あなたが今、ソーセージを食べようとしているなら、健康的な別の食品に替えた方が良いかもしれない。週に150gほどの加工肉を食べることと、心血管疾患や死亡のリスクの高さに関連が見られるという研究結果が報告された。ただし、肉類が全て悪いというわけではないらしい。未加工の赤肉の場合、週に最大250g食べてもそれらのリスクとの有意な関連はないとのことだ。.この研究は、世界5大陸の21カ国、13万人以上が登録された多国籍コホートである「前向き都市農村疫学研究(Prospective Urban Rural Epidemiology;PURE)」のデータを、米マクマスター大学のMahshid Dehghan氏らが解析したもの。研究の詳細は、「The American Journal of Clinical Nutrition」に3月31日掲載された。.肉類の摂取が健康に及ぼす影響はこれまでにも多く報告されている。しかしそれらの大半は北米か欧州または日本で行われたものだ。それに対してPURE研究は高所得国だけでなく、南アジアやアフリカの低~中所得国も含まれている点が大きな特徴。PURE研究では、研究参加者の食物摂取量を、各国ごとに精度検証済みの摂取頻度アンケートを用いて把握している。Dehghan氏らは、その記録と総死亡、および主要心血管イベント(Major Adverse Cardiovascular Events;MACE)の発生率との関係を検討した。.追跡期間9.5年で7,789人が死亡し、6,976件のMACEが記録されていた。加工肉の摂取量が150g/週以上の人は、加工肉を摂取していない人に比較し、総死亡のリスクが有意に高く〔ハザード比(HR)1.51(95%信頼区間1.08~2.10)〕、また加工肉摂取量が多いほど総死亡リスクが高いという有意な関連が認められた(傾向性P=0.009)。MACEについても同様の有意な関連が見られた〔摂取していない人を基準とする摂取量150g/週以上の人のHR1.46(同1.08~1.98)、傾向性P=0.004〕。.その一方、未加工の赤肉の摂取量が250g/週以上の人の総死亡リスクは、摂取量50g/週未満の人に比べてHR0.93(同0.85~1.02)であり有意差がなく、未加工赤肉の摂取量と総死亡リスクとの用量反応関係も有意でなかった(傾向性P=0.14)。同様に、MACEとの関連も有意でなかった〔摂取量50g/週未満の人を基準とする摂取量250g/週以上の人のHR1.01(同0.92~1.11)、傾向性P=0.72〕。また、家禽の摂取量に関しても、評価項目との有意な関連は観察されなかった。.この研究における加工肉とは、塩漬けされたものや保存料を添加するなど、人手が加えられた肉のことだ。加工肉は健康に良くない影響を及ぼし、未加工肉は健康に影響がない可能性が高いというのが本研究の結果だが、なぜそのような差が生じるのだろうか。.Dehghan氏はその理由を、「未加工の赤肉と加工肉の栄養素を比較すると、コレステロールや飽和脂肪酸の量は極めて類似している。異なる点は、食品保存料などの添加物が使われているか否かであり、この違いが健康に影響を及ぼしている可能性がある」と考察。一方で、「加工肉の摂取量が少ない人が肉の代わりに摂取している食品が、健康上のメリットを発揮している可能性も否定できない」として、さらなる研究の必要性を指摘している。.この研究報告に対して、米国の食品栄養コンサルタントであるConnie Diekman氏は、「人々が肉類をほとんど摂取しない国と、肉類を多く摂取する国とでは背景因子の差が大きく、確定的な結論を出すのは難しい」と述べている。また同氏はPURE研究における食物摂取量の評価精度が十分でないことも、研究上の限界点として指摘。その上で、「栄養の専門家として伝えるべき最善のメッセージは、何よりも肉類の摂取量を植物性食品の摂取量より減らす必要があるということだ」と語っている。(HealthDay News 2021年3月31日).https://consumer.healthday.com/3-31-diet-high-in-p….Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
あなたが今、ソーセージを食べようとしているなら、健康的な別の食品に替えた方が良いかもしれない。週に150gほどの加工肉を食べることと、心血管疾患や死亡のリスクの高さに関連が見られるという研究結果が報告された。ただし、肉類が全て悪いというわけではないらしい。未加工の赤肉の場合、週に最大250g食べてもそれらのリスクとの有意な関連はないとのことだ。.この研究は、世界5大陸の21カ国、13万人以上が登録された多国籍コホートである「前向き都市農村疫学研究(Prospective Urban Rural Epidemiology;PURE)」のデータを、米マクマスター大学のMahshid Dehghan氏らが解析したもの。研究の詳細は、「The American Journal of Clinical Nutrition」に3月31日掲載された。.肉類の摂取が健康に及ぼす影響はこれまでにも多く報告されている。しかしそれらの大半は北米か欧州または日本で行われたものだ。それに対してPURE研究は高所得国だけでなく、南アジアやアフリカの低~中所得国も含まれている点が大きな特徴。PURE研究では、研究参加者の食物摂取量を、各国ごとに精度検証済みの摂取頻度アンケートを用いて把握している。Dehghan氏らは、その記録と総死亡、および主要心血管イベント(Major Adverse Cardiovascular Events;MACE)の発生率との関係を検討した。.追跡期間9.5年で7,789人が死亡し、6,976件のMACEが記録されていた。加工肉の摂取量が150g/週以上の人は、加工肉を摂取していない人に比較し、総死亡のリスクが有意に高く〔ハザード比(HR)1.51(95%信頼区間1.08~2.10)〕、また加工肉摂取量が多いほど総死亡リスクが高いという有意な関連が認められた(傾向性P=0.009)。MACEについても同様の有意な関連が見られた〔摂取していない人を基準とする摂取量150g/週以上の人のHR1.46(同1.08~1.98)、傾向性P=0.004〕。.その一方、未加工の赤肉の摂取量が250g/週以上の人の総死亡リスクは、摂取量50g/週未満の人に比べてHR0.93(同0.85~1.02)であり有意差がなく、未加工赤肉の摂取量と総死亡リスクとの用量反応関係も有意でなかった(傾向性P=0.14)。同様に、MACEとの関連も有意でなかった〔摂取量50g/週未満の人を基準とする摂取量250g/週以上の人のHR1.01(同0.92~1.11)、傾向性P=0.72〕。また、家禽の摂取量に関しても、評価項目との有意な関連は観察されなかった。.この研究における加工肉とは、塩漬けされたものや保存料を添加するなど、人手が加えられた肉のことだ。加工肉は健康に良くない影響を及ぼし、未加工肉は健康に影響がない可能性が高いというのが本研究の結果だが、なぜそのような差が生じるのだろうか。.Dehghan氏はその理由を、「未加工の赤肉と加工肉の栄養素を比較すると、コレステロールや飽和脂肪酸の量は極めて類似している。異なる点は、食品保存料などの添加物が使われているか否かであり、この違いが健康に影響を及ぼしている可能性がある」と考察。一方で、「加工肉の摂取量が少ない人が肉の代わりに摂取している食品が、健康上のメリットを発揮している可能性も否定できない」として、さらなる研究の必要性を指摘している。.この研究報告に対して、米国の食品栄養コンサルタントであるConnie Diekman氏は、「人々が肉類をほとんど摂取しない国と、肉類を多く摂取する国とでは背景因子の差が大きく、確定的な結論を出すのは難しい」と述べている。また同氏はPURE研究における食物摂取量の評価精度が十分でないことも、研究上の限界点として指摘。その上で、「栄養の専門家として伝えるべき最善のメッセージは、何よりも肉類の摂取量を植物性食品の摂取量より減らす必要があるということだ」と語っている。(HealthDay News 2021年3月31日).https://consumer.healthday.com/3-31-diet-high-in-p….Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.