早期関節リウマチ(RA)患者にも疲労感は広く認められ、かつ持続することが、「Rheumatology」に2021年12月27日掲載された研究で明らかにされた。Early Rheumatoid Arthritis Network(ERAN)は、症状持続期間が2年未満のRA患者を追跡している英国のコホート研究である。英ノッティンガム大学のOnosi Sylvia Ifesemen氏らは今回、ERANから基準を満たした1,236人(女性67%、平均年齢57歳)の人口統計、臨床症状、生活の質(QOL)、併存疾患、および臨床検査のデータを入手し、早期RAにおける疲労の有病率と経過、そのリスク因子を評価した。疲労は、36項目から成るShort Form Health Survey(SF-36)の「活力」の下位尺度を用いて測定し、疲労感および重度疲労感の粗の有病率はそれぞれ、英国民の平均スコア(50点)の±1標準偏差(SD)、または±2SD以内として推定した。解析には、線形回帰、階層的成長曲線モデリング、グループベース軌道モデリング(GBTM)を用いた。ベースライン時の平均活力スコアは41.82(SD 11.14)点で、参加者の61%が血清反応陽性(リウマトイド因子陽性、および/または抗CCP抗体が陽性あるいは判定境界値)を示した。疼痛〔SF36 bodily pain(BP)で評価〕の平均スコアは33.77(同10.63)点、メンタルヘルス〔SF36 mental health(MH)で評価〕の平均スコアは46.34(同11.15)点、DAS(Disease Activity Score)28の平均スコアは4.68(同1.56)だった。ベースライン時の疲労感および重度疲労感の有病率は、それぞれ44%〔95%信頼区間(CI)39〜50〕と19%(同15〜23)であった。疼痛スコアおよびメンタルヘルススコアは、活力スコアと中程度の正の相関を示した(疼痛:スピアマンの順位相関係数(ρ)=0.54、メンタルヘルス:ρ=0.61、いずれもP≦0.05)一方で、身体機能(HAQ)とは負の相関を示した(ρ=−0.50、P≦0.05)。活力スコアを3回以上測定できていた792人を対象に線形成長モデルを用いて活力スコアの経時的な変化を検討したところ、ほとんど変化は認められなかった(β=−0.13、95%CI −0.23〜−0.02、P=0.023)。GBTMから、疲労群(53%)と非疲労群(47%)の2つのサブグループが特定された。多変量解析によりベースライン時の特徴と疲労との関連を検討したところ、疲労群では、女性の性別〔オッズ比(OR)1.94、95%CI 1.28〜2.95〕、高BMI(同1.06、1.02〜1.10)、メンタルヘルスの悪化(同0.94、0.92〜0.96)、HAQ低スコア(同1.69、1.22〜2.33)、疼痛の悪化(0.96、同0.93〜0.98)、RDCI(Rheumatic Diseases Comorbidity Index)高スコア(同1.32、1.12〜1.56)との関連が認められた(全てP<0.05)。炎症の客観的な指標である腫脹関節数や赤血球沈降速度と疲労との関連は有意ではなかった。著者らは、「疲労はRAの初期段階でも広く見られる症状であり、ベースライン時に疲労が認められた人は、追跡時にも疲労を訴える可能性が高い」とし、「疲労の管理には、炎症性疾患を改善するとともに、中枢機構を標的とした介入が必要な可能性がある。そうした介入が必要な人を、RAの初期段階で特定できる可能性がある」と結論付けている。(HealthDay News 2022年1月25日)https://consumer.healthday.com/fatigue-common-with-even-early-rheumatoid-arthritis-2656462513.html.Abstract/Full Text.Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
早期関節リウマチ(RA)患者にも疲労感は広く認められ、かつ持続することが、「Rheumatology」に2021年12月27日掲載された研究で明らかにされた。Early Rheumatoid Arthritis Network(ERAN)は、症状持続期間が2年未満のRA患者を追跡している英国のコホート研究である。英ノッティンガム大学のOnosi Sylvia Ifesemen氏らは今回、ERANから基準を満たした1,236人(女性67%、平均年齢57歳)の人口統計、臨床症状、生活の質(QOL)、併存疾患、および臨床検査のデータを入手し、早期RAにおける疲労の有病率と経過、そのリスク因子を評価した。疲労は、36項目から成るShort Form Health Survey(SF-36)の「活力」の下位尺度を用いて測定し、疲労感および重度疲労感の粗の有病率はそれぞれ、英国民の平均スコア(50点)の±1標準偏差(SD)、または±2SD以内として推定した。解析には、線形回帰、階層的成長曲線モデリング、グループベース軌道モデリング(GBTM)を用いた。ベースライン時の平均活力スコアは41.82(SD 11.14)点で、参加者の61%が血清反応陽性(リウマトイド因子陽性、および/または抗CCP抗体が陽性あるいは判定境界値)を示した。疼痛〔SF36 bodily pain(BP)で評価〕の平均スコアは33.77(同10.63)点、メンタルヘルス〔SF36 mental health(MH)で評価〕の平均スコアは46.34(同11.15)点、DAS(Disease Activity Score)28の平均スコアは4.68(同1.56)だった。ベースライン時の疲労感および重度疲労感の有病率は、それぞれ44%〔95%信頼区間(CI)39〜50〕と19%(同15〜23)であった。疼痛スコアおよびメンタルヘルススコアは、活力スコアと中程度の正の相関を示した(疼痛:スピアマンの順位相関係数(ρ)=0.54、メンタルヘルス:ρ=0.61、いずれもP≦0.05)一方で、身体機能(HAQ)とは負の相関を示した(ρ=−0.50、P≦0.05)。活力スコアを3回以上測定できていた792人を対象に線形成長モデルを用いて活力スコアの経時的な変化を検討したところ、ほとんど変化は認められなかった(β=−0.13、95%CI −0.23〜−0.02、P=0.023)。GBTMから、疲労群(53%)と非疲労群(47%)の2つのサブグループが特定された。多変量解析によりベースライン時の特徴と疲労との関連を検討したところ、疲労群では、女性の性別〔オッズ比(OR)1.94、95%CI 1.28〜2.95〕、高BMI(同1.06、1.02〜1.10)、メンタルヘルスの悪化(同0.94、0.92〜0.96)、HAQ低スコア(同1.69、1.22〜2.33)、疼痛の悪化(0.96、同0.93〜0.98)、RDCI(Rheumatic Diseases Comorbidity Index)高スコア(同1.32、1.12〜1.56)との関連が認められた(全てP<0.05)。炎症の客観的な指標である腫脹関節数や赤血球沈降速度と疲労との関連は有意ではなかった。著者らは、「疲労はRAの初期段階でも広く見られる症状であり、ベースライン時に疲労が認められた人は、追跡時にも疲労を訴える可能性が高い」とし、「疲労の管理には、炎症性疾患を改善するとともに、中枢機構を標的とした介入が必要な可能性がある。そうした介入が必要な人を、RAの初期段階で特定できる可能性がある」と結論付けている。(HealthDay News 2022年1月25日)https://consumer.healthday.com/fatigue-common-with-even-early-rheumatoid-arthritis-2656462513.html.Abstract/Full Text.Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock