新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中に妊娠している女性や母乳育児をしている女性にとって、心強い研究結果が報告された。妊娠中や授乳中の女性は、新型コロナウイルスワクチン接種後に強い免疫応答を示し、その免疫は子にも移行する可能性のあることが、米マサチューセッツ総合病院(MGH)のAndrea Edlow氏らの研究で明らかになった。研究結果の詳細は、「American Journal of Obstetrics and Gynecology」に3月25日掲載された。.この研究は、ファイザー社製またはモデルナ社製の新型コロナウイルスmRNAワクチンを接種した、妊娠と出産が可能な年齢の女性131人を対象としたもの。対象者のうち、84人が妊娠中(妊娠群)、31人が母乳育児中(母乳育児群)、16人がそのどちらでもなかった(非妊娠群)。新型コロナウイルスのスパイクタンパク質やその受容体結合ドメイン(RBD)に対するIgG、IgA、IgM抗体価を、試験開始時と2回目のワクチン接種時、2回目のワクチン接種後2〜6週間後、出産時に、血清(131人)と母乳(31人)で測定。また、出産時に臍帯血(10人)でも測定した。その上で、妊娠中に新型コロナウイルスに感染した女性(感染群)37人の感染後4〜12週間目の抗体価と比較した。.その結果、抗体価には、妊娠群(中央値で5.59)、母乳育児群(同5.74)、非妊娠群(5.62)の間で有意差は見られなかった(P=0.24)。また、これらの抗体価は、感染群の抗体価よりも有意に高かった(P<0.0001)。さらに、ワクチン接種によって作られた抗体は、被験者から採取した臍帯血や母乳中にも検出され、抗体が母親から乳児に移行することが示された。.Edlow氏は、「新型コロナウイルスワクチンの優れた効果を示すこの結果は、初回のワクチンの臨床試験で対象外とされた妊娠中や母乳育児中の女性にとって大きな励みとなるものだ」と述べている。その上で、「特にCOVID-19による合併症リスクの高い妊娠中の患者にとっては、情報の欠如している部分を実データで埋めることが重要だ」と付け加えている。.研究論文の共著者の1人であるMGHラゴン研究所のGalit Alter氏は、「この研究により、新型コロナウイルスワクチンの接種により、乳児を保護する免疫を誘導できるという明確なエビデンスが得られた」と話す。そして、「この研究がきっかけとなって、ワクチン開発者が妊娠中や母乳育児中の人も臨床試験の対象に含めることの重要性を認識し、対象を拡大した研究を実施するようになることを期待している」と述べている。また、「ワクチンの合理的なデザインによって母体と乳児のアウトカムを向上させる可能性は無限にある。開発者は、妊娠中の免疫状態は通常とは異なるものであり、強力なワクチンで母子双方の命を救えることを認識しなくてはならない」と指摘している。.この研究ではさらに、ファイザー社製ワクチンに比べて、モデルナ社製ワクチンでは、2回接種後には、主に粘膜で病原体への感染を防ぐIgA抗体価が高いことが判明した。論文の筆頭著者で、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院の産科医Kathryn Gray氏は、「新型コロナウイルスは鼻、口、目などの粘膜面を通して感染するため、この知見はあらゆる人にとって重要である。とりわけ妊娠中および授乳中の女性にとっては、IgA抗体は母乳中に含まれる主要な抗体であるため特に重要だ」と述べている。(HealthDay News 2021年3月25日).https://consumer.healthday.com/b-3-25-pregnant-women-pass-on-covid-vaccine-protection-to-newborns-2651184052.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック中に妊娠している女性や母乳育児をしている女性にとって、心強い研究結果が報告された。妊娠中や授乳中の女性は、新型コロナウイルスワクチン接種後に強い免疫応答を示し、その免疫は子にも移行する可能性のあることが、米マサチューセッツ総合病院(MGH)のAndrea Edlow氏らの研究で明らかになった。研究結果の詳細は、「American Journal of Obstetrics and Gynecology」に3月25日掲載された。.この研究は、ファイザー社製またはモデルナ社製の新型コロナウイルスmRNAワクチンを接種した、妊娠と出産が可能な年齢の女性131人を対象としたもの。対象者のうち、84人が妊娠中(妊娠群)、31人が母乳育児中(母乳育児群)、16人がそのどちらでもなかった(非妊娠群)。新型コロナウイルスのスパイクタンパク質やその受容体結合ドメイン(RBD)に対するIgG、IgA、IgM抗体価を、試験開始時と2回目のワクチン接種時、2回目のワクチン接種後2〜6週間後、出産時に、血清(131人)と母乳(31人)で測定。また、出産時に臍帯血(10人)でも測定した。その上で、妊娠中に新型コロナウイルスに感染した女性(感染群)37人の感染後4〜12週間目の抗体価と比較した。.その結果、抗体価には、妊娠群(中央値で5.59)、母乳育児群(同5.74)、非妊娠群(5.62)の間で有意差は見られなかった(P=0.24)。また、これらの抗体価は、感染群の抗体価よりも有意に高かった(P<0.0001)。さらに、ワクチン接種によって作られた抗体は、被験者から採取した臍帯血や母乳中にも検出され、抗体が母親から乳児に移行することが示された。.Edlow氏は、「新型コロナウイルスワクチンの優れた効果を示すこの結果は、初回のワクチンの臨床試験で対象外とされた妊娠中や母乳育児中の女性にとって大きな励みとなるものだ」と述べている。その上で、「特にCOVID-19による合併症リスクの高い妊娠中の患者にとっては、情報の欠如している部分を実データで埋めることが重要だ」と付け加えている。.研究論文の共著者の1人であるMGHラゴン研究所のGalit Alter氏は、「この研究により、新型コロナウイルスワクチンの接種により、乳児を保護する免疫を誘導できるという明確なエビデンスが得られた」と話す。そして、「この研究がきっかけとなって、ワクチン開発者が妊娠中や母乳育児中の人も臨床試験の対象に含めることの重要性を認識し、対象を拡大した研究を実施するようになることを期待している」と述べている。また、「ワクチンの合理的なデザインによって母体と乳児のアウトカムを向上させる可能性は無限にある。開発者は、妊娠中の免疫状態は通常とは異なるものであり、強力なワクチンで母子双方の命を救えることを認識しなくてはならない」と指摘している。.この研究ではさらに、ファイザー社製ワクチンに比べて、モデルナ社製ワクチンでは、2回接種後には、主に粘膜で病原体への感染を防ぐIgA抗体価が高いことが判明した。論文の筆頭著者で、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院の産科医Kathryn Gray氏は、「新型コロナウイルスは鼻、口、目などの粘膜面を通して感染するため、この知見はあらゆる人にとって重要である。とりわけ妊娠中および授乳中の女性にとっては、IgA抗体は母乳中に含まれる主要な抗体であるため特に重要だ」と述べている。(HealthDay News 2021年3月25日).https://consumer.healthday.com/b-3-25-pregnant-women-pass-on-covid-vaccine-protection-to-newborns-2651184052.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.