ヨガ療法により片頭痛患者の頭痛頻度が減少する可能性のあることが、「Journal of Clinical Neuroscience」5月号に掲載されたメタアナリシスで明らかになった。ヨガ療法は片頭痛の頻度、強度、発作の持続時間などに対して有効であることが示されているが、現在のところ、片頭痛に対するヨガ療法のルーチンでの使用を支持する十分なエビデンスはない。長沙市第一医院(中国)のQi Wu氏らは、片頭痛に対するヨガの効果を調べるため、システマティックレビューとメタアナリシスを行った。2021年2月までにPubMed、EMbase、Web of Science、EBSCO、Cochrane Libraryのデータベースに掲載された、片頭痛に対するヨガ(標準治療に追加)の有効性を標準治療単独(対照介入)と比較したランダム化比較試験(RCT)を抽出した。主要評価項目は頭痛の頻度とし、副次評価項目は疼痛強度、疼痛の評価尺度であるMcGill Pain Questionnaire、頭痛の生活の質への影響を評価する頭痛インパクトテスト(HIT-6)スコアとした。ランダム効果モデルを用いてメタアナリシスを行い、標準化平均差(SMD)と95%信頼区間(CI)を算出した。研究間の異質性はI2検定で評価し、I2>50%で有意な異質性ありとした。有意な異質性が見られた場合は、異質性の原因となり得るものを検索した。感度分析では、研究を1件ずつ順番に省くかサブグループ解析を行うことによって、全体の推定値に対する1件の研究の影響を調べた。129件の関連論文から、最終的に5件のRCT(対象者356例)をメタアナリシスに含めた。その結果、主要評価項目である頭痛の頻度は、ヨガ療法により対照介入と比べて有意に減少していたが(SMD -1.43、95%CI -2.23~-0.64、P=0.0004)、研究間の異質性は有意に高かった(I2=90%、異質性のP<0.00001)。研究を1件ずつ順番に省いて感度分析を行ったところ、異質性は有意なままであった。著者らによると、異質性の理由としては、(1)RCT間で手順や方法が異なること、(2)患者のベースライン時の疼痛強度や罹患期間の違いが統合結果に影響したこと、(3)RCTには内科的治療とセルフケアが含まれており、ヨガ療法の効果に影響したことが考えられた。副次評価項目については、対照介入と比較して、ヨガ療法によるHIT-6スコアの有意な低下が見られた(SMD -2.19、95%CI -4.09~-0.28、P=0.02)。一方、疼痛強度(同-1.37、-2.76~0.01、P=0.05)やMcGill Pain Questionnaire(同-2.09、-6.39~2.22、P=0.34)については明らかな効果は認められなかった。著者らは、「ヨガは一般的な補完代替医療の一つであり、世界中でますます実践されてきている。ヨガ補助療法で、片頭痛発作を有する患者の頭痛頻度を減らせる可能性がある」と結論付けている。(HealthDay News 2022年4月4日)https://consumer.healthday.com/yoga-may-cut-migraine-frequency-2657086086.html.Abstract/Full Text (subscription or payment may be required).Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock
ヨガ療法により片頭痛患者の頭痛頻度が減少する可能性のあることが、「Journal of Clinical Neuroscience」5月号に掲載されたメタアナリシスで明らかになった。ヨガ療法は片頭痛の頻度、強度、発作の持続時間などに対して有効であることが示されているが、現在のところ、片頭痛に対するヨガ療法のルーチンでの使用を支持する十分なエビデンスはない。長沙市第一医院(中国)のQi Wu氏らは、片頭痛に対するヨガの効果を調べるため、システマティックレビューとメタアナリシスを行った。2021年2月までにPubMed、EMbase、Web of Science、EBSCO、Cochrane Libraryのデータベースに掲載された、片頭痛に対するヨガ(標準治療に追加)の有効性を標準治療単独(対照介入)と比較したランダム化比較試験(RCT)を抽出した。主要評価項目は頭痛の頻度とし、副次評価項目は疼痛強度、疼痛の評価尺度であるMcGill Pain Questionnaire、頭痛の生活の質への影響を評価する頭痛インパクトテスト(HIT-6)スコアとした。ランダム効果モデルを用いてメタアナリシスを行い、標準化平均差(SMD)と95%信頼区間(CI)を算出した。研究間の異質性はI2検定で評価し、I2>50%で有意な異質性ありとした。有意な異質性が見られた場合は、異質性の原因となり得るものを検索した。感度分析では、研究を1件ずつ順番に省くかサブグループ解析を行うことによって、全体の推定値に対する1件の研究の影響を調べた。129件の関連論文から、最終的に5件のRCT(対象者356例)をメタアナリシスに含めた。その結果、主要評価項目である頭痛の頻度は、ヨガ療法により対照介入と比べて有意に減少していたが(SMD -1.43、95%CI -2.23~-0.64、P=0.0004)、研究間の異質性は有意に高かった(I2=90%、異質性のP<0.00001)。研究を1件ずつ順番に省いて感度分析を行ったところ、異質性は有意なままであった。著者らによると、異質性の理由としては、(1)RCT間で手順や方法が異なること、(2)患者のベースライン時の疼痛強度や罹患期間の違いが統合結果に影響したこと、(3)RCTには内科的治療とセルフケアが含まれており、ヨガ療法の効果に影響したことが考えられた。副次評価項目については、対照介入と比較して、ヨガ療法によるHIT-6スコアの有意な低下が見られた(SMD -2.19、95%CI -4.09~-0.28、P=0.02)。一方、疼痛強度(同-1.37、-2.76~0.01、P=0.05)やMcGill Pain Questionnaire(同-2.09、-6.39~2.22、P=0.34)については明らかな効果は認められなかった。著者らは、「ヨガは一般的な補完代替医療の一つであり、世界中でますます実践されてきている。ヨガ補助療法で、片頭痛発作を有する患者の頭痛頻度を減らせる可能性がある」と結論付けている。(HealthDay News 2022年4月4日)https://consumer.healthday.com/yoga-may-cut-migraine-frequency-2657086086.html.Abstract/Full Text (subscription or payment may be required).Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.Photo Credit: Adobe Stock