規模な臨床試験で検証する必要がある」との見解を示している。.米メイヨー・クリニックのCOVIDタスクフォースを率いるAndrew Badley氏も、Adalja氏と同意見だ。Badley氏は、「COVID-19から回復した人たちには、ワクチンの接種回数を1回に減らし、ワクチンの供給を保持するというコンセプトは極めて妥当なアイディアだ」と話している。.一方、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)所長のAnthony Fauci氏は、「新型コロナウイルスの感染歴がある人へのワクチン接種を1回とする方策を導入する前に、これらの研究論文の査読が行われ、さらなる研究で結果を検証する必要がある」と慎重な見解を示している。(HealthDay News 2021年2月11日).https://consumer.healthday.com/2-10-maybe-1-dose-of-vaccine-is-enough-if-youve-already-had-covid-2650296052.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.