新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような大規模なパンデミックはさほどまれなものではなく、今後はこれまで以上の頻度で発生する可能性のあることが、米デューク大学准教授のWilliam Pan氏らによる研究で明らかになった。Pan氏は、「COVID-19やスペイン風邪のような大規模な感染症のパンデミックは、決してまれなことではない。パンデミックの予防と対策にもっと力を入れるべきだ」と主張している。研究結果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」8月31日号に掲載された。この研究では、新しい統計学的手法を用いて、ペスト、天然痘、コレラ、発疹チフス、新型インフルエンザなど、過去400年間に世界で発生した疾患のパンデミックの規模と頻度についての分析が行われた。その結果、COVID-19と同程度の影響力を持つパンデミックが発生する確率は、1年当たり約2%であることが明らかになった。これは、西暦2000年に生まれた人が現在までにパンデミックを経験する確率が約38%であることを意味するという。一方、1918~1920年に3000万人以上が死亡した、近代史における最大のパンデミックであるスペイン風邪と同等のパンデミックが発生する確率は、1年当たり0.3~1.9%と算出された。これは、統計的には400年以内にスペイン風邪に匹敵するパンデミックが発生する可能性が高いことを意味する。さらに、この研究では凶暴な感染症の発生リスクが急速に高まっていることも示された。研究グループは、過去50年間で新型コロナウイルスのようなヒトに感染する病原体が新たに出現するスピードが上がっているとして、今後数十年で新たな疾患が流行するリスクは3倍になると予測している。具体的には、COVID-19と同規模のパンデミックは、今後59年以内に起こる可能性が高いという。そのほか、今回の研究論文では言及されていないが、全人類を滅ぼす規模のパンデミックが、今後1万2,000年以内に発生し得るとの計算結果も明らかになったという。論文の共著者で、同大学教授のGabriel Katul氏は、「こうした結果が出たからといって、今後59年間はCOVID-19のようなパンデミックは発生しないとか、あと数百年はスペイン風邪のような惨事は起きないと言えるわけではない。大規模なパンデミックはいつ起きてもおかしくない」と説明している。Pan氏も、「人口増加、環境破壊、食品流通システムの変化、病原体を保有する動物とヒトとの接触頻度の増加などにより、パンデミックの頻度はさらに増大する可能性がある」と推測している。Pan氏はまた、「この研究結果は、疾患の流行への早期の対応、地域および地球規模でのパンデミックの監視能力の構築、大規模な感染症が流行しやすくなっている理由を解明する研究の実施の重要性を明示するものだ」と述べている。(HealthDay News 2021年8月25日).https://consumer.healthday.com/b-8-25-large-scale-….Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような大規模なパンデミックはさほどまれなものではなく、今後はこれまで以上の頻度で発生する可能性のあることが、米デューク大学准教授のWilliam Pan氏らによる研究で明らかになった。Pan氏は、「COVID-19やスペイン風邪のような大規模な感染症のパンデミックは、決してまれなことではない。パンデミックの予防と対策にもっと力を入れるべきだ」と主張している。研究結果は、「Proceedings of the National Academy of Sciences」8月31日号に掲載された。この研究では、新しい統計学的手法を用いて、ペスト、天然痘、コレラ、発疹チフス、新型インフルエンザなど、過去400年間に世界で発生した疾患のパンデミックの規模と頻度についての分析が行われた。その結果、COVID-19と同程度の影響力を持つパンデミックが発生する確率は、1年当たり約2%であることが明らかになった。これは、西暦2000年に生まれた人が現在までにパンデミックを経験する確率が約38%であることを意味するという。一方、1918~1920年に3000万人以上が死亡した、近代史における最大のパンデミックであるスペイン風邪と同等のパンデミックが発生する確率は、1年当たり0.3~1.9%と算出された。これは、統計的には400年以内にスペイン風邪に匹敵するパンデミックが発生する可能性が高いことを意味する。さらに、この研究では凶暴な感染症の発生リスクが急速に高まっていることも示された。研究グループは、過去50年間で新型コロナウイルスのようなヒトに感染する病原体が新たに出現するスピードが上がっているとして、今後数十年で新たな疾患が流行するリスクは3倍になると予測している。具体的には、COVID-19と同規模のパンデミックは、今後59年以内に起こる可能性が高いという。そのほか、今回の研究論文では言及されていないが、全人類を滅ぼす規模のパンデミックが、今後1万2,000年以内に発生し得るとの計算結果も明らかになったという。論文の共著者で、同大学教授のGabriel Katul氏は、「こうした結果が出たからといって、今後59年間はCOVID-19のようなパンデミックは発生しないとか、あと数百年はスペイン風邪のような惨事は起きないと言えるわけではない。大規模なパンデミックはいつ起きてもおかしくない」と説明している。Pan氏も、「人口増加、環境破壊、食品流通システムの変化、病原体を保有する動物とヒトとの接触頻度の増加などにより、パンデミックの頻度はさらに増大する可能性がある」と推測している。Pan氏はまた、「この研究結果は、疾患の流行への早期の対応、地域および地球規模でのパンデミックの監視能力の構築、大規模な感染症が流行しやすくなっている理由を解明する研究の実施の重要性を明示するものだ」と述べている。(HealthDay News 2021年8月25日).https://consumer.healthday.com/b-8-25-large-scale-….Copyright © 2021 HealthDay. All rights reserved.