新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響により、学校での対面授業ではなくオンライン授業を受けている子どもとその親は、精神的、感情的、身体的な健康状態が悪化している可能性があるとする研究結果が、「Morbidity and Mortality Weekly Report」3月19日号に報告された。.新型コロナウイルス感染拡大のスピードを抑えるために、米国では2020年3月に多くの学校が閉鎖され、授業がオンライン化された。しかし、このような授業形式の変更は、子どもと親に心理社会的ストレスを課し、それがメンタルヘルスやウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること)の悪化を招く恐れのあることや、教育格差や健康格差を広げる可能性のあることが指摘されている。.こうした中、米疾病対策センター(CDC)のJorge V. Verlenden氏らは、COVID Experiences Survey(CovEx)のデータを使用して、学校の授業形式の違いが、子どもと親の状況やウェルビーイングに与える影響について検討した。CovExは、米シカゴ大の世論調査期間(NORC)がCDCとの協力のもと、5〜12歳の子どもを持つ親(1,561人)を対象に、2020年10月8日〜11月13日に実施した調査である。COVID-19が子どもと親の健康やウェルビーイングに与えた影響について、全17項目の指標を用いて評価した。指標の内訳は、子どもの場合は身体活動や友人と過ごす時間など状況に関わる4項目と身体的健康や抑うつ、不安などウェルビーイングに関わる5項目、親の場合は失業や職の安定性に対する不安、物質使用などの状況に関わる5項目と精神的苦痛や不眠などのウェルビーイングに関わる3項目である。.最終的に1,290人の親が解析に組み入れられた。対象者の子どもの92.9%は公立学校に、7.1%は私立学校に通っており、45.7%がオンライン、30.9%が対面、23.4%がオンラインと対面の併用で授業を受けていた。.17項目の指標のうち11項目について、オンライン、またはオンラインと対面の併用で授業を受けていた子どもの親の方が、対面で授業を受けていた子どもの親よりも、悪化を報告した親の割合が高かった。すなわち、オンラインで授業を受けた子どもは対面で授業を受けた子どもに比べて、身体活動量(62.9%対30.3%)、外で過ごす時間(58.0%対27.4%)、友人と対面で遊ぶ時間(86.2%対69.5%)、友人とオンラインで遊ぶ時間(24.3%対12.6%)のそれぞれの減少のほか、精神面または感情面の健康の悪化(24.9%対15.9%)がより多く報告されていた。.また、オンラインで授業を受けていた子どもの親は、対面で授業を受けていた子どもの親に比べて、失業者が多く(42.7%対30.6%)、仕事の安定性に対する不安(26.6%対15.2%)、育児に関わる困難(13.5%対6.8%)、育児と仕事の間の葛藤(14.6%対8.3%)、精神的苦痛(54.0%対38.4%)、および睡眠障害や不眠(21.6%対12.9%)を有している人が多かった。.一方、オンラインと対面の併用で授業を受けている子どもの親は、対面で授業を受けている子どもの親と比べて、失業者と(40.1%対30.6%)、仕事と育児の間の葛藤(14.2%対8.3%)を抱いている人が多かった。.Verlenden氏らは、「オンライン授業、またはオンラインと対面の併用で授業を受けている子どもとその親には、社会的サービスやメンタルヘルスサービス、安全な身体活動を行う機会など、COVID-19パンデミックによる影響を軽減するための追加のサポートが必要かもしれない。この調査結果は、子どもの身体面および精神面でのウェルビーイングと、親の感情的ウェルビーイングを保つためには、対面授業の実施が重要であることを明示するものだ」と述べている。(HealthDay News 2021年3月18日).https://consumer.healthday.com/parent-child-well-being-schooling-link-explored-during-covid-19-2651129168.html.Abstract/Full Text.https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7011a1.htm?s_cid=mm7011a1_w.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響により、学校での対面授業ではなくオンライン授業を受けている子どもとその親は、精神的、感情的、身体的な健康状態が悪化している可能性があるとする研究結果が、「Morbidity and Mortality Weekly Report」3月19日号に報告された。.新型コロナウイルス感染拡大のスピードを抑えるために、米国では2020年3月に多くの学校が閉鎖され、授業がオンライン化された。しかし、このような授業形式の変更は、子どもと親に心理社会的ストレスを課し、それがメンタルヘルスやウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること)の悪化を招く恐れのあることや、教育格差や健康格差を広げる可能性のあることが指摘されている。.こうした中、米疾病対策センター(CDC)のJorge V. Verlenden氏らは、COVID Experiences Survey(CovEx)のデータを使用して、学校の授業形式の違いが、子どもと親の状況やウェルビーイングに与える影響について検討した。CovExは、米シカゴ大の世論調査期間(NORC)がCDCとの協力のもと、5〜12歳の子どもを持つ親(1,561人)を対象に、2020年10月8日〜11月13日に実施した調査である。COVID-19が子どもと親の健康やウェルビーイングに与えた影響について、全17項目の指標を用いて評価した。指標の内訳は、子どもの場合は身体活動や友人と過ごす時間など状況に関わる4項目と身体的健康や抑うつ、不安などウェルビーイングに関わる5項目、親の場合は失業や職の安定性に対する不安、物質使用などの状況に関わる5項目と精神的苦痛や不眠などのウェルビーイングに関わる3項目である。.最終的に1,290人の親が解析に組み入れられた。対象者の子どもの92.9%は公立学校に、7.1%は私立学校に通っており、45.7%がオンライン、30.9%が対面、23.4%がオンラインと対面の併用で授業を受けていた。.17項目の指標のうち11項目について、オンライン、またはオンラインと対面の併用で授業を受けていた子どもの親の方が、対面で授業を受けていた子どもの親よりも、悪化を報告した親の割合が高かった。すなわち、オンラインで授業を受けた子どもは対面で授業を受けた子どもに比べて、身体活動量(62.9%対30.3%)、外で過ごす時間(58.0%対27.4%)、友人と対面で遊ぶ時間(86.2%対69.5%)、友人とオンラインで遊ぶ時間(24.3%対12.6%)のそれぞれの減少のほか、精神面または感情面の健康の悪化(24.9%対15.9%)がより多く報告されていた。.また、オンラインで授業を受けていた子どもの親は、対面で授業を受けていた子どもの親に比べて、失業者が多く(42.7%対30.6%)、仕事の安定性に対する不安(26.6%対15.2%)、育児に関わる困難(13.5%対6.8%)、育児と仕事の間の葛藤(14.6%対8.3%)、精神的苦痛(54.0%対38.4%)、および睡眠障害や不眠(21.6%対12.9%)を有している人が多かった。.一方、オンラインと対面の併用で授業を受けている子どもの親は、対面で授業を受けている子どもの親と比べて、失業者と(40.1%対30.6%)、仕事と育児の間の葛藤(14.2%対8.3%)を抱いている人が多かった。.Verlenden氏らは、「オンライン授業、またはオンラインと対面の併用で授業を受けている子どもとその親には、社会的サービスやメンタルヘルスサービス、安全な身体活動を行う機会など、COVID-19パンデミックによる影響を軽減するための追加のサポートが必要かもしれない。この調査結果は、子どもの身体面および精神面でのウェルビーイングと、親の感情的ウェルビーイングを保つためには、対面授業の実施が重要であることを明示するものだ」と述べている。(HealthDay News 2021年3月18日).https://consumer.healthday.com/parent-child-well-being-schooling-link-explored-during-covid-19-2651129168.html.Abstract/Full Text.https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7011a1.htm?s_cid=mm7011a1_w.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.