がんやその治療法に関するソーシャルメディアの人気記事の3分の1には誤情報が含まれており、その多くは危険をもたらす可能性もあることが、新たな研究で明らかにされた。米ハンツマンがん研究所のSkyler Johnson氏らによるこの研究結果は、「Journal of the National Cancer Institute」に7月22日掲載された。 Johnson氏らは、2018年1月から2019年12月までの間に、Facebook、Twitter、Reddit、Pinterestに投稿された、乳がん、肺がん、前立腺がん、大腸がんに関する記事のうち、特に人気の高い200本を特定。2人のがん専門家が、これらの記事の内容の正確性を審査した。 その結果、200本の記事の32.5%(65本)に誤情報が、30.5%(61本)に有害な情報が含まれていることが明らかになった。誤情報を含んでいた記事のうちの76.9%(50/65本)には、治療転帰に悪影響を及ぼしかねない有害な情報が含まれていた。 誤情報の例は、「化学療法にはがん治療の効果はない」、「大麻で肺がんが治る」、「前立腺がんは重曹で治る」などである。記事に対するエンゲージメント数(記事に対する反応の数)は、こうした誤情報を含んだ記事の方が、事実に基づく記事よりも多く(中央値で2,300対1,600)、同様に、有害な情報を含む記事の方が、そのような情報を含まない安全な記事よりも多かった(中央値で2,300対1,500)。Johnson氏は、「このような情報が、適切ながんのスクリーニング、診断、治療の遅れにつながる可能性がある」との懸念を示している。 さらにJohnson氏は、「最悪のシナリオは、そのような記事によって、裏付けのあるがん治療を拒否し、有効性が明らかでない治療を選択する患者が増えることだ。それにより、がんを治療し、生存率と生活の質(QOL)の改善を目指す専門医の能力が損なわれる可能性がある」と述べている。 この研究では、有害な内容を含む記事の多くは、信頼できる情報元とは言えないニューエイジ系のウェブサイトが情報源になっていることも明らかになった。しかし、こうしたウェブサイトと信頼できるウェブサイトとの違いを見分けるのは、難しいことがあるという。Johnson氏は、「ウェブ上で提供されている多くの情報は、批判的な目で評価する必要があると認識してほしい。疑問に思うことは専門医と話し合い、目標に見合う治療計画を一緒に考える必要がある」と助言している。また同氏は、将来的にはソーシャルメディアの誤情報や有害な記事を見分ける予測因子を特定したいと述べている。 この知見をレビューした米メイヨー・クリニック教授のS. Vincent Rajkumar氏は、「ネット上に誤情報があふれていることに驚きはない」と述べる。その一方で同氏は、「ソーシャルメディアに有益な情報がないわけではない。例えば、社会支援や、がん治療の副作用への対処法などの情報を得ることができる。しかし、医学的なことに関しては、担当の医師や大学病院、米国立衛生研究所(NIH)などの政府機関を信頼する方が良い」と助言している。(HealthDay News 2021年7月28日).https://consumer.healthday.com/7-28-bogus-info-on-….Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
がんやその治療法に関するソーシャルメディアの人気記事の3分の1には誤情報が含まれており、その多くは危険をもたらす可能性もあることが、新たな研究で明らかにされた。米ハンツマンがん研究所のSkyler Johnson氏らによるこの研究結果は、「Journal of the National Cancer Institute」に7月22日掲載された。 Johnson氏らは、2018年1月から2019年12月までの間に、Facebook、Twitter、Reddit、Pinterestに投稿された、乳がん、肺がん、前立腺がん、大腸がんに関する記事のうち、特に人気の高い200本を特定。2人のがん専門家が、これらの記事の内容の正確性を審査した。 その結果、200本の記事の32.5%(65本)に誤情報が、30.5%(61本)に有害な情報が含まれていることが明らかになった。誤情報を含んでいた記事のうちの76.9%(50/65本)には、治療転帰に悪影響を及ぼしかねない有害な情報が含まれていた。 誤情報の例は、「化学療法にはがん治療の効果はない」、「大麻で肺がんが治る」、「前立腺がんは重曹で治る」などである。記事に対するエンゲージメント数(記事に対する反応の数)は、こうした誤情報を含んだ記事の方が、事実に基づく記事よりも多く(中央値で2,300対1,600)、同様に、有害な情報を含む記事の方が、そのような情報を含まない安全な記事よりも多かった(中央値で2,300対1,500)。Johnson氏は、「このような情報が、適切ながんのスクリーニング、診断、治療の遅れにつながる可能性がある」との懸念を示している。 さらにJohnson氏は、「最悪のシナリオは、そのような記事によって、裏付けのあるがん治療を拒否し、有効性が明らかでない治療を選択する患者が増えることだ。それにより、がんを治療し、生存率と生活の質(QOL)の改善を目指す専門医の能力が損なわれる可能性がある」と述べている。 この研究では、有害な内容を含む記事の多くは、信頼できる情報元とは言えないニューエイジ系のウェブサイトが情報源になっていることも明らかになった。しかし、こうしたウェブサイトと信頼できるウェブサイトとの違いを見分けるのは、難しいことがあるという。Johnson氏は、「ウェブ上で提供されている多くの情報は、批判的な目で評価する必要があると認識してほしい。疑問に思うことは専門医と話し合い、目標に見合う治療計画を一緒に考える必要がある」と助言している。また同氏は、将来的にはソーシャルメディアの誤情報や有害な記事を見分ける予測因子を特定したいと述べている。 この知見をレビューした米メイヨー・クリニック教授のS. Vincent Rajkumar氏は、「ネット上に誤情報があふれていることに驚きはない」と述べる。その一方で同氏は、「ソーシャルメディアに有益な情報がないわけではない。例えば、社会支援や、がん治療の副作用への対処法などの情報を得ることができる。しかし、医学的なことに関しては、担当の医師や大学病院、米国立衛生研究所(NIH)などの政府機関を信頼する方が良い」と助言している。(HealthDay News 2021年7月28日).https://consumer.healthday.com/7-28-bogus-info-on-….Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.