非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の患者数の世界的な増加に対応するため、効果的なスクリーニングや診断、および治療戦略の確立が急務であるとする、米ベイラー医科大学のFasiha Kanwal氏らのレポートが7月26日、「Gastroenterology」に掲載された。 米国消化器病学会はこのほど関連領域7団体とともに、米国、欧州、アジア、オーストラリアの消化器病学、肝臓学、内分泌学、およびプライマリケアの専門家32人から成る国際会議を開催。NASHを含むNAFLDの世界的な負担、スクリーニング、リスク層別化、診断、および管理に関して、既報論文のレビューとディスカッションを行った。Kanwal氏らの報告はその内容を総括したもの。 レポートによると、NAFLDとNASHの社会的な負担は着実に増加しており、NAFLDに関しては現在、世界人口の25%に相当し、2型糖尿病患者に限ると60%以上に影響を及ぼしているという。レポートではこのような現状の認識を確認した上で、NASHの診断確定に必要とされる肝生検は侵襲性とコストの点で支障があるとし、より簡便で感度・特異度に優れたNASH診断法を開発する必要があるとしている。 疾患管理については、NAFLDからNASHへの進行を抑止するために、多くの専門領域の協調による学際的な医療チームの介入が不可欠としている。また、従来のスクリーニングから治療介入に至るモデルをより明確にする必要性を指摘し、アルゴリズムによるアプローチの開発とその検証が求められると述べている。さらにこれらの管理手順は、国際的に統一されたものでなければならないとしている。 一例として、非侵襲的な画像検査や複数の血液検査データを組み合わせて、肝線維化の進行レベルを判定する、信頼性の高い統一された評価手法の開発などを呼び掛けている。これらの考察のまとめとして、NAFLDに対して現在行われている公衆衛生上の対策は不十分であり、スクリーニング、診断、および管理の最適化のためのガイドライン策定を推進する活動に、多領域の研究者が協力して参画すべきとしている。 著者らは、「NAFLD/NASHの罹患率と有病率の上昇傾向は、特に糖尿病や肥満などを有するコホートで顕著だ。米国だけでなく世界各国で実行可能なスクリーニング、診断、および治療戦略を開発し、実践することが重要であり、かつ、それが緊急性のある課題であることを強調したい」と述べている。 なお、数人の著者が製薬企業との金銭的関係の存在を明らかにしている。(HealthDay News 2021年7月26日)https://consumer.healthday.com/screening-diagnosis….Abstract/Full Text (subscription or payment may be required).Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の患者数の世界的な増加に対応するため、効果的なスクリーニングや診断、および治療戦略の確立が急務であるとする、米ベイラー医科大学のFasiha Kanwal氏らのレポートが7月26日、「Gastroenterology」に掲載された。 米国消化器病学会はこのほど関連領域7団体とともに、米国、欧州、アジア、オーストラリアの消化器病学、肝臓学、内分泌学、およびプライマリケアの専門家32人から成る国際会議を開催。NASHを含むNAFLDの世界的な負担、スクリーニング、リスク層別化、診断、および管理に関して、既報論文のレビューとディスカッションを行った。Kanwal氏らの報告はその内容を総括したもの。 レポートによると、NAFLDとNASHの社会的な負担は着実に増加しており、NAFLDに関しては現在、世界人口の25%に相当し、2型糖尿病患者に限ると60%以上に影響を及ぼしているという。レポートではこのような現状の認識を確認した上で、NASHの診断確定に必要とされる肝生検は侵襲性とコストの点で支障があるとし、より簡便で感度・特異度に優れたNASH診断法を開発する必要があるとしている。 疾患管理については、NAFLDからNASHへの進行を抑止するために、多くの専門領域の協調による学際的な医療チームの介入が不可欠としている。また、従来のスクリーニングから治療介入に至るモデルをより明確にする必要性を指摘し、アルゴリズムによるアプローチの開発とその検証が求められると述べている。さらにこれらの管理手順は、国際的に統一されたものでなければならないとしている。 一例として、非侵襲的な画像検査や複数の血液検査データを組み合わせて、肝線維化の進行レベルを判定する、信頼性の高い統一された評価手法の開発などを呼び掛けている。これらの考察のまとめとして、NAFLDに対して現在行われている公衆衛生上の対策は不十分であり、スクリーニング、診断、および管理の最適化のためのガイドライン策定を推進する活動に、多領域の研究者が協力して参画すべきとしている。 著者らは、「NAFLD/NASHの罹患率と有病率の上昇傾向は、特に糖尿病や肥満などを有するコホートで顕著だ。米国だけでなく世界各国で実行可能なスクリーニング、診断、および治療戦略を開発し、実践することが重要であり、かつ、それが緊急性のある課題であることを強調したい」と述べている。 なお、数人の著者が製薬企業との金銭的関係の存在を明らかにしている。(HealthDay News 2021年7月26日)https://consumer.healthday.com/screening-diagnosis….Abstract/Full Text (subscription or payment may be required).Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.