絵文字はかわいらしくて表現力が豊かだが、職場内でのコミュニケーションに絵文字を使い過ぎると、職能に関する社内での評価が低下してしまうかもしれない。その可能性を示す研究結果が報告された。テルアビブ大学(イスラエル)のElinor Amit氏とShai Danziger氏、および米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のPamela Smith氏の研究によるもので、詳細は「Organizational Behavior and Human Decision Processes」3月号に掲載された。この研究では、数百人の米国人成人を対象に2種類の実験を実施。メールやオンライン会議ソフト(Zoom)のプロフィール、Tシャツに画像や絵文字を使用する社員は、それらにテキストのみを使用する社員よりも、有能でないと認識されやすいことを示唆する結果が得られた。著者らは、「近年、誰もが画像を用いたコミュニケーションに慣れており、ソーシャルネットワーク上では画像の使用がコミュニケーションを簡便で、かつ楽しいものにしてくれる」と、絵文字や画像を使うことのメリットを指摘。その上で、「ただし、われわれの研究結果は、安易にそのような手段を用いる傾向に、注意を促すものと言える。状況によっては、特に職場やビジネス環境では、そのような手段を乱用することが、かえってコストとして跳ね返ってくるケースがある」と述べている。ビジネスなどのオフィシャルな環境では、なぜ絵文字や画像を用いるべきでないのか? 著者らはその理由を、「コミュニケーションに画像を多用することは、自分の能力の低さを示す可能性があるからだ」と説明。そして、「組織内や、自分が有能であると人々に認識されたいと願う状況においては、写真や絵文字を使ったメールを送信する前に、再考した方が良い。笑顔マークをはじめとする、しばしば利用される人気のイラストなどは、友達や家族とのコミュニケーションのためにとっておくべきだ」とアドバイスを付け加えている。Amit氏らの実験の一つでは、参加者に対して、企業従業員が勤務先の研修に参加するという場面を想定するように求めた。研修参加の際に、会社名のロゴマークがプリントされたTシャツを着て参加した人と、何らかの画像がプリントされたTシャツを着て参加した人を見比べたとしたら、どちらを有能と判断するかを質問。すると、会社名のロゴマークがプリントされたTシャツを着て参加した人との回答が多数を占めた。もう一つの実験では、より高いパフォーマンスの仕事をなし得るチームを構成するという想定で、2人の候補から1人を選択してもらった。候補者の1人はテキストベースの書類で自分のプロフィールをアピールし、別の1人は画像を用いたプロフィールでアピールした。その結果、前者のテキストベースでアピールした人の方が多く選択され、全体の62%を占めた。写真や絵などの画像の利用者の能力が低いと判断されがちな理由についてAmit氏は、過去の研究報告を基に、「視覚的なメッセージは接近を求めているサインと解釈されることが多い。そして、他の研究からは、他者への接近を求める人は、能力が高い人よりも低い人に多いという結果が報告されている。この二つの研究報告を結び付けると、画像の使用は社会的な接近願望を表し、それは自分の能力が高くないことを示すことにつながる」と説明している。Amit氏によると、家族間のコミュニケーションのように、密接な関係で交わされる接近を求めるサインは、能力の評価に結び付くことはないという。ただし同氏は、「われわれの生活の多くの場面、特に職場やビジネス環境では、パワーの優劣の問題が付きまとう」と述べ、「したがって、自分が送るメッセージが、受信者にどのような印象を与えるかに注意する必要がある。自分の能力を認めてもらいたいのなら、絵文字や画像付きのメールを送信する際には、その点をよく考えた方が良い」と語っている。(HealthDay News 2022年3月15日).https://consumer.healthday.com/b-3-15-want-respect….Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
絵文字はかわいらしくて表現力が豊かだが、職場内でのコミュニケーションに絵文字を使い過ぎると、職能に関する社内での評価が低下してしまうかもしれない。その可能性を示す研究結果が報告された。テルアビブ大学(イスラエル)のElinor Amit氏とShai Danziger氏、および米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)のPamela Smith氏の研究によるもので、詳細は「Organizational Behavior and Human Decision Processes」3月号に掲載された。この研究では、数百人の米国人成人を対象に2種類の実験を実施。メールやオンライン会議ソフト(Zoom)のプロフィール、Tシャツに画像や絵文字を使用する社員は、それらにテキストのみを使用する社員よりも、有能でないと認識されやすいことを示唆する結果が得られた。著者らは、「近年、誰もが画像を用いたコミュニケーションに慣れており、ソーシャルネットワーク上では画像の使用がコミュニケーションを簡便で、かつ楽しいものにしてくれる」と、絵文字や画像を使うことのメリットを指摘。その上で、「ただし、われわれの研究結果は、安易にそのような手段を用いる傾向に、注意を促すものと言える。状況によっては、特に職場やビジネス環境では、そのような手段を乱用することが、かえってコストとして跳ね返ってくるケースがある」と述べている。ビジネスなどのオフィシャルな環境では、なぜ絵文字や画像を用いるべきでないのか? 著者らはその理由を、「コミュニケーションに画像を多用することは、自分の能力の低さを示す可能性があるからだ」と説明。そして、「組織内や、自分が有能であると人々に認識されたいと願う状況においては、写真や絵文字を使ったメールを送信する前に、再考した方が良い。笑顔マークをはじめとする、しばしば利用される人気のイラストなどは、友達や家族とのコミュニケーションのためにとっておくべきだ」とアドバイスを付け加えている。Amit氏らの実験の一つでは、参加者に対して、企業従業員が勤務先の研修に参加するという場面を想定するように求めた。研修参加の際に、会社名のロゴマークがプリントされたTシャツを着て参加した人と、何らかの画像がプリントされたTシャツを着て参加した人を見比べたとしたら、どちらを有能と判断するかを質問。すると、会社名のロゴマークがプリントされたTシャツを着て参加した人との回答が多数を占めた。もう一つの実験では、より高いパフォーマンスの仕事をなし得るチームを構成するという想定で、2人の候補から1人を選択してもらった。候補者の1人はテキストベースの書類で自分のプロフィールをアピールし、別の1人は画像を用いたプロフィールでアピールした。その結果、前者のテキストベースでアピールした人の方が多く選択され、全体の62%を占めた。写真や絵などの画像の利用者の能力が低いと判断されがちな理由についてAmit氏は、過去の研究報告を基に、「視覚的なメッセージは接近を求めているサインと解釈されることが多い。そして、他の研究からは、他者への接近を求める人は、能力が高い人よりも低い人に多いという結果が報告されている。この二つの研究報告を結び付けると、画像の使用は社会的な接近願望を表し、それは自分の能力が高くないことを示すことにつながる」と説明している。Amit氏によると、家族間のコミュニケーションのように、密接な関係で交わされる接近を求めるサインは、能力の評価に結び付くことはないという。ただし同氏は、「われわれの生活の多くの場面、特に職場やビジネス環境では、パワーの優劣の問題が付きまとう」と述べ、「したがって、自分が送るメッセージが、受信者にどのような印象を与えるかに注意する必要がある。自分の能力を認めてもらいたいのなら、絵文字や画像付きのメールを送信する際には、その点をよく考えた方が良い」と語っている。(HealthDay News 2022年3月15日).https://consumer.healthday.com/b-3-15-want-respect….Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock