炎症を促進する食品を多く摂取する食習慣は、冠動脈性心疾患(CHD)や脳卒中などの心血管疾患(CVD)の発症リスク上昇に関与していることが、「Journal of the American College of Cardiology」11月10日号に掲載された論文で明らかにされた。.米ハーバード大学公衆衛生大学院のJun Li氏らは、炎症を促進する食事がCVDリスクの上昇に関与しているかどうかを調べる前向き研究を実施した。ベースライン時にCVDおよびがんに罹患していないことなどを選択条件とし、それぞれコホート研究であるNurses' Health Study(NHS;1984~2016年)の女性看護師7万4,578人、NHS Ⅱ(1991~2015年)の女性看護師9万1,656人、およびHealth Professionals Follow-up Study(1986~2016年)の男性医療従事者4万3,911人を対象とした。食事の内容は、食物摂取頻度調査票を用いて4年ごとに調査した。著者らは、先行研究で、NHSの参加者5,230人を対象に血液中の炎症バイオマーカー(CRP、インターロイキン6、TNFα-R2)のデータと摂取食品群との関連を線形回帰により検討し、関連が強かった18食品群を抽出した。これらの食品群に重み付けすることにより、食事の炎症促進性をempirical dietary inflammatory pattern(EDIP)のスコアで表現し、EDIPスコアが高いと食事の炎症促進性が高いことを意味するものとした。このEDIPスコアを用いて、食事の炎症促進性を評価した。コホートごとにCox回帰を行い、その結果を固定効果メタアナリシスにより統合した。.その結果、529万1,518人年の追跡調査期間中に報告されたCVDの症例は1万5,837件(CHD 9,794件、脳卒中6,174件)であった。EDIPスコアで5群に分け、抗炎症薬の使用やBMIなどCVDのリスク因子を調整したところ、最低五分位群を1とした場合の最高五分位群のCVDのハザード比は1.38(95%信頼区間1.31~1.46)で、5群間の傾向は有意であった(P for trend<0.001)。同様にCHD(同1.46、1.36~1.56、P for trend<0.001)および脳卒中(同1.28、1.17~1.39、P for trend<0.001)についても有意な結果が得られた。これらの関連は、コホート間および男女間で一貫しており、またDietary Approaches to Stop Hypertension(DASH)などの食事に関するスコアを調整しても関連は維持された。血中の炎症バイオマーカーとEDIPとの関連を解析できた対象者は3万3,719例であった(外れ値、重複値、食事データの欠測、血液検査でCVDまたはがんに罹患していることが判明した対象者は除外)。EDIPスコアと高感度CRP、インターロイキン6、TNFα-R2との間には有意な正の相関(P for trend<0.001)、アディポネクチンとの間には有意な負の相関が認められた(P for trend<0.001)。また、EDIPスコアが高くなると血漿トリグリセリドが高くなり、HDLコレステロールは低くなる(P<0.001)など、脂質についても好ましくない結果をもたらしていた。.共著者は、「炎症を促進する食品の摂取を減らすことが、CVDを予防するための効果的な方法となり得る」と述べている。.なお、一名の著者が、California Walnut Commissionとの利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(Healthday News 2020年11月3日).https://consumer.healthday.com/diets-high-in-infla….Abstract/Full Text.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
炎症を促進する食品を多く摂取する食習慣は、冠動脈性心疾患(CHD)や脳卒中などの心血管疾患(CVD)の発症リスク上昇に関与していることが、「Journal of the American College of Cardiology」11月10日号に掲載された論文で明らかにされた。.米ハーバード大学公衆衛生大学院のJun Li氏らは、炎症を促進する食事がCVDリスクの上昇に関与しているかどうかを調べる前向き研究を実施した。ベースライン時にCVDおよびがんに罹患していないことなどを選択条件とし、それぞれコホート研究であるNurses' Health Study(NHS;1984~2016年)の女性看護師7万4,578人、NHS Ⅱ(1991~2015年)の女性看護師9万1,656人、およびHealth Professionals Follow-up Study(1986~2016年)の男性医療従事者4万3,911人を対象とした。食事の内容は、食物摂取頻度調査票を用いて4年ごとに調査した。著者らは、先行研究で、NHSの参加者5,230人を対象に血液中の炎症バイオマーカー(CRP、インターロイキン6、TNFα-R2)のデータと摂取食品群との関連を線形回帰により検討し、関連が強かった18食品群を抽出した。これらの食品群に重み付けすることにより、食事の炎症促進性をempirical dietary inflammatory pattern(EDIP)のスコアで表現し、EDIPスコアが高いと食事の炎症促進性が高いことを意味するものとした。このEDIPスコアを用いて、食事の炎症促進性を評価した。コホートごとにCox回帰を行い、その結果を固定効果メタアナリシスにより統合した。.その結果、529万1,518人年の追跡調査期間中に報告されたCVDの症例は1万5,837件(CHD 9,794件、脳卒中6,174件)であった。EDIPスコアで5群に分け、抗炎症薬の使用やBMIなどCVDのリスク因子を調整したところ、最低五分位群を1とした場合の最高五分位群のCVDのハザード比は1.38(95%信頼区間1.31~1.46)で、5群間の傾向は有意であった(P for trend<0.001)。同様にCHD(同1.46、1.36~1.56、P for trend<0.001)および脳卒中(同1.28、1.17~1.39、P for trend<0.001)についても有意な結果が得られた。これらの関連は、コホート間および男女間で一貫しており、またDietary Approaches to Stop Hypertension(DASH)などの食事に関するスコアを調整しても関連は維持された。血中の炎症バイオマーカーとEDIPとの関連を解析できた対象者は3万3,719例であった(外れ値、重複値、食事データの欠測、血液検査でCVDまたはがんに罹患していることが判明した対象者は除外)。EDIPスコアと高感度CRP、インターロイキン6、TNFα-R2との間には有意な正の相関(P for trend<0.001)、アディポネクチンとの間には有意な負の相関が認められた(P for trend<0.001)。また、EDIPスコアが高くなると血漿トリグリセリドが高くなり、HDLコレステロールは低くなる(P<0.001)など、脂質についても好ましくない結果をもたらしていた。.共著者は、「炎症を促進する食品の摂取を減らすことが、CVDを予防するための効果的な方法となり得る」と述べている。.なお、一名の著者が、California Walnut Commissionとの利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(Healthday News 2020年11月3日).https://consumer.healthday.com/diets-high-in-infla….Abstract/Full Text.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.