前庭リハビリテーションは、前庭性片頭痛(VM)または前庭機能障害(VD)を有する患者の症状を軽減し、生活の質(QOL)を改善する可能性のあることが、「Brazilian Journal of Otorhinolaryngology」に2021年10月25日掲載された研究において明らかにされた。VMは、良性発作性頭位めまい症に次いで2番目に多いとされる回転性めまいの原因であり、VM患者は頭痛発作時または発作間に前庭症状を訴える。近年、めまいおよび平衡機能障害の治療には、運動ベースの治療法である前庭リハビリテーションが有効とされている。Acıbadem Mehmet Ali Aydınlar大学(トルコ)のAhmet Koc氏らは、前庭リハビリテーションによるVM患者の前庭症状とQOLに対する効果を片頭痛のないVD患者と比較するため、2018年10月~2020年5月に前庭リハビリテーション(18セッション、1.5カ月間)を受けたVM患者30例(VM群:平均年齢46歳)と片頭痛のないVD患者30例(VD群:平均年齢56歳)を後ろ向きに評価した。治療前後のDizziness Handicap Inventory(DHI)スコア、Vestibular Disorders Activities of Daily Scale(VADL)スコア、めまいと頭痛の発生頻度、Computerized Dynamic Posturography(CDP)を用いて評価した平衡機能を両群で比較した。前庭リハビリテーション開始前の症状持続期間および前庭検査結果に両群間で有意差は見られなかった。VM群の81%、VD群の75%に前庭検査で異常所見が認められた。VM群では、平均DHIスコアは治療前の68.7から治療後には24.0に改善し、平均VADLスコアは99.5から37.5に改善していた。また、めまいの平均発生頻度はレベル3(週に2~3回)からレベル1(週に1回未満)に、頭痛の平均発生頻度はレベル4(週に4~6回)からレベル1(週に1回未満)に減少していた。一方、VD群では、平均DHIスコアは67.7から30.3に、平均VADLスコアは104.2から53.7に改善し、めまいの平均発生頻度はレベル3からレベル1に減少していた。両群ともに、前庭リハビリテーションによりDHIスコア、VADLスコア、めまいおよび頭痛の発生頻度が有意に改善することが示された(P<0.05、Wilcoxon検定)。CDPで評価した平衡機能についても、両群において治療前に比べて治療後で有意な改善が認められた。著者らは、「片頭痛の有無にかかわらず、VMを有する患者では、前庭リハビリテーション後に主観的および客観的な平衡評価のスコアで有意な改善が示された。本研究では倫理面を考慮し行わなかったが、前庭リハビリテーションの長期的な有効性を評価するには、治療を行わない(またはプラセボの)対照群を設けた研究を行う必要がある」と述べている。(HealthDay News 2021年12月7日)https://consumer.healthday.com/vestibular-rehab-be….Abstract/Full Text.Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
前庭リハビリテーションは、前庭性片頭痛(VM)または前庭機能障害(VD)を有する患者の症状を軽減し、生活の質(QOL)を改善する可能性のあることが、「Brazilian Journal of Otorhinolaryngology」に2021年10月25日掲載された研究において明らかにされた。VMは、良性発作性頭位めまい症に次いで2番目に多いとされる回転性めまいの原因であり、VM患者は頭痛発作時または発作間に前庭症状を訴える。近年、めまいおよび平衡機能障害の治療には、運動ベースの治療法である前庭リハビリテーションが有効とされている。Acıbadem Mehmet Ali Aydınlar大学(トルコ)のAhmet Koc氏らは、前庭リハビリテーションによるVM患者の前庭症状とQOLに対する効果を片頭痛のないVD患者と比較するため、2018年10月~2020年5月に前庭リハビリテーション(18セッション、1.5カ月間)を受けたVM患者30例(VM群:平均年齢46歳)と片頭痛のないVD患者30例(VD群:平均年齢56歳)を後ろ向きに評価した。治療前後のDizziness Handicap Inventory(DHI)スコア、Vestibular Disorders Activities of Daily Scale(VADL)スコア、めまいと頭痛の発生頻度、Computerized Dynamic Posturography(CDP)を用いて評価した平衡機能を両群で比較した。前庭リハビリテーション開始前の症状持続期間および前庭検査結果に両群間で有意差は見られなかった。VM群の81%、VD群の75%に前庭検査で異常所見が認められた。VM群では、平均DHIスコアは治療前の68.7から治療後には24.0に改善し、平均VADLスコアは99.5から37.5に改善していた。また、めまいの平均発生頻度はレベル3(週に2~3回)からレベル1(週に1回未満)に、頭痛の平均発生頻度はレベル4(週に4~6回)からレベル1(週に1回未満)に減少していた。一方、VD群では、平均DHIスコアは67.7から30.3に、平均VADLスコアは104.2から53.7に改善し、めまいの平均発生頻度はレベル3からレベル1に減少していた。両群ともに、前庭リハビリテーションによりDHIスコア、VADLスコア、めまいおよび頭痛の発生頻度が有意に改善することが示された(P<0.05、Wilcoxon検定)。CDPで評価した平衡機能についても、両群において治療前に比べて治療後で有意な改善が認められた。著者らは、「片頭痛の有無にかかわらず、VMを有する患者では、前庭リハビリテーション後に主観的および客観的な平衡評価のスコアで有意な改善が示された。本研究では倫理面を考慮し行わなかったが、前庭リハビリテーションの長期的な有効性を評価するには、治療を行わない(またはプラセボの)対照群を設けた研究を行う必要がある」と述べている。(HealthDay News 2021年12月7日)https://consumer.healthday.com/vestibular-rehab-be….Abstract/Full Text.Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock