認知症や心臓病、がんから身を守りたいのなら、肉汁たっぷりのステーキからではなく、植物性食品からタンパク質を取るべきかもしれない。新たな研究から、植物性タンパク質の摂取量が多い高齢女性は、認知症関連死のリスクが21%、心血管死のリスクが12%低いことが示された。さらに全死亡(あらゆる原因による死亡)のリスクも9%低いことが分かった。この研究の詳細は、「Journal of the American Heart Association」に2月24日掲載された。論文の上席著者である米アイオワ大学のWei Bao氏は、「タンパク質なら何でも同じというわけではなく、食材選びが重要である」と述べている。.同氏によると、米国連邦政府の食事ガイドラインは、人々が摂取すべきタンパク質の総量に関しては推奨値を示しているが、そのタンパク源については明確にしていないという。同氏は、「タンパク源を明示しない推奨は、シンプル過ぎて不十分ではないか。われわれの研究結果は、今後発行される食事ガイドラインではタンパク源の違いについて触れるべきであることを示している」と語っている。.Bao氏らはこの研究に、閉経後女性の健康状態を長期間追跡調査している「Women's Health Initiative(女性の健康イニシアチブ)」のデータを用いた。1993~1998年に登録された10万2,521人を2017年2月まで追跡。参加登録時に行った食事調査から、植物性タンパク質の摂取量で五分位に分け、死亡リスクとの関連を検討した。.その結果、第5五分位群(植物性タンパク質の摂取量の多い上位5分の1)は第1五分位群(下位5分の1)に比べ、全死亡〔ハザード比(HR)0.91、95%信頼区間0.86~0.96〕、心血管死(HR0.88、同0.79~0.97)、認知症関連死(HR0.79、同0.67~0.94)のリスクが有意に低いことが分かった。.一方、動物性タンパク質について見ると、加工赤肉(HR1.06、同1.01~1.10)や卵(HR1.14、同1.10~1.19)の摂取量が多いことは、全死亡のリスクが高いことと関連していた。また、未加工の赤肉(HR1.12、同1.02~1.23)、卵(HR1.24、同1.14~1.34)、乳製品(HR1.11、同1.02~1.22)の摂取量の多さは、心血管疾患死のリスクが高いことと関連していた。卵の摂取量の多さは、がん死のリスクの高さとも関連していた(HR1.10、同1.02~1.19)。.認知症関連死については、加工赤肉摂取量の多さがリスク上昇(HR1.20、同1.05~1.32)と関連していたのに対して、家禽(HR0.85、同0.75~0.97)や卵(HR0.86、同0.75~0.98)の摂取量の多さは、リスク低下と関連していた。.この結果について、本研究には関与していない米ペンシルベニア州立大学のPenny Kris-Etherton氏は、「動物性タンパク質の摂取量が多い人の認知症関連死のリスクが高い理由は明らかではないが、そのような人は肥満で血圧や血糖値が高い傾向にある。そして、高血圧や糖尿病は、認知症発症のリスク因子である」と解説する。.またKris-Etherton氏によると、「この研究は女性に焦点を当てているが、他の研究からは、植物性食品ベースの食事のメリットが男性でも認められる」という。ただし同氏は「注意すべきことがある」とし、「フライドポテトを食べながら加糖飲料を飲むような食事スタイルは、体に良い植物性食品ベースの食事とは言えない」と述べている。加えて、植物性食品を使ってはいるが、油脂などで手が加えられた超加工食品の摂取も、なるべく控えるようにアドバイスしている。(HealthDay News 2021年2月24日).https://consumer.healthday.com/2-24-switch-to-plant-based-diet-could-help-save-older-womens-brains-2650625448.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
認知症や心臓病、がんから身を守りたいのなら、肉汁たっぷりのステーキからではなく、植物性食品からタンパク質を取るべきかもしれない。新たな研究から、植物性タンパク質の摂取量が多い高齢女性は、認知症関連死のリスクが21%、心血管死のリスクが12%低いことが示された。さらに全死亡(あらゆる原因による死亡)のリスクも9%低いことが分かった。この研究の詳細は、「Journal of the American Heart Association」に2月24日掲載された。論文の上席著者である米アイオワ大学のWei Bao氏は、「タンパク質なら何でも同じというわけではなく、食材選びが重要である」と述べている。.同氏によると、米国連邦政府の食事ガイドラインは、人々が摂取すべきタンパク質の総量に関しては推奨値を示しているが、そのタンパク源については明確にしていないという。同氏は、「タンパク源を明示しない推奨は、シンプル過ぎて不十分ではないか。われわれの研究結果は、今後発行される食事ガイドラインではタンパク源の違いについて触れるべきであることを示している」と語っている。.Bao氏らはこの研究に、閉経後女性の健康状態を長期間追跡調査している「Women's Health Initiative(女性の健康イニシアチブ)」のデータを用いた。1993~1998年に登録された10万2,521人を2017年2月まで追跡。参加登録時に行った食事調査から、植物性タンパク質の摂取量で五分位に分け、死亡リスクとの関連を検討した。.その結果、第5五分位群(植物性タンパク質の摂取量の多い上位5分の1)は第1五分位群(下位5分の1)に比べ、全死亡〔ハザード比(HR)0.91、95%信頼区間0.86~0.96〕、心血管死(HR0.88、同0.79~0.97)、認知症関連死(HR0.79、同0.67~0.94)のリスクが有意に低いことが分かった。.一方、動物性タンパク質について見ると、加工赤肉(HR1.06、同1.01~1.10)や卵(HR1.14、同1.10~1.19)の摂取量が多いことは、全死亡のリスクが高いことと関連していた。また、未加工の赤肉(HR1.12、同1.02~1.23)、卵(HR1.24、同1.14~1.34)、乳製品(HR1.11、同1.02~1.22)の摂取量の多さは、心血管疾患死のリスクが高いことと関連していた。卵の摂取量の多さは、がん死のリスクの高さとも関連していた(HR1.10、同1.02~1.19)。.認知症関連死については、加工赤肉摂取量の多さがリスク上昇(HR1.20、同1.05~1.32)と関連していたのに対して、家禽(HR0.85、同0.75~0.97)や卵(HR0.86、同0.75~0.98)の摂取量の多さは、リスク低下と関連していた。.この結果について、本研究には関与していない米ペンシルベニア州立大学のPenny Kris-Etherton氏は、「動物性タンパク質の摂取量が多い人の認知症関連死のリスクが高い理由は明らかではないが、そのような人は肥満で血圧や血糖値が高い傾向にある。そして、高血圧や糖尿病は、認知症発症のリスク因子である」と解説する。.またKris-Etherton氏によると、「この研究は女性に焦点を当てているが、他の研究からは、植物性食品ベースの食事のメリットが男性でも認められる」という。ただし同氏は「注意すべきことがある」とし、「フライドポテトを食べながら加糖飲料を飲むような食事スタイルは、体に良い植物性食品ベースの食事とは言えない」と述べている。加えて、植物性食品を使ってはいるが、油脂などで手が加えられた超加工食品の摂取も、なるべく控えるようにアドバイスしている。(HealthDay News 2021年2月24日).https://consumer.healthday.com/2-24-switch-to-plant-based-diet-could-help-save-older-womens-brains-2650625448.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.