一般的に夜間血圧は日中血圧より低くなるが、夜間血圧が日中血圧より高い概日リズム障害および夜間の収縮期血圧の上昇が認められると、脳卒中、冠動脈疾患および心不全のリスクが上昇する恐れがあることが、「Circulation」11月10日号に掲載された論文で明らかにされた。.自治医科大学の苅尾七臣氏らは、高血圧患者などを対象に、夜間高血圧および夜間の血圧降下パターンが、心血管イベントや心不全の発生とどう関連するかを検討する多施設共同前向き観察研究JAMP study(Japan Ambulatory Blood Pressure Monitoring Prospective)を実施した。少なくとも1つの心血管リスク因子(高血圧、現喫煙者など)が認められ、かつベースラインの時点で症候性心血管疾患のない患者を対象とした。全対象者に対し、ベースラインの時点で24時間自由行動下血圧測定(30分間隔で測定)を行った。その後、年1回追跡調査を行い、主要評価項目であるアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD;脳卒中と冠動脈疾患)および心不全の発生について調べた。.最終的に解析対象となったのは6,359例(平均年齢68.6±11.7歳、男性47.6%)で、追跡調査期間中(平均追跡調査期間4.5±2.4年)に発生した心血管イベントは306件(脳卒中119件、冠動脈疾患99件、心不全88件)であった。Cox比例ハザードモデルによって人口統計学的および臨床的リスク因子を調整して解析したところ、夜間の収縮期血圧が20mm Hg上昇した場合のハザード比(HR)は、ASCVDで1.18〔95%信頼区間(CI)1.02~1.37、P=0.029〕、心不全で1.25(同1.00~1.55、P=0.048)と、いずれも有意であった。また、夜間血圧が日中血圧と比較して10~20%低いタイプを1とした場合、夜間血圧が日中血圧より高いタイプでは、ASCVDと心不全を合わせた心血管疾患全体のHRが1.48(95%CI 1.05~2.08、P=0.024)と有意に高く、特に心不全のリスクは明らかに高かった(同2.45、1.34~4.48、P=0.004)。.著者は、「今回の結果から、夜間の収縮期血圧が心血管イベントの独立予測因子であることが判明した。したがって、夜間血圧のモニタリングは、高血圧患者の管理において重要であると考えられる。また、治療に当たる医師は、降圧薬が昼夜を問わず血圧を下げる効果を発揮していることを確認していただきたい」と述べている。.なお、一名の著者が、ある医療機器企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(Healthday News 2020年11月3日).https://consumer.healthday.com/nighttime-bp-circad….Abstract/Full Text.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.
一般的に夜間血圧は日中血圧より低くなるが、夜間血圧が日中血圧より高い概日リズム障害および夜間の収縮期血圧の上昇が認められると、脳卒中、冠動脈疾患および心不全のリスクが上昇する恐れがあることが、「Circulation」11月10日号に掲載された論文で明らかにされた。.自治医科大学の苅尾七臣氏らは、高血圧患者などを対象に、夜間高血圧および夜間の血圧降下パターンが、心血管イベントや心不全の発生とどう関連するかを検討する多施設共同前向き観察研究JAMP study(Japan Ambulatory Blood Pressure Monitoring Prospective)を実施した。少なくとも1つの心血管リスク因子(高血圧、現喫煙者など)が認められ、かつベースラインの時点で症候性心血管疾患のない患者を対象とした。全対象者に対し、ベースラインの時点で24時間自由行動下血圧測定(30分間隔で測定)を行った。その後、年1回追跡調査を行い、主要評価項目であるアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD;脳卒中と冠動脈疾患)および心不全の発生について調べた。.最終的に解析対象となったのは6,359例(平均年齢68.6±11.7歳、男性47.6%)で、追跡調査期間中(平均追跡調査期間4.5±2.4年)に発生した心血管イベントは306件(脳卒中119件、冠動脈疾患99件、心不全88件)であった。Cox比例ハザードモデルによって人口統計学的および臨床的リスク因子を調整して解析したところ、夜間の収縮期血圧が20mm Hg上昇した場合のハザード比(HR)は、ASCVDで1.18〔95%信頼区間(CI)1.02~1.37、P=0.029〕、心不全で1.25(同1.00~1.55、P=0.048)と、いずれも有意であった。また、夜間血圧が日中血圧と比較して10~20%低いタイプを1とした場合、夜間血圧が日中血圧より高いタイプでは、ASCVDと心不全を合わせた心血管疾患全体のHRが1.48(95%CI 1.05~2.08、P=0.024)と有意に高く、特に心不全のリスクは明らかに高かった(同2.45、1.34~4.48、P=0.004)。.著者は、「今回の結果から、夜間の収縮期血圧が心血管イベントの独立予測因子であることが判明した。したがって、夜間血圧のモニタリングは、高血圧患者の管理において重要であると考えられる。また、治療に当たる医師は、降圧薬が昼夜を問わず血圧を下げる効果を発揮していることを確認していただきたい」と述べている。.なお、一名の著者が、ある医療機器企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(Healthday News 2020年11月3日).https://consumer.healthday.com/nighttime-bp-circad….Abstract/Full Text.Copyright © 2020 HealthDay. All rights reserved.