小児期および青年期における伝染性単核球症(IM)罹患は、その後の多発性硬化症(MS)診断リスクを高める可能性があるという研究結果が、オレブロ大学(スウェーデン)のYin Xu氏らにより、「JAMA Network Open」に10月11日報告された。IMは主にEpstein-Barrウイルス(EBV)により引き起こされる感染症で、MSリスクの増加と関連付けられている。Xu氏らは、小児期(0~10歳)、青年期(11~19歳)、成人期初期(20~24歳)におけるIM罹患と20歳以降のMS診断リスクの関連を調査した。対象は、Total Population Registerにおいて、1958年1月1日から1994年12月31日までの間に生まれ、1990年時点で両親が存命する人とし、1978年1月1日から2018年12月31日まで、対象者が20歳を迎えた時点から追跡を行った〔追跡期間中央値15.38年、四分位範囲(IQR)8.68〜23.55年、範囲0.01〜40.96年〕。解析には、Cox比例ハザード回帰法を用いた。研究対象者249万2,980人(男性52.63%、女性47.37%)のうち、2万6,954人(1.08%)が25歳までにIMを発症し、5,867人(0.24%)が20歳以降にMSを発症した(MS発症の年齢中央値31.50歳、IQR 26.78~37.54歳)。小児期および青年期にIMに罹患した人は、20歳以降にMSの診断を受けるリスクが高かった〔小児期:ハザード比(HR)1.98、95%信頼区間(CI)1.21~3.23、青年期:同3.00、2.48~3.63〕。遺伝的および環境的家族性因子を調整するため、層別化Cox比例ハザード回帰により兄弟姉妹内のリスクを比較した場合でも、これらの関連は有意であった(小児期:同2.87、1.44~5.74、青年期:同3.19、2.29~4.46)。一方、成人期初期のIM罹患とその後のMS診断との間にも関連が認められたが(同1.89、同1.18~3.05)、層別化Cox比例ハザード回帰で家族性因子を調整すると有意差は認められなかった(同1.51、0.82~2.76)。著者らは、「この結果は、MSの疾患活動性やMSへの罹患率によりIMの可能性が上昇するという単なる現象を示しているのではない。EBVの曝露様式や急性発症が関与するというように、EBVがMSの病因の一因となることを補強するものだ」と述べている。なお、複数の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2021年10月12日)https://consumer.healthday.com/mononucleosis-as-ki….Abstract/Full Text.Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
小児期および青年期における伝染性単核球症(IM)罹患は、その後の多発性硬化症(MS)診断リスクを高める可能性があるという研究結果が、オレブロ大学(スウェーデン)のYin Xu氏らにより、「JAMA Network Open」に10月11日報告された。IMは主にEpstein-Barrウイルス(EBV)により引き起こされる感染症で、MSリスクの増加と関連付けられている。Xu氏らは、小児期(0~10歳)、青年期(11~19歳)、成人期初期(20~24歳)におけるIM罹患と20歳以降のMS診断リスクの関連を調査した。対象は、Total Population Registerにおいて、1958年1月1日から1994年12月31日までの間に生まれ、1990年時点で両親が存命する人とし、1978年1月1日から2018年12月31日まで、対象者が20歳を迎えた時点から追跡を行った〔追跡期間中央値15.38年、四分位範囲(IQR)8.68〜23.55年、範囲0.01〜40.96年〕。解析には、Cox比例ハザード回帰法を用いた。研究対象者249万2,980人(男性52.63%、女性47.37%)のうち、2万6,954人(1.08%)が25歳までにIMを発症し、5,867人(0.24%)が20歳以降にMSを発症した(MS発症の年齢中央値31.50歳、IQR 26.78~37.54歳)。小児期および青年期にIMに罹患した人は、20歳以降にMSの診断を受けるリスクが高かった〔小児期:ハザード比(HR)1.98、95%信頼区間(CI)1.21~3.23、青年期:同3.00、2.48~3.63〕。遺伝的および環境的家族性因子を調整するため、層別化Cox比例ハザード回帰により兄弟姉妹内のリスクを比較した場合でも、これらの関連は有意であった(小児期:同2.87、1.44~5.74、青年期:同3.19、2.29~4.46)。一方、成人期初期のIM罹患とその後のMS診断との間にも関連が認められたが(同1.89、同1.18~3.05)、層別化Cox比例ハザード回帰で家族性因子を調整すると有意差は認められなかった(同1.51、0.82~2.76)。著者らは、「この結果は、MSの疾患活動性やMSへの罹患率によりIMの可能性が上昇するという単なる現象を示しているのではない。EBVの曝露様式や急性発症が関与するというように、EBVがMSの病因の一因となることを補強するものだ」と述べている。なお、複数の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2021年10月12日)https://consumer.healthday.com/mononucleosis-as-ki….Abstract/Full Text.Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock