植物性食品中心の食習慣が心臓病のリスク低下につながることを示す、追跡期間が15~30年に及ぶ2件の研究結果が報告された。いずれも「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に8月4日掲載された。. 一つ目の報告は、若年成人の冠動脈疾患の発症リスク因子を長期間追跡した「CARDIA研究」のデータを解析したもので、米ミネソタ大学のYuni Choi氏らが報告した。1985~1986年に登録された、18〜30歳で心血管疾患(CVD)の既往がない4,946人を2018年まで追跡。食習慣が植物性食品中心かどうかを評価するAPDQSというスコアで全体を五分位で分け、CVD発症リスクを比較検討した。. APDQSスコアは、46種類の食品群の摂取量から計算される132点満点のスコア。点数が高いほど栄養価の高い植物性食品の摂取が多く、肉類や健康的でない植物性食品の摂取は少ないと判定される。具体的には、果物、野菜、豆、ナッツ、全粒穀物などの摂取量が多く、高脂肪の動物性食品や油で調理された食品、菓子などの摂取量が少ない場合に高スコアとなる。. 32年間の追跡中に289件のCVD症例が記録されていた。結果に影響を及ぼし得る因子で調整後、追跡期間中の平均APDQSの最高五分位群(上位20%)は最低五分位群(下位20%)に比較して、CVDリスクが52%有意に低かった〔ハザード比(HR)0.48(95%信頼区間0.28~0.81)〕。また、追跡7年目から20年目までの13年間でのAPDQSの変化幅を五分位で分類すると、最も大きくスコアが上昇していた群は最も大きく低下していた群に比較し、CVDリスクが61%低かった〔HR0.39(同0.19~0.81)〕。. 論文の筆頭著者であるChoi氏は、「栄養が豊富な植物性食品中心の食事は心臓血管系の健康に有益だ。できるだけ自然に近く、高度に加工されていない食品を選択する方が良い。ただし、植物性食品中心の食事とはベジタリアン食を意味するのではなく、鶏肉や卵、魚介類、低脂肪乳製品などの動物性食品を適度に含めることが許容される」と述べている。. 二つ目の報告は、閉経後の女性の健康状態を長期間追跡している「女性の健康イニシアチブ研究(WHI)」のデータを解析したもので、トロント大学(カナダ)のJohn Sievenpiper氏らが報告した。1993~1998年に登録されたCVD既往のない50~79歳の女性12万3,330人を2017年まで追跡。植物性食品中心の食事であるポートフォリオ食の順守状況と、CVDリスクとの関連を検討した。. ポートフォリオ食は、ナッツを多く含み、大豆や豆腐などの大豆製品からの植物性タンパク質、オクラなどの粘性繊維、オリーブオイルやアボカドなどに含まれている植物性ステロールの摂取量が多く、飽和脂肪酸やコレステロールの摂取量が少ないことを特徴とする食事スタイル。この研究ではその順守状況を、30点満点のポートフォリオ食スコアで判定した。. 平均15.3年の追跡で、1万3,365件のCVDが発生し、そのうち冠動脈性心疾患(CHD)が5,640件、脳卒中が4,440件であり、心不全1,907件、心房細動929件も記録されていた。結果に影響を及ぼし得る因子で調整後、ポートフォリオ食スコアの最高四分位群(上位25%)は最低四分位群(下位25%)に比較して、CVDリスクが11%〔HR0.89(95%信頼区間0.83~0.94)〕、CHDリスクは14%〔HR0.86(同0.78~0.95)〕、心不全リスクは17%〔HR0.83(同0.71~0.99)〕、それぞれ有意に低かった。脳卒中と心房細動については有意な関連は見られなかった。. 論文の上席著者であるSievenpiper氏は、「この結果は、人々が植物性食品をさらに食事に取り入れる余地があることを示している。ポートフォリオ食の順守によるCVDリスクの11%低下というメリットには、心臓の健康を守る上で臨床的意義がある」と述べている。(HealthDay News 2021年8月4日).https://consumer.healthday.com/b-8-4-eating-less-m….Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
植物性食品中心の食習慣が心臓病のリスク低下につながることを示す、追跡期間が15~30年に及ぶ2件の研究結果が報告された。いずれも「Journal of the American Heart Association(JAHA)」に8月4日掲載された。. 一つ目の報告は、若年成人の冠動脈疾患の発症リスク因子を長期間追跡した「CARDIA研究」のデータを解析したもので、米ミネソタ大学のYuni Choi氏らが報告した。1985~1986年に登録された、18〜30歳で心血管疾患(CVD)の既往がない4,946人を2018年まで追跡。食習慣が植物性食品中心かどうかを評価するAPDQSというスコアで全体を五分位で分け、CVD発症リスクを比較検討した。. APDQSスコアは、46種類の食品群の摂取量から計算される132点満点のスコア。点数が高いほど栄養価の高い植物性食品の摂取が多く、肉類や健康的でない植物性食品の摂取は少ないと判定される。具体的には、果物、野菜、豆、ナッツ、全粒穀物などの摂取量が多く、高脂肪の動物性食品や油で調理された食品、菓子などの摂取量が少ない場合に高スコアとなる。. 32年間の追跡中に289件のCVD症例が記録されていた。結果に影響を及ぼし得る因子で調整後、追跡期間中の平均APDQSの最高五分位群(上位20%)は最低五分位群(下位20%)に比較して、CVDリスクが52%有意に低かった〔ハザード比(HR)0.48(95%信頼区間0.28~0.81)〕。また、追跡7年目から20年目までの13年間でのAPDQSの変化幅を五分位で分類すると、最も大きくスコアが上昇していた群は最も大きく低下していた群に比較し、CVDリスクが61%低かった〔HR0.39(同0.19~0.81)〕。. 論文の筆頭著者であるChoi氏は、「栄養が豊富な植物性食品中心の食事は心臓血管系の健康に有益だ。できるだけ自然に近く、高度に加工されていない食品を選択する方が良い。ただし、植物性食品中心の食事とはベジタリアン食を意味するのではなく、鶏肉や卵、魚介類、低脂肪乳製品などの動物性食品を適度に含めることが許容される」と述べている。. 二つ目の報告は、閉経後の女性の健康状態を長期間追跡している「女性の健康イニシアチブ研究(WHI)」のデータを解析したもので、トロント大学(カナダ)のJohn Sievenpiper氏らが報告した。1993~1998年に登録されたCVD既往のない50~79歳の女性12万3,330人を2017年まで追跡。植物性食品中心の食事であるポートフォリオ食の順守状況と、CVDリスクとの関連を検討した。. ポートフォリオ食は、ナッツを多く含み、大豆や豆腐などの大豆製品からの植物性タンパク質、オクラなどの粘性繊維、オリーブオイルやアボカドなどに含まれている植物性ステロールの摂取量が多く、飽和脂肪酸やコレステロールの摂取量が少ないことを特徴とする食事スタイル。この研究ではその順守状況を、30点満点のポートフォリオ食スコアで判定した。. 平均15.3年の追跡で、1万3,365件のCVDが発生し、そのうち冠動脈性心疾患(CHD)が5,640件、脳卒中が4,440件であり、心不全1,907件、心房細動929件も記録されていた。結果に影響を及ぼし得る因子で調整後、ポートフォリオ食スコアの最高四分位群(上位25%)は最低四分位群(下位25%)に比較して、CVDリスクが11%〔HR0.89(95%信頼区間0.83~0.94)〕、CHDリスクは14%〔HR0.86(同0.78~0.95)〕、心不全リスクは17%〔HR0.83(同0.71~0.99)〕、それぞれ有意に低かった。脳卒中と心房細動については有意な関連は見られなかった。. 論文の上席著者であるSievenpiper氏は、「この結果は、人々が植物性食品をさらに食事に取り入れる余地があることを示している。ポートフォリオ食の順守によるCVDリスクの11%低下というメリットには、心臓の健康を守る上で臨床的意義がある」と述べている。(HealthDay News 2021年8月4日).https://consumer.healthday.com/b-8-4-eating-less-m….Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.