片頭痛に適応させたマインドフルネス認知療法(MBCT)プログラムにより、頭痛関連障害は有意には改善しないものの、頭痛日数が減少し心理的機能も改善することが、「International Journal of Behavioral Medicine」に2021年12月21日掲載された研究で明らかになった。片頭痛の予防的治療法として認知行動療法が有望視されている。今回、フライブルク大学(ドイツ)のKathrin Simshäuser氏らは、MBCTプログラムを片頭痛治療用に特化させ、18~65歳の片頭痛患者54例を、MBCTプログラムを受ける群(介入群)と待機リスト(対照群)にランダムに割り付け、同プログラムの実施可能性および有効性を検討した。ベースライン時および介入終了時(介入群のみ7カ月後に追跡評価)に、片頭痛関連パラメータおよび心理的パラメータ(機能・コーピング)を評価し、共分散分析により群間比較した。調整済み平均値の差を介入終了後の2群を合わせた標準偏差で割ることでCohenのd(dadj)を算出し、効果量の尺度とした。また、質問票を用いて患者の治療満足度、目標達成の程度なども評価した。その結果、介入終了時において、頭痛関連障害の改善に両群で有意差は認められなかったが、介入群では対照群と比較して頭痛日数が有意に減少していた(P=0.04、dadj=0.38)。心理的パラメータについては、4項目〔知覚されたストレス:F(1, 48)=6.084、P<0.05;不安:同4.891、P<0.05;反芻(くよくよ考えること):同7.75、P<0.01;破局視(物事を否定的に捉えること):同4.11、P<0.05〕のレベルが、介入群で対照群に比べて有意に低下していた。これらの効果量は小(dadj=0.34)~中程度(dadj=0.52)の範囲であった。7カ月後の追跡評価時には、ベースライン時と比較して頭痛関連障害の改善に両群で有意差は認められなかったが、頭痛日数(P=0.00002、d=0.75)、反芻(P=0.02、d=0.28)、破局視(P=0.0005、d=0.44)、セルフコンパッション(P=0.01、d=0.27)に有意な効果が認められた。また、患者による質問票への回答結果から、今回の介入は実施可能であり、満足度も目標達成の程度も比較的高いことが示された。著者らは、「本研究の結果からは、同プログラムは、頭痛による障害の軽減を第一に希望する患者に対しては推奨できないものの、頭痛の特徴に影響を及ぼし、ストレスコーピングのレベルを高める可能性が示された。多数の患者に苦痛や障害を引き起こす頭痛疾患の分野でさらに検討を進める価値がある」と述べている。(HealthDay News 2022年1月10日)https://consumer.healthday.com/mindfulness-based-c….Abstract/Full Text.Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
片頭痛に適応させたマインドフルネス認知療法(MBCT)プログラムにより、頭痛関連障害は有意には改善しないものの、頭痛日数が減少し心理的機能も改善することが、「International Journal of Behavioral Medicine」に2021年12月21日掲載された研究で明らかになった。片頭痛の予防的治療法として認知行動療法が有望視されている。今回、フライブルク大学(ドイツ)のKathrin Simshäuser氏らは、MBCTプログラムを片頭痛治療用に特化させ、18~65歳の片頭痛患者54例を、MBCTプログラムを受ける群(介入群)と待機リスト(対照群)にランダムに割り付け、同プログラムの実施可能性および有効性を検討した。ベースライン時および介入終了時(介入群のみ7カ月後に追跡評価)に、片頭痛関連パラメータおよび心理的パラメータ(機能・コーピング)を評価し、共分散分析により群間比較した。調整済み平均値の差を介入終了後の2群を合わせた標準偏差で割ることでCohenのd(dadj)を算出し、効果量の尺度とした。また、質問票を用いて患者の治療満足度、目標達成の程度なども評価した。その結果、介入終了時において、頭痛関連障害の改善に両群で有意差は認められなかったが、介入群では対照群と比較して頭痛日数が有意に減少していた(P=0.04、dadj=0.38)。心理的パラメータについては、4項目〔知覚されたストレス:F(1, 48)=6.084、P<0.05;不安:同4.891、P<0.05;反芻(くよくよ考えること):同7.75、P<0.01;破局視(物事を否定的に捉えること):同4.11、P<0.05〕のレベルが、介入群で対照群に比べて有意に低下していた。これらの効果量は小(dadj=0.34)~中程度(dadj=0.52)の範囲であった。7カ月後の追跡評価時には、ベースライン時と比較して頭痛関連障害の改善に両群で有意差は認められなかったが、頭痛日数(P=0.00002、d=0.75)、反芻(P=0.02、d=0.28)、破局視(P=0.0005、d=0.44)、セルフコンパッション(P=0.01、d=0.27)に有意な効果が認められた。また、患者による質問票への回答結果から、今回の介入は実施可能であり、満足度も目標達成の程度も比較的高いことが示された。著者らは、「本研究の結果からは、同プログラムは、頭痛による障害の軽減を第一に希望する患者に対しては推奨できないものの、頭痛の特徴に影響を及ぼし、ストレスコーピングのレベルを高める可能性が示された。多数の患者に苦痛や障害を引き起こす頭痛疾患の分野でさらに検討を進める価値がある」と述べている。(HealthDay News 2022年1月10日)https://consumer.healthday.com/mindfulness-based-c….Abstract/Full Text.Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock