特定の食事パターンが炎症性腸疾患(IBD)の発症リスクの上昇に関与しており、クローン病(CD)は西洋式の食事パターンと、潰瘍性大腸炎(UC)は肉中心の食事パターンと関連していることが、「Journal of Crohn's and Colitis」に12月1日報告された。フローニンゲン大学(オランダ)のVera Peters氏らは、オランダ北部の居住者を対象とする集団ベースの前向きコホート研究である「LifeLines」の参加者16万7,729人のうち12万6,745人を対象とし(平均年齢44.8歳、女性58.5%)、最終的に12万5,445人について解析して、食事パターンとIBDとの関連を調べた。最大14年間の追跡期間中に224人がUCを、97人がCDを新たに発症した。まず、摂取している食品の多寡などから食事のパターンを分類するため主成分分析を行った。また、プロテインスコア、健康食指数(HEI)、LifeLines Diet Score(LLDS)、代替地中海食(AMED)スコアの各食事スコアを算出した。こうして算出された食事パターンや食事スコアが、IBD発症にどの程度寄与しているのかを、性・年齢・BMI・喫煙歴などをロジスティック回帰モデルにより調整した上で評価した。主成分分析を行った結果、得られた主な食事パターン5つを、「伝統的なオランダの食事」、「西洋式の食事」、「肉中心の食事」、「コーヒー・アルコール多飲の食事」、「地中海式の食事」とそれぞれ命名した。解析の結果、CDの新規発症との関連が見られたのは、スナック、加工肉、ノンアルコール飲料、調味料、ソースの摂取量が多く、野菜や果物の摂取量が少ない「西洋式の食事パターン」で、オッズ比(OR)は1.16(95%信頼区間1.03~1.30、P=0.013)だった。また、UCの新規発症と関連していたのは、赤身肉、鶏肉、加工肉を多く摂取する「肉中心の食事パターン」で、ORは1.11(同1.01~1.20、P=0.023)だった。食事スコアについては、LLDSが高い場合(すなわちオランダの食事ガイドラインを遵守)、CDの新規発症は少なく、ORは0.95(同0.92~0.99、P=0.009)という結果で、他の食事スコアとIBDの発症には有意な関連は見られなかった。著者らは、「今回の研究結果から、食事パターンは従来にも増して重視されるべきだ。このことは一般集団レベルにおけるIBD予防策の一助となる上、今後の研究の焦点を、未加工・低加工の食品をベースとした食事戦略に、またIBD患者の特別食に、当てさせることになるだろう」と述べている。なお、数名の著者が、Janssen Pharmaceuticals、Takeda、Pfizer、およびJohnson and Johnとの利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2022年1月28日)https://consumer.healthday.com/western-diet-pattern-linked-to-increased-risk-of-crohn-s-2656488293.html.Abstract/Full Text.Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
特定の食事パターンが炎症性腸疾患(IBD)の発症リスクの上昇に関与しており、クローン病(CD)は西洋式の食事パターンと、潰瘍性大腸炎(UC)は肉中心の食事パターンと関連していることが、「Journal of Crohn's and Colitis」に12月1日報告された。フローニンゲン大学(オランダ)のVera Peters氏らは、オランダ北部の居住者を対象とする集団ベースの前向きコホート研究である「LifeLines」の参加者16万7,729人のうち12万6,745人を対象とし(平均年齢44.8歳、女性58.5%)、最終的に12万5,445人について解析して、食事パターンとIBDとの関連を調べた。最大14年間の追跡期間中に224人がUCを、97人がCDを新たに発症した。まず、摂取している食品の多寡などから食事のパターンを分類するため主成分分析を行った。また、プロテインスコア、健康食指数(HEI)、LifeLines Diet Score(LLDS)、代替地中海食(AMED)スコアの各食事スコアを算出した。こうして算出された食事パターンや食事スコアが、IBD発症にどの程度寄与しているのかを、性・年齢・BMI・喫煙歴などをロジスティック回帰モデルにより調整した上で評価した。主成分分析を行った結果、得られた主な食事パターン5つを、「伝統的なオランダの食事」、「西洋式の食事」、「肉中心の食事」、「コーヒー・アルコール多飲の食事」、「地中海式の食事」とそれぞれ命名した。解析の結果、CDの新規発症との関連が見られたのは、スナック、加工肉、ノンアルコール飲料、調味料、ソースの摂取量が多く、野菜や果物の摂取量が少ない「西洋式の食事パターン」で、オッズ比(OR)は1.16(95%信頼区間1.03~1.30、P=0.013)だった。また、UCの新規発症と関連していたのは、赤身肉、鶏肉、加工肉を多く摂取する「肉中心の食事パターン」で、ORは1.11(同1.01~1.20、P=0.023)だった。食事スコアについては、LLDSが高い場合(すなわちオランダの食事ガイドラインを遵守)、CDの新規発症は少なく、ORは0.95(同0.92~0.99、P=0.009)という結果で、他の食事スコアとIBDの発症には有意な関連は見られなかった。著者らは、「今回の研究結果から、食事パターンは従来にも増して重視されるべきだ。このことは一般集団レベルにおけるIBD予防策の一助となる上、今後の研究の焦点を、未加工・低加工の食品をベースとした食事戦略に、またIBD患者の特別食に、当てさせることになるだろう」と述べている。なお、数名の著者が、Janssen Pharmaceuticals、Takeda、Pfizer、およびJohnson and Johnとの利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。(HealthDay News 2022年1月28日)https://consumer.healthday.com/western-diet-pattern-linked-to-increased-risk-of-crohn-s-2656488293.html.Abstract/Full Text.Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock