タバコを吸わない人は、できるだけ受動喫煙を避けようとするものだが、子どもの場合となると、それも難しいことが多い。しかし、タバコの煙に日常的に曝されている子どもでは、アージェントケア(軽症救急患者のための緊急外来)の受診や入院のリスクが高まることが明らかになった。米シンシナティ大学健康増進教育学部准教授のAshley Merianos氏らによるこの研究は、「PLOS ONE」に2月23日掲載された。Merianos氏らは、タバコ煙に曝露している0〜17歳の380人(受動喫煙群)と、これと性別や年齢などをマッチさせたタバコ煙への曝露がない1,140人(非受動喫煙群)を対象に、後ろ向き研究を実施。タバコ煙曝露とアージェントケアの受診や救急部門(ED)の受診の回数やかかった医療費、入院回数との関連を検討した。対象者全体の平均年齢は4.9歳で、およそ半数(50.5%)が女児であった。対象者全体の過去1年間における小児EDの受診回数は平均0.69回、アージェントケアの受診回数は平均0.87回、入院回数は平均0.08回だった。過去1年間のアージェントケアの受診が1回以上であった対象者の割合は、受動喫煙群で52.4%だったのに対して非受動喫煙群では45.1%であり、受動喫煙群の方が有意に高かった(P=0.01)。また、入院回数についても、受動喫煙群では非受動喫煙群に比べて平均入院回数が多く(0.12回対0.06回)、ポワソン回帰分析では、受動喫煙群の入院リスクは非受動喫煙群の1.85倍と算出された。さらに、ED受診で支払われた医療費(平均)も受動喫煙群の方が高かった〔受動喫煙群1,136.97ドル(約12万5,600円)、非受動喫煙群1,018.96ドル(約11万2,600円)〕。Merianos氏は、「タバコ規制が大きく進んだにもかかわらず、米国では10人に4人の子どもが依然としてタバコの煙に曝されている。こうした曝露は発育中の子どもの健康に影響を与え、喘息や細気管支炎、肺炎などの呼吸器疾患の発症リスクを高める」と指摘。「この研究結果は、医療従事者が人々に対して、家や車の中を無煙状態にするように勧める必要があることを強調するものだ」と話している。研究論文の上席著者である、米シンシナティ小児病院のMelinda Mahabee-Gittens氏は、「この研究結果は、喫煙または電子タバコを吸う親をスクリーニングし、助言を与えることに対する行動喚起となるものだ。小児科を訪れる機会のある全ての医療提供者が、その都度、子どもの二次喫煙や三次喫煙曝露の危険性について両親に助言していけば、子どものタバコ煙曝露率は低下していくだろう」と話している。(HealthDay News 2021年3月29日).https://consumer.healthday.com/b-3-29-secondhand-s….Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
タバコを吸わない人は、できるだけ受動喫煙を避けようとするものだが、子どもの場合となると、それも難しいことが多い。しかし、タバコの煙に日常的に曝されている子どもでは、アージェントケア(軽症救急患者のための緊急外来)の受診や入院のリスクが高まることが明らかになった。米シンシナティ大学健康増進教育学部准教授のAshley Merianos氏らによるこの研究は、「PLOS ONE」に2月23日掲載された。Merianos氏らは、タバコ煙に曝露している0〜17歳の380人(受動喫煙群)と、これと性別や年齢などをマッチさせたタバコ煙への曝露がない1,140人(非受動喫煙群)を対象に、後ろ向き研究を実施。タバコ煙曝露とアージェントケアの受診や救急部門(ED)の受診の回数やかかった医療費、入院回数との関連を検討した。対象者全体の平均年齢は4.9歳で、およそ半数(50.5%)が女児であった。対象者全体の過去1年間における小児EDの受診回数は平均0.69回、アージェントケアの受診回数は平均0.87回、入院回数は平均0.08回だった。過去1年間のアージェントケアの受診が1回以上であった対象者の割合は、受動喫煙群で52.4%だったのに対して非受動喫煙群では45.1%であり、受動喫煙群の方が有意に高かった(P=0.01)。また、入院回数についても、受動喫煙群では非受動喫煙群に比べて平均入院回数が多く(0.12回対0.06回)、ポワソン回帰分析では、受動喫煙群の入院リスクは非受動喫煙群の1.85倍と算出された。さらに、ED受診で支払われた医療費(平均)も受動喫煙群の方が高かった〔受動喫煙群1,136.97ドル(約12万5,600円)、非受動喫煙群1,018.96ドル(約11万2,600円)〕。Merianos氏は、「タバコ規制が大きく進んだにもかかわらず、米国では10人に4人の子どもが依然としてタバコの煙に曝されている。こうした曝露は発育中の子どもの健康に影響を与え、喘息や細気管支炎、肺炎などの呼吸器疾患の発症リスクを高める」と指摘。「この研究結果は、医療従事者が人々に対して、家や車の中を無煙状態にするように勧める必要があることを強調するものだ」と話している。研究論文の上席著者である、米シンシナティ小児病院のMelinda Mahabee-Gittens氏は、「この研究結果は、喫煙または電子タバコを吸う親をスクリーニングし、助言を与えることに対する行動喚起となるものだ。小児科を訪れる機会のある全ての医療提供者が、その都度、子どもの二次喫煙や三次喫煙曝露の危険性について両親に助言していけば、子どものタバコ煙曝露率は低下していくだろう」と話している。(HealthDay News 2021年3月29日).https://consumer.healthday.com/b-3-29-secondhand-s….Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.