ブロッコリーやセロリ、ケールの苦味を耐えがたく感じたことがあるだろうか。もしそうなら、あなたは、遺伝的に苦味に対する感度が非常に高い「スーパーテイスター」かもしれない。米バトンルージュ総合医療センターのHenry Barham氏らにより、「JAMA Network Open」に5月25日掲載された論文によると、スーパーテイスターの人たちは、新型コロナウイルスへの感染リスクと、感染に伴う入院のリスクが低い可能性があるということだ。. 苦味を感じる受容体(T2Rs)は舌だけでなく呼吸器や消化器などさまざまな組織に発現し、自然免疫に関与していると考えられている。T2R38はT2Rsアイソフォームの一種で、上皮細胞の線毛上に存在し、苦味物質であるフェニルチオカルバミド(PTC)およびプロピルチオウラシル(PROP)に対する感受性が強い。T2R38は微生物の侵入などの刺激を受けると、一酸化窒素(NO)を放出させて微生物を死滅させるとともに、線毛運動を活発化して微生物の排除を促進する。苦味の感度は、個々人が持っているT2R38の遺伝子型によって異なる。. Barham氏らは今回、新型コロナウイルスに曝露する機会がある職業に就いている1,935人の外来患者および医療従事者を対象に、T2R38の遺伝子型による新型コロナウイルスへの感染リスクや感染後の臨床経過との関連を調べた。対象者の平均年齢は45.5歳で、56.9%が女性だった。対象者にはあらかじめPCR検査と抗体検査を行って、コロナウイルス未感染であることを確認し、また、味覚テストを行い、スーパーテイスター、テイスター、ノンテイスターの3群に分けた。スーパーテイスターは苦味の感度が非常に高い人で、それとは逆に、ノンテイスターは、苦味への感度が低いか、苦味を全く感じない人のことである。. 味覚テストにより、対象者の26.3%(508人)がスーパーテイスター、47.4%(917人)がテイスター、26.4%(510人)がノンテイスターに分類された。その後、対象者の266人(13.7%)が、PCR検査で新型コロナウイルス陽性と判定された。この中で、感染前にスーパーテイスターに分類されていたのはわずか15人(5.6%)であったのに対して、テイスターとノンテイスターに分類されていたのは、それぞれ104人(39.1%)、147人(55.3%)に上った。また、感染者のうち55人(20.7%)が入院を要したが、内訳はテイスター8人(14.5%)、ノンテイスター47人(85.5%)で、スーパーテイスターの人は含まれていなかった。さらに、感染者の症状持続期間は0〜48日の幅があったが、その中央値(標準偏差)は、スーパーテイスター群で5.0(2.0)日、テイスター群で13.5(4.8)日、ノンテイスター群で23.7(5.2)日で、大きな違いが認められた。. 結果についてBarham氏らは、「味覚テストによるT2R38の表現型の発現がCOVID-19の臨床経過と強く関連することが明らかになった」としている。. この研究報告を受けて、米嗅覚と味覚の治療と研究財団(Smell & Taste Treatment and Research Foundation)のAlan Hirsch氏は、「この結果は非常に大きな意味を持つ」と評価し、「人々は、自分の味覚感度がどの程度なのかを知ることで、ベネフィットを得ることができる可能性がある」と話している。. ただし、たいていの人は自分の味覚感度を知らない。家庭やオフィスで行える味覚テストで自分の味覚感度を判定することはできるが、Hirsch氏は、より簡単な方法として、「セロリを苦いと感じる人は、スーパーテイスターだと言える。そうでない場合は、注意を怠るべきではない」と助言している。(HealthDay News 2021年5月25日).https://consumer.healthday.com/5-25-are-lemons-sup….Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
ブロッコリーやセロリ、ケールの苦味を耐えがたく感じたことがあるだろうか。もしそうなら、あなたは、遺伝的に苦味に対する感度が非常に高い「スーパーテイスター」かもしれない。米バトンルージュ総合医療センターのHenry Barham氏らにより、「JAMA Network Open」に5月25日掲載された論文によると、スーパーテイスターの人たちは、新型コロナウイルスへの感染リスクと、感染に伴う入院のリスクが低い可能性があるということだ。. 苦味を感じる受容体(T2Rs)は舌だけでなく呼吸器や消化器などさまざまな組織に発現し、自然免疫に関与していると考えられている。T2R38はT2Rsアイソフォームの一種で、上皮細胞の線毛上に存在し、苦味物質であるフェニルチオカルバミド(PTC)およびプロピルチオウラシル(PROP)に対する感受性が強い。T2R38は微生物の侵入などの刺激を受けると、一酸化窒素(NO)を放出させて微生物を死滅させるとともに、線毛運動を活発化して微生物の排除を促進する。苦味の感度は、個々人が持っているT2R38の遺伝子型によって異なる。. Barham氏らは今回、新型コロナウイルスに曝露する機会がある職業に就いている1,935人の外来患者および医療従事者を対象に、T2R38の遺伝子型による新型コロナウイルスへの感染リスクや感染後の臨床経過との関連を調べた。対象者の平均年齢は45.5歳で、56.9%が女性だった。対象者にはあらかじめPCR検査と抗体検査を行って、コロナウイルス未感染であることを確認し、また、味覚テストを行い、スーパーテイスター、テイスター、ノンテイスターの3群に分けた。スーパーテイスターは苦味の感度が非常に高い人で、それとは逆に、ノンテイスターは、苦味への感度が低いか、苦味を全く感じない人のことである。. 味覚テストにより、対象者の26.3%(508人)がスーパーテイスター、47.4%(917人)がテイスター、26.4%(510人)がノンテイスターに分類された。その後、対象者の266人(13.7%)が、PCR検査で新型コロナウイルス陽性と判定された。この中で、感染前にスーパーテイスターに分類されていたのはわずか15人(5.6%)であったのに対して、テイスターとノンテイスターに分類されていたのは、それぞれ104人(39.1%)、147人(55.3%)に上った。また、感染者のうち55人(20.7%)が入院を要したが、内訳はテイスター8人(14.5%)、ノンテイスター47人(85.5%)で、スーパーテイスターの人は含まれていなかった。さらに、感染者の症状持続期間は0〜48日の幅があったが、その中央値(標準偏差)は、スーパーテイスター群で5.0(2.0)日、テイスター群で13.5(4.8)日、ノンテイスター群で23.7(5.2)日で、大きな違いが認められた。. 結果についてBarham氏らは、「味覚テストによるT2R38の表現型の発現がCOVID-19の臨床経過と強く関連することが明らかになった」としている。. この研究報告を受けて、米嗅覚と味覚の治療と研究財団(Smell & Taste Treatment and Research Foundation)のAlan Hirsch氏は、「この結果は非常に大きな意味を持つ」と評価し、「人々は、自分の味覚感度がどの程度なのかを知ることで、ベネフィットを得ることができる可能性がある」と話している。. ただし、たいていの人は自分の味覚感度を知らない。家庭やオフィスで行える味覚テストで自分の味覚感度を判定することはできるが、Hirsch氏は、より簡単な方法として、「セロリを苦いと感じる人は、スーパーテイスターだと言える。そうでない場合は、注意を怠るべきではない」と助言している。(HealthDay News 2021年5月25日).https://consumer.healthday.com/5-25-are-lemons-sup….Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.