朝食時にグラス1杯のオレンジジュースを飲んだり、昼食にリンゴを加えたりすることが、脳の健康を守ることにつながるかもしれない。フラボノイドと呼ばれる天然由来成分が豊富に含まれている食品の摂取が、認知機能低下リスクの抑制と関連することが、新たな研究により示された。米ハーバード公衆衛生大学院のTian-Shin Yeh氏らによるこの研究は、「Neurology」に7月28日報告された。. 加齢とともに進む認知機能の低下には、抗酸化物質の不足が関与していると考えられている。フラボノイドは強力な抗酸化作用を持つとされているポリフェノールの一種で、アントシアニンやフラボンなど非常に多くの種類がある。フラボノイドは、バナナやリンゴ、洋ナシ、ピーマンのほか、セロリや柑橘類の果物、サクランボ、ベリー類などに豊富に含まれている。. Yeh氏らは今回、米国のNurses' Health Study(NHS)に参加した女性4万9,493人と、Health Professionals Follow-up Study(HPFS)に参加した男性2万7,842人を対象に、食事からのフラボノイド摂取と主観的な認知機能の低下との関連について検討した。対象者の平均年齢は、女性が48歳、男性が51歳だった。フラボノイドは、フラボノール、フラボン、アントシアニンなど7種類の摂取量について調べた。フラボンは、一部の香辛料、黄色やオレンジ色の果物や野菜に、アントシアニンはサクランボやブルーベリー、ブラックベリーなどの色が濃い果物に含まれている。. 対象者は20年以上の追跡期間中に複数回にわたって、摂取している食品の種類やその頻度に関する質問票に回答していた。Yeh氏らは、そのデータに基づきフラボノイドの摂取量を算出し、対象者を5つの群に分類した。フラボノイドの摂取量が最も多い群では、1日当たり平均600mg、最も少ない群では1日当たり平均150mgを摂取していた。なお、リンゴ100gには約113mg、イチゴ100gには約180mgのフラボノイドが含まれている。. また対象者は、研究期間中2回にわたって認知機能を評価するための質問票に回答していた。この質問票は、「最近の出来事を思い出すのが難しいと感じることが増えたか」、「複数の項目が並んだ短いリストを思い出すのが難しくなったか」などの項目で構成され、本人が自覚できる段階かつスクリーニング検査で発見される前の早期に記憶障害を検出できるという。. 解析の結果、フラボノイドの総摂取量が最も多い群では最も少ない群に比べて、主観的な認知機能の低下リスクが20%低いことが明らかになった。個々のフラボノイドの中で特に認知機能に対する保護効果が高かったのはフラボンで、その摂取量が最も多い群では最も少ない群に比べて、認知機能の低下リスクが38%も低かった。また、アントシアニンの摂取量が多い人も、同リスクが24%低かった。. Yeh氏は、「この結果は、公衆衛生上、重要な意味を持つ可能性がある。この結果に基づけば、フラボノイドが豊富な食品を食事に取り入れるだけで、認知機能の低下を抑えられる可能性があるからだ」と言う。. この研究には関与していない、米アドボケイト・メモリー・センターのDarren Gitelman氏は、「フラボノイドを豊富に含む食品が、なぜ脳の健康に良い影響を与え得るのか、その明確な理由については、今後の研究による解明が待たれる」と話す。一方で、抗酸化作用のある食品は、アルツハイマー病の発症に関わる因子であるアミロイドの沈着を抑えるとの仮説が提唱されている。同氏は、「仮説段階ではあるが、こうした食品が神経細胞の環境に与える影響の多くが有益であることが示されている」と指摘している。(HealthDay News 2021年7月29日).https://consumer.healthday.com/7-29-want-to-avoid-dementia-add-some-color-to-your-plate-2653978260.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
朝食時にグラス1杯のオレンジジュースを飲んだり、昼食にリンゴを加えたりすることが、脳の健康を守ることにつながるかもしれない。フラボノイドと呼ばれる天然由来成分が豊富に含まれている食品の摂取が、認知機能低下リスクの抑制と関連することが、新たな研究により示された。米ハーバード公衆衛生大学院のTian-Shin Yeh氏らによるこの研究は、「Neurology」に7月28日報告された。. 加齢とともに進む認知機能の低下には、抗酸化物質の不足が関与していると考えられている。フラボノイドは強力な抗酸化作用を持つとされているポリフェノールの一種で、アントシアニンやフラボンなど非常に多くの種類がある。フラボノイドは、バナナやリンゴ、洋ナシ、ピーマンのほか、セロリや柑橘類の果物、サクランボ、ベリー類などに豊富に含まれている。. Yeh氏らは今回、米国のNurses' Health Study(NHS)に参加した女性4万9,493人と、Health Professionals Follow-up Study(HPFS)に参加した男性2万7,842人を対象に、食事からのフラボノイド摂取と主観的な認知機能の低下との関連について検討した。対象者の平均年齢は、女性が48歳、男性が51歳だった。フラボノイドは、フラボノール、フラボン、アントシアニンなど7種類の摂取量について調べた。フラボンは、一部の香辛料、黄色やオレンジ色の果物や野菜に、アントシアニンはサクランボやブルーベリー、ブラックベリーなどの色が濃い果物に含まれている。. 対象者は20年以上の追跡期間中に複数回にわたって、摂取している食品の種類やその頻度に関する質問票に回答していた。Yeh氏らは、そのデータに基づきフラボノイドの摂取量を算出し、対象者を5つの群に分類した。フラボノイドの摂取量が最も多い群では、1日当たり平均600mg、最も少ない群では1日当たり平均150mgを摂取していた。なお、リンゴ100gには約113mg、イチゴ100gには約180mgのフラボノイドが含まれている。. また対象者は、研究期間中2回にわたって認知機能を評価するための質問票に回答していた。この質問票は、「最近の出来事を思い出すのが難しいと感じることが増えたか」、「複数の項目が並んだ短いリストを思い出すのが難しくなったか」などの項目で構成され、本人が自覚できる段階かつスクリーニング検査で発見される前の早期に記憶障害を検出できるという。. 解析の結果、フラボノイドの総摂取量が最も多い群では最も少ない群に比べて、主観的な認知機能の低下リスクが20%低いことが明らかになった。個々のフラボノイドの中で特に認知機能に対する保護効果が高かったのはフラボンで、その摂取量が最も多い群では最も少ない群に比べて、認知機能の低下リスクが38%も低かった。また、アントシアニンの摂取量が多い人も、同リスクが24%低かった。. Yeh氏は、「この結果は、公衆衛生上、重要な意味を持つ可能性がある。この結果に基づけば、フラボノイドが豊富な食品を食事に取り入れるだけで、認知機能の低下を抑えられる可能性があるからだ」と言う。. この研究には関与していない、米アドボケイト・メモリー・センターのDarren Gitelman氏は、「フラボノイドを豊富に含む食品が、なぜ脳の健康に良い影響を与え得るのか、その明確な理由については、今後の研究による解明が待たれる」と話す。一方で、抗酸化作用のある食品は、アルツハイマー病の発症に関わる因子であるアミロイドの沈着を抑えるとの仮説が提唱されている。同氏は、「仮説段階ではあるが、こうした食品が神経細胞の環境に与える影響の多くが有益であることが示されている」と指摘している。(HealthDay News 2021年7月29日).https://consumer.healthday.com/7-29-want-to-avoid-dementia-add-some-color-to-your-plate-2653978260.html.Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.